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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
3章 店長は死神
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鈍感

 夕方。寝室でディオスは頭を抱えていた。

「一体どうゆうことなんだよ」

 モルテから危険だの忙しいと言っていた夜に出かけると言われ目的が全く、今まで隠していると思われることを見せると言い出されたが正直に言って全く訳が分からないでいた。

「そもそも、何で夜じゃないとダメなんだ?」

 見せようとモルテに言われディオスは今では駄目なのかと尋ねた。帰ってきた言葉は、

「夜の方が見えやすいからだ」

 であった。

「だから夜って……幽霊(ゴースト)見に行く訳じゃないのに……」

 ディオスの中では夜イコール幽霊と繋がってしまっていた。

 一度でも幽霊を見てしまうと繋げてしまうものなのかと自分に問い詰めたくなる気持ちである。

「それに、シュメライット山じゃなくて街に?」

 そして、見せると言った場所が何故か事故が起こったシュメライット山ではなくアシュミストであった。

 これについてもディオスは尋ね、帰ってきた言葉が、

「どのみち奴はここに来る。行ってすれ違いになる必要はない」

 であった。

「街に来るって、何で分かるんだ?」

 ますますモルテの言動が分からなくなるディオス。

 これは今に始まったことではないが今回は特に分からない。

「そういえば、夜に出かけることが多かったような……」

 モルテの行動を考えていると不思議な行動を思い出した。

 モルテはよく夜中になると店を抜け出していた。いつのまに店に戻って来ているのかは分からないが朝になるとリビングには必ずいる。

「……遊びに出かけてる?」

「んなわけねぇだろ」

「うわぁぁぁぁ!!」

 まさかと思い呟いた言葉に背後から突っ込みがかけられディオスは驚いて悲鳴を上げた。

「ファ、ファ、ファ、ファズマ……」

「驚きすぎだ」

 振り向いて驚いて肩を上げて息を整えているディオスにファズマは呆れた表情を浮かべた。

「ご、ごめん……」

「それは店長に言え」

 反省を口に述べたディオスにその言葉はモルテにと言うファズマ。

「それよりも、どうしてここに?」

「店長から様子見てこいと言われたんだ。ディオスのへこみ顔見てこいと」

 へこみ顔と聞いてディオスの表情が歪んだ。

「何だか嫌な言われようが……」

「へこみ顔は俺がついでに言ったんだがな」

「やっぱり嫌な言い方だ!」

 どうやらモルテではなくファズマがついでに付け足して言った言葉のようだったが、やはり嫌な言い方である。

「それで、店長が何を見せるのか考えていたんだろう?」

「どうして分かったの!?」

「んなもん分かるに決まってんだろ。お前の食いつき見てればよ」

 ファズマの言葉に口がギュッと閉じるのを感じた。

「考えるのはやめとけ。疑心暗鬼になっているんだろうがどうせ……」

「え?」

「え?って……」

 その瞬間、目が合い、ファズマが大きな溜め息をついた。

「気づいてねえのかよ……」

 ファズマの呟きにディオスは目を丸くした。

「ディオス、お前どれだけ自分のことに気づいてないんだ?」

「え?」

「店長がおかしいと思って食いついて聞いて、あれこれ考えているのに何で自分が店長を疑っているってことに気づいてないんだ!」

「……そうかも」

「そうかもじゃねえ!始めから気づけ!どれだけ自分のことが見えてないんだ!」

 ファズマに指摘され、しばらく悩んで頷いたディオス。さすがに言った本人であるファズマもこの流れでは指摘がもはや突っ込みへと変わっている。

「ったく……」

 何だがいきなり疲れた感覚に陥ったファズマだが話は続けなければと思い続きを言った。

「考えれば考えるほど知った時の衝撃は大きいからな。ついでに、受け入れにくくなる」

「受け入れにくくなる?」

 ファズマの言葉に首を傾げる。

「店長の受け売りだが、予想が外れた人間ほど自分の常識に置き換えようと必死になるもの何だとさ」

「つまり、常識で捉えるなってこと?」

「そうだ」

 自分の言葉の意味を理解したディオスにファズマは頷いた。

(何でこうゆうことには頭は回るんだ?)

 頭のすみではディオスのギャップを感じながら。

「どうせこれから見るのは非常識だ。考えるだけ無駄だ」

「店に来てからずっと非常識に驚いているから大丈夫です」

「は?」

 店が非常識と言われ今度はファズマが目を丸くした。

「どこに?」

「全部」

 ディオスの言葉にすっかり葬儀屋フネーラの非常識に染まってしまっているファズマはどこが非常識なのか分からなかった。

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