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学園裁判所  作者: 真上真
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第6話



第6話



「……それで、翔君は、これからどうするつもりなの?」


「そうだな。最初の予定では、とりあえず地球中を見て回るつもりだったんだが、とりあえずは様子見だ。おまえに取り憑いてた寄生虫どもが仕返しに来ないとも限らんし、あんな連中がのさばってるってことは、この世界の破局は、俺の予想よりずっと早いのかもしれんからな」


 俺の一言に、また白羽の表情が曇った。しまった。また余計なことを。


「し、心配するな。この先何があろうと、おまえとおまえの大事な人間は、俺が守ってやるから」


「他の人たちは?」


「知らん」


 てか、どうでもいい。


「それに、そう心配する必要もないかもしれんしな」

「どういうこと?」

「考えてもみろ。俺みたいな奴のところにも「クリエイター」とかいう奴からの接触があったんだぞ。て、ことは、それこそ世界の主要人物とかは、とっくにその状況を認識してると考えるのが普通だろうが」

「確かに、そうね」

「でなくとも、あれだけ大掛かりなことをする奴が、俺にだけ声をかけたとは思えんしな。俺がなんとかしなくても、俺と同じように「救済者」とやらに選ばれた奴が、きっとなんとかするだろうよ」


 たぶん。


「そうか。そうよね」


「ああ、そうだ」


「そうよ。翔君が、その「世界救済計画」っていうサイトで影人間になったのなら、同じように、わたしもそのサイトで、翔君を人間に戻す力を手に入れればいいんだわ」


 白羽は目を輝かせた。おい。


「待てい」


 おいおいおいおい、おーい。


「そうと決まれば、善は急げだわ」


 白羽はパソコンを起動させた。だから、待てと言ってるだろ。


「確か「世界救済計画」だったわよね」


 白羽は「世界救済計画」で検索をかけた。しかし、


「あれ? 変ね、出ないわ」


 画面に、俺が見たサイトが出ることはなかった。


「じゃあ、今度は「救済者」で」


 白羽は再び検索した。しかし、結果は同じだった。


「どういうことなの?」


「さあな。俺のときにも、いきなり画面に現れただけだからな。もしかしたら、もう人員が定数に達したのかもしれんし、向こうからコンタクトしてきた場合しか、力は手に入らんのかもしれんな」


 下手に噂になって、何十万、下手すりゃ何億って数の人間が押し寄せてきたら、向こうも対処しきれないだろうし。


 それでなくとも、こんなことを世界中に人間が知ったら、パニック必至だ。


「じゃあ、やっぱり翔君は、ずっとこのままなの?」


「だから、できるできない以前に、戻る気はないと言ってるだろうが!」


 ひとの話を聞け、おまえは。


「……そう、わかったわ。つまり、今わたしのすべきことは、さっさと休むことなのね」


「そういうことだ」


 やっと、わかったか。


「何しろ、明日からは、翔君を人間に戻す力を持った「救済者」を捜して、走り回らなきゃならないんだから」


「は?」


 ちょっと待て。何をどうすれば、そういう結論になるんだ?


「なに言ってるんだ、おまえ?」


「何って、だって、そうでしょ。翔君が言ったように、その「世界救済計画」っていうのに参加して、力を得た人が他にもいるとしたら、もしかしたら、そのなかには影人間を元の人間に戻せる力を持った人もいるかもしれないじゃない」


「まあ、ないとは言い切れないが」


「だったら、その人を探し出せれば、羽続君を人間に戻すことだってできるってことでしょ」


 だーかーらー、


「俺は、人に戻る気はないと言ってるだろうが!」


「そうと決まれば、さっそく明日から行動開始ね」


「だから、ひとの話を聞け、おまえは」


 元に戻ったとたん、これだ。


「てか、それ以前に、おまえは今週から教育実習だろうが」


 それもあって、俺はシェイドになったんだ。

 おまえみたいな奴が、学級崩壊起してるようなクラスに配属されたら、どんな目に遭わされるか、わかったもんじゃねえからな。もし、おまえが優しいのをいいことに、調子に乗るガキがいたら、影からヤキ入れるために。


「あ……」


 白羽は、口に右手を当てた。


 さては忘れてたな、おまえ? まあ、このところ色々あったから、仕方ないが。  

 昔からの夢なんだろうが、教師になることが。


「とにかく、もう夜は遅いし、今日はもう休め。続きは夜が明けてからだ」


「そうね。でも、翔君はどうするの?」


「俺は別に睡眠はいらんから、とりあえず外で見張ってる。さっきの寄生虫どもが、いつ仕返しに来るかわからんからな」


 あそこで始末しておけば、後腐れなかったんだが仕方ない。


「だったら、何も外に出なくても、ここにいれば」


「バ、バカ言うな。人間じゃなくなったとはいえ、男と女が同じ部屋で一夜を過ごすなんて、できるわけないだろうが」


 万が一にも、俺が変な気起こしたら、どうする気なんだ、こいつは。


「わたしは気にしないけど」


「俺が気にするんだよ」


 まったく、どこまでも能天気な奴だ。


「とにかく、おまえはもう休め」

「わかったわ。おやすみなさい、翔君」

「ああ、おやすみ、白羽」


 俺は壁から外に出た。


 やれやれ、どうにもおかしな展開になったもんだ。が、まあいい。


 どうせ、時間は無限にあるんだ。いい暇潰しができたと思えばいい。


 そう、俺はいつでも前向きなのだ。





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