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楽しみと寂しさ

リハビリが終わって、お昼の時間になった。

今日も、いつものように食堂へ向かう。

澪ちゃん、今日は来るかな。昨日は会えなかったから、今日は会いたい。そんなことを考えながら、食堂の入り口をくぐった。


待ち合わせの時間になった。


「……あれ?」


まだ来ていないだけかな。嫌な予感。澪ちゃんが来るのを待つ。周りでは、楽しそうに話しながら食事をする人たちがいる。看護師さんと笑い合っている患者さんもいる。みんな、それぞれの時間を過ごしている。なのに、私だけが取り残されているような気がした。


時計を見る。いつもなら、もう二人で食べ始めている時間だった。お昼ご飯を受け取りに行く。


「……いただきます。」


小さく呟いて、お箸を手に取る。いつもなら、今日のリハビリのことを話すはずだった。少しだけ歩けたこと。夏希先生に褒めてもらえたこと。澪ちゃんは、どんな顔をして聞いてくれるだろう。きっと、自分のことみたいに喜んでくれる。


そう思っていたのに。


目の前のご飯を口に運んでも、味がよく分からなかった。何度も入り口を見てしまう。もしかしたら、今来るかもしれない。少し遅れているだけかもしれない。そうやって期待するたび、誰も入ってこない入り口を見て、胸が苦しくなった。


澪ちゃん、どうしたんだろう。具合が悪いのかな。それとも、何かあったのかな。


心配だった。だけど、それ以上に寂しかった。昨日も今日も会えない。それだけのことなのに、こんなにも寂しい。友達ができる前は、一人で過ごすことが当たり前だったはずなのに。いつから私は、澪ちゃんが隣にいることを、こんなにも楽しみにするようになったんだろう。


食事を終えても、しばらく席を立てなかった。いつもなら、このあと一緒に中庭へ行く。何気ない話をしながら、ゆっくり過ごす。そんな時間が、今はとても遠く感じた。


「……澪ちゃん。」


名前を呼んでも、返事はない。

私は俯いた。たった二日、会えなかっただけ。そう思おうとしても、寂しいものは寂しかった。


でも、明日は。


明日は、春乃ちゃんに会える。


学校に行って、制服を着て、みんなと話して。ずっと会いたかった春乃ちゃんに、やっと会える。そう考えると、沈んでいた心に、ほんの少し明かりが灯った気がした。春乃ちゃん、元気かな。私の顔を見たら、どんな反応をするだろう。話したいことがたくさんある。病院でのことも、澪ちゃんと友達になったことも、今日歩けたことも。伝えたいことが、いっぱいある。


明日が楽しみだった。久しぶりに、心からそう思えた。それでも、食堂を出るとき、私はもう一度だけ入り口を振り返った。もしかしたら、今から澪ちゃんが来るかもしれない。そんな小さな期待が、まだ胸のどこかに残っていた。


けれど、そこに澪ちゃんはいなかった。


「……また、会えるといいな。」


そう呟いて、私は窓の外を見た。雨が降っている空の向こうに、明日の晴れ間を探すように。


明日は、春乃ちゃん達に会える。

その楽しみを胸に抱きながら、私は病室へ戻った。

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