1. 学園のアイドル‐白鳥愛梨‐
朝の教室。なんてことない普段通りの一日。そんな空間さえも、彼女の存在が周囲を一変させる。
「愛梨ちゃんおはよう!」
「うん、おはよう由美ちゃん。それに皆もおはよう! 今日もいい天気だね」
彼女が足を踏み入れた瞬間に、まるでそこにだけ陽光が差し込んだかのようにパッと明るくなる。
成績優秀、運動神経も申し分ない。容姿端麗の美少女。
それが白鳥愛梨。どこにいても、自然と視線を集めてしまう少女だ。
透けるような白い肌に、腰までまっすぐ流れ落ちる艶やかな黒髪。丁寧に梳かされているのが一目でわかるほど整っていている。
目にかからない長さに揃えられた前髪の奥から、やわらかな焦げ茶色の瞳がのぞいている。
その目は丸みがあり、相手をまっすぐ見つめるのに、どこか覗き込むような優しさを帯びていた。
瞬きはゆっくりで、視線が合うと、まるでこちらの話を丁寧に受け止めてくれているかのような、錯覚すら覚えてしまうほどだ。
整っているのにどこか幼さが残る顔立ちは、頬にわずかな丸みがあるせいか、上品さの中にあどけなさを感じさせる。
笑うとき、口を大きく開けずにそっと微笑むその表情は、『清楚』という言葉がそのまま、人間の形になって具現化したかのようだ。
姿勢は常にまっすぐで、歩くときも、動作のひとつひとつに無駄がなく、育ちの良さが滲む。
それでいて、ふとした瞬間に髪を耳へかけたり、ふいに首を少し傾けたりする仕草には、男の庇護欲をこれでもかと搔き立てる。
特別派手なところはどこにもない。けれど、気づけば目で追ってしまう。
近くにいるだけで場の空気がやわらぐような、不思議な存在感。
誰が見てもまず抱く印象は、きっと同じだろう。
――この子はきっと、とてもやさしくて、性格のいい子……なのだと。




