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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
3章 店長は死神
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向かう場所

 夕方から夜特有の闇の空に変わるのを見ながらモルテは早めに店を閉めた。

 店を早めに閉めたのは真夜中の一仕事に備えてである。

「さて、ディオスはどの様な表情を浮かべるか」

 モルテは隠し事を知ったディオスがどの様な反応をするのか楽しみにしていた。

 そして、ファズマとミクに初めて教えた時のことも思い出す。ミクは今よりも幼かったから言った意味が分かっていなかった。ファズマはそれこそ驚いた様子をして面白かった。

 そんなことを思い出しながら夜の支度をしようと二階へ上がると、

「どこが非常識だ!」

 とディオスとファズマの寝室からからファズマの声が響いてきた。

「ほう、随分と仲良くなっているものだな」

 ファズマの声にモルテは二人が仲良く話しているのを感じながら自分の寝室へと入った。


 そして時間は流れ闇の空が広がる真夜中となった。

「それではミク、決して店から出るな」

「は~い……」

 店内では四人が集まっており、モルテの指示にミクが不満そうに返事をした。

「もしも出るようならオスローに……」

「店から出ないから大丈夫だよ!」

 モルテの口から苦手なオスローの名前が言われたミクは不満そうな様子から一変して言われたことを守る子供へと変わった。

(本当に苦手なんだ)

 ミクの様子を見ていたディオスは本当にトライアー葬儀店のオスローが 苦手なのだと考えていた。

「戸締まりはいい。寝室の鍵だけは忘れるな」

「は~い」

 ミクに言うだけ言うとモルテはディオスとファズマに向き直った。

「そろそろ出るが大丈夫か?」

「大丈夫です」

「はい……」

 モルテの言葉にディオスとファズマは頷いて返事をした。

 ファズマはどうやら真夜中に出ることが慣れている様子で全く問題ないという様子を見せている。

 一方でディオスは真夜中に何をしに行くのか分からないし何を準備すればいいのかも分からないためにやや不安、これから起こるかもしれない出来事への緊張の様子も見せている。

「ファズマ、いつも通りに頼む」

「はい」

 モルテの指示を受けたファズマはすぐさま店から出て行った。

「さて、私達も行くか」

 モルテはディオスに語り駆けるとそのまま歩き出し、ディオスがその後を追うようにして店から出て行った。

 ディオスは店から出るなりモルテに尋ねた。

「店長、一体どこへ行こうとしているのですか?あと、何を見せようとしているんですか?それに、一体何が起きようとしているんですか?」

 複数の質問をするディオスにモルテはすぐに答えた。

「ふむ。こればかりは口で説明をするよりも実際に目で見た方が早い」

 そう言うと歩き出した。

 つまり、まだ何も言えないという答えにディオスは不満な表情を浮かべながらモルテの後ろを付いた。

「しかし、どこへ向かうかは説明できる」

 その言葉にディオスの表情が僅かに驚いた表情になった。

 そうしていると二人は店から程近い水路に着いていた。

「水路?」

 ディオスは尋ねるようにモルテを見た。

「ここから河へと歩いて向かう」

「河、ですか?」

 水路は河から引いているのは分かる。けれど、向かう場所が河とはどうなのか。

「何故と思っているな」

 そんなディオスの気持ちを読み取ったモルテがもったいぶったように言い出した。

「今回ここに降りて来るのが河を利用しているからだ。仮にすでに街に降りて水路を渡っていては困るから水路をたどる。そして、人間が集まりそうな場所に向かうのを阻止するのだよ」

「人って……」

 モルテの言葉にディオスはその何かが向かいそうな場所を理解した。

 河に近く人が集まりそうな場所などいくつかあるが特に集まっている場所がある。

「向かうのは河向こうの新住宅街だ」

 どうやら長い夜になりそうだとディオスはこの時感じていた。

体調を少し崩してしまい明日から7月7日までお休みします。次回は7月8日です。

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