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スローライフはもうあきた~錬金術と古代技術を組み合わせて誰にもできないことをする~  作者: まいぷろ
第18章:辺境の村と王女の覚醒

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90.辺境の異質な村

「そろそろエテルナ村の領境です」


護衛団の隊長が馬車の中のオーロラ王女に聞こえるように声をかけた。

その後しばらくして、これまで感じていた馬車の激しい揺れが止まっていることに気がついた。


王女は違和感を感じ、窓の外を見ると、それまでのデコボコ道は姿を消し、緻密に石が敷き詰められた道へと変わっていた。


村の入口では、村長と村長の娘のリリィを先頭に、200人ほどの人々が馬車を出迎えていた。


護衛団の隊長が声を潜める。

「これほどの数の村人が、集うとは。この地の活気は、我々の想像以上ですね」


馬車を降りるオーロラ王女に村長が語りはじめた。

「殿下。このような辺境の村にお寄り頂きありがとうございます。私はこの村で村長をしておる者にございます。

本日は殿下を一目見たいと当村のほぼ全員がここに集まっております」


「村長。歓待ありがとうございます。全員でお迎えいただけるとは村とはいえかなりの遠方の方もいらっしゃったでしょうに」

自分の訪問のせいで、農作業を止めさせたり、苦労をかけたことを心配したが。


村長の答えは軽いものだった。

「いえいえ、王女様のご訪問は、村人にとって今後二度とないお祭りのようなものなのです。逆にお騒がせをして申し訳ありません」


会話が少し噛み合わないなと思いながら、オーロラ王女はあたりを見回した。


統一感のある家並みと舗装された道路は、これまでに見てきたどの村や街とも一線を画す、景観を呈していた。


オーロラ王女は、村人の中から目的の人物を見つけ、駆け寄った。

「アレン様。やっとお目にかかれました! あなたと、一度心ゆくまでお話がしたかったのです!」


王女の目は熱意に輝き、その激しい圧にアレンは思わず一歩後ずさった。


その瞬間、アイが完璧なタイミングで間に入った。

「王女殿下、本日は長旅でお疲れでしょう。詳しいお話は、明日改めてお時間をいただけますでしょうか」


アイの介入に、王女は一瞬不満げな顔を見せたが、その提案を承諾した。


王女が案内されたのは、視察の情報を聞き、たった一ヶ月で作成したという迎賓館だった。

辺境の村が急ぎで作った事から、少々の不手際が会っても仕方がないだろうと思いながら中に入り、オーロラ王女は驚愕した。


壁や床の継ぎ目にはミリ単位の誤差すらなく、まるで一つの巨大な石材から削り出されたかのような統一感があった。

これは、建築用ゴーレムが設計図に基づき、夜通し作業した結果なのだとか。


王女はまず、長旅の疲れを癒すため、迎賓館内の豪華な浴場へ向かった。

浴場全体は壁一面の魔導コーティングによって清潔が保たれ、湯温も常に最適に制御されている。

これらの設備は最高技術の賜物だったが、浴場の準備を手伝うリリィは、緊張のあまり山積みになったタオルを何度も落としていた。


続いて、夕食の宴が始まった。

給仕は、ルベールから調達した衣装を身に纏った村の者たちが行った。

彼らはぎこちない手つきながらも、オーロラ王女に心からの歓迎の言葉を捧げた。

食事自体は、村の商人がルベールから取り寄せたという豪華な食材による料理が並んだ。

宴席には村長、リリィ、そしてアイが対応した。

オーロラ王女は、アレンを探したが、アイから体調不良を理由に欠席することを伝えられた。


一日の終わり、オーロラ王女は豪華なベッドルームに体を横たえ、今日のことを思い返した。


この辺境の村で受けた歓待は、ルベールやレオンハルト邸で受けた最高級のもてなしと、使われているものは酷似しているが、技術は違っていた。


何かわからない違和感と同時に、村人の人柄が生む温かさを抱いたまま、王女は眠りについた。

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