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シャーペンを持てる日は来るのだろうか。

病室に帰って一時間くらい経った頃、お母さんが来た。

「お気に入りの春服持ってきて。薄ピンクのやつ。」

私は、それだけ言って布団に潜った。

布団の隙間から見えたお母さんは、同情の目をしていた。心情を察したつもりにでもなったのだろうか。何も分からないくせに。こんな思いしたことないくせに。

「あぁ、無性にイライラする。」

絶対違う。お母さんだって、同じ気持ち。

そう言う私の心の声を見ないようにした。

ぼーっとするだけで1日が終わってしまった。


次の日、調子が悪くて立てなかった。

いつもの、立ちたいという意欲さえも湧かなかった。

「入院が当たり前になりつつあるのは事実。」

知ってる。でもそう思えば思うほど、無性にイライラして、誰かに当たりたくなった。

昼過ぎになると、お母さんが来た。自分で無理矢理、用意された車椅子に乗って診察室まで行こうとした。それなのに、手に力が入らなくて、車椅子を自分で動かせなかった。前に進めなかった。

「調子の悪い日は、1人じゃ何も出来ない。」

そんな事実が突きつけられた気がした。

結局お母さんが車椅子を押してくれることになった。


病室に入ると、先生の表情は暗かった。

「検査結果を見る限り、運動ニューロンの障害を疑うような異常は見られませんでした」


「結局、振り出しに逆戻り。」


何も分からないまま時間だけが過ぎていく。

調子の悪い日だけが増えていく。


先生は最後に「確認」と言って、診察をした。

最初にやったのと同じこと。

握力は、もう16kgまで落ちていた。

日によって変わるかもしれないけど、そんなもん。

私が、何の不安も無くシャーペンを持てる日はくるのだろうか。学校でみんなと会える日は来るのだろうか。

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