事後処理
ガイウスは散開しながら天へと昇天していく光の霧を見ながら呟いた。
「相変わらずいいぃ切れ味だなぁ~」
愚者を切り裂いた斬撃に感心して感想を漏らす。
「どうやら無事に弔ったようで」
そんなガイウスにディオスとミクが逃げていった先からレオナルドが当人の様子から結果を予想して言いなから現れた。
「おうぅレオナルドォ~」
「あいからわず独特の話し方をしますね」
ガイウスが口にする独特の話し方にレオナルドは軽口を言うと別の所から歩いてくる人影に視線を向けた。
「どうやら無事に逃げられたようだな」
その相手、モルテはレオナルドがガイウスと共にいるのを見てここにいる理由を理解して述べた。
「ああ。無事に逃げきれた。それで、この後はどうなる予定だ?」
「ファズマが回収する手はずにしている。そろそろ合流するはずだ」
「そうか」
ディオスとミクのこれからを聞かされ肩の荷が降りたレオナルドはこれで気兼ねなく怒れるとモルテを睨んだ。
「それよりも、ディオス君を囮に使うとはどうゆうことだ?」
「そぉ~いや、あの新人君はなぁんにも知らないんだよな?」
レオナルドの言葉にガイウスはディオスが置かれている立場を考えながら頷く。
「囮に使ったとは物騒な。花を手向けに行きたそうにしていたから使いを終えた後は自由にしたまで。だが、生霊が近くにいることも考えていた。だからミクと共に行かせたのだ」
「嘘だな」
「私は嘘が苦手なのだがな」
モルテの言葉に睨み付けていたレオナルドはこれ以上の問答は時間の無駄と自分から切り出した話を勝手に終わらせた。
「まあいい。それよりもこれはどうする?」
レオナルドは建設現場までの道と建物を見ながら二人に言った。
道にはガイウスが開けた窪みと愚者を吹っ飛んばしたことで半壊している建物と住宅街ては悲惨な現状となっていた。
「展開していたとはいえ、していなかったらと思うと……」
「そ~れには心配及ばないぞ~。ここら辺は開拓途中~で住人は少なぁいからちょぉっと騒いだくらいじゃ気づかないんだなこれがぁ」
「住人が少ないことは分かったが、ちょっとの騒ぎではないぞこれは!」
自分がしでかしたことなのに大した騒ぎではないと言い切ったガイウスにレオナルドは全力で突っ込んだ。
「無駄話はいい」
二人の会話に面白くないと捨てきったモルテは本題へと入った。
「例の生霊の遺体を探すぞ」
「あぁ~あの愚者道化か?」
「愚者道化?」
モルテの言葉に意味不明な言葉を呟いたガイウスにレオナルドがおうむ返しをした。
「そお~道化の形をした愚者だったから愚者道化。どおぉ~よ?」
「どうも何も、愚者と道化を組み合わせれば矛盾する。一緒にする意味はない」
ガイウスの意味もない閃きにレオナルドは説明も加えながら毒づいた。
「ハーレクインだ」
「ハーレクイン?」
「愚者なのだろ?ならばそれはハーレクインだ」
先程まで対処していた愚者の名称で揉めていた二人にモルテが適切な名前を上げた。
「ハーレクインか。だがそれは道化師のことでは?」
「道化師はアルレッキーノだ」
レオナルドの言葉にモルテは訂正を踏まえながら説明を始めた。
「そもそも愚者とは何か。愚者とは愚かで人間を嘲笑う為に生まれた存在。それが愚者。道化師は人を笑わせる行為である道化を演じる者を指すのだが、言葉が鈍り道化師と呼ばれているのだ」
モルテの説明にガイウスとレオナルドは溜め息をついた。
「やはりモルテだな。敵う気がしない」
「さぁ~すがモルテ!だぁてに流をしていただけはあるぅ~」
「ガイウスも元々は流であっただろう」
「おぉれの知識はモルテに及ばない~んだよぉね」
モルテの解説に納得する二人。ガイウスもレオナルドもこういった方面の知識はあるがモルテと比べたら少ない方である。むしろ、モルテが外見に反して知識豊富なのである。
二人が納得したと見てモルテは改めて本題へと進路を修正した。
「納得したのなら愚者の遺体を探すぞ」
「それならぁ~あそこだと思うんだよねぇ~」
ガイウスはそう言うと建設途中の建物の近くにある一件の家を指差した。
「例~の愚者が家だって言ってたかなぁ」
「なるほど」
さすがは登場のタイミングを見計らっていただけあり会話を一言たりとも聞き逃してはいなかった。
ガイウスの言葉を聞いたモルテはその家の扉の前まで来ると、
「ふん!」
思いっきり蹴り開けた。
「大胆な……」
その行動に頭を抱えるレオナルド。いつものこととはいえ一般人が誰も見ていなくてよかったと思う。見れる人はいないことを理解していても。
そんなレオナルドを無視してモルテとガイウスは家へと入り込んだ。
一室一室調べ、最後の一室を開けたモルテは笑みを浮かべた。
「見つけたぞ」
モルテの見つめる先には、ベットに横になっている老人の変死体があった。




