EP18 記憶にない帰還②
土曜の朝に急用の為、1日早く夏休み。
臨時でUPします。
飛鳥さんの能力の片りん編です。
「雪姫も戻ったし、ツチノコは、テレサとダイルに任せた。済まないが、俺とアーロンは、早帰りさせてもらっていいか?」
ほぉ珍しい。
「構わないけど、何かあるの?」
「いやいや、たまにはな。あはははは」
後頭部に手を持ってゆき、笑う。
この動作の時は、人は言えない『何か』を隠す時だ。
「怪しいねぇ。女がらみだね」
サマンサの女の直感。・・・たぶん当たりだ。
「また、飲み屋の娘に、いい所を見せたのでは、ないですか?」
トーマの推理。・・・たぶん当たりだ。
「あはははは・・行くぞアーロン!」
「では、お先に」
逃げるように、部屋から出る二人。
贔屓の飲み屋の娘店員から、直接依頼を受けた、と見た。
しかも無償だな。
「ブルック、もう少し上手く言わないと」
「くそ、なんであれでバレるんだ」
アーロンを肩の乗せたブルックは、街の外にある、公共ゲートを目指し走る。
「ブルックの奴、図星って顔だったぜ」
「全く、読みやすい方ですね」
哀れな位に理解されている。
「雪姫様、よろしいでしょうか?」
飛鳥さんの部屋に行っていたギャリソンが、顔をこわばらせてきた。
何かあったのか?
私は、トーマ達と、飛鳥さんの部屋に行く。
!?
部屋に入ると、異変に気が付いた。
飛鳥さんの手には「銃」が。それもかなり大きい。
「マスター」
リアちゃんの不安そうな顔。
「説明して」
飛鳥さんは銃を手にしているが、撃つ素振りはない。構えてすらいない。
飛鳥さん自身も、不思議そうな顔をしていた。
「はい。部屋の入り、世界について説明をしていました。そうしたら、急に飛鳥様の手に、銃が現れて・・」
魔法?・・・いや違う。マリリンさんが確認した。
飛鳥さんが、魔法を持っているはずがない。
でも、目の前の現象は、魔法以外で説明が付かない。
「この銃は、自分が若い頃に、部隊で使用していた『ハチキュウ』であります」
飛鳥さんが、銃を私に渡す。
本物なのか?本物だとしたら大問題だ。
この世界には、具現化する魔法で、銃ポイ物はあるが、武器としての銃はない。
有ったら、マリアに装備させている。
「自分の体の一部のように、扱っていたであります」
体の一部・・それにしても、説明が付かない。
剣と魔法の世界だぞ。銃を持ち込んだら、世界観が壊れる!
「銃の知識は、自信がありませんが、本物かが重要でございますな」
試し撃ち、しかないね。
「近場だと不味い。人の居ない場所がいい」
「あたいとノアも行くよ」
ギルドに誰か残しておかないと。と言う事で、サマンサとノアちゃん、飛鳥さんでゲートを使い、人の居ない場所に向かう事にした。
「過去の記録などを調べてみましょう」
「私も、御手伝いをします」
ギャリソンとリアちゃんは、資料漁り。
「何かあれば、僕が対応しておくよ」
トーマと、クレアちゃんがお留守番。
もしもの時は、医療室に居るマリアと、治療中のギムがいる。
酒かポーションぶっかければ、すぐ元気になるから大丈夫のはずだ。
さて、何処がいいか?
当然国内だが、人が居ないとなると、山奥だ。
「雪姫。カルデラの森はどうかな?」
サマンサの言う『カルデラの森』とは、大昔にマリアが、重力子砲を打って山を消し去った場所だ。
すり鉢状に凹んだ地形で、住人は居ない。
「そこなら大丈夫だよね」
ノアちゃんも頷く。
赤いマフラーを首に巻いたサマンサ。
私たちはゲートルームから、カルデラの森へ行く。
「アーロン、ここで良いのか?」
「ええ、間違いありません。以前ここには『サファイアワニ』の群生地があると聞いています」
アーロンとブルックは、湿地帯を進んでいた。
「ルミちゃぁん、喜ぶぞ。サファイアワニのハンドバッグは高級品だからな」
「ええ、どんなサービスをしてもらえるか、楽しみです」
狙いは「サファイアワニ」
飲み屋の女に貢ぐ品。
「ガオガオガオ」
「ダイル様は、この湿地帯で『ツチノコ』の目撃が多い、と仰っています」
「確かに、蛇のでそうな場所ですね」
ダイルとテレサは、湿地帯を進んでいた。
「ツチノコは、生け捕りが良いですが、死体でも構いません」
「ガオガオガオ」
「ダイル様は、珍しい生き物は標本に限る、と仰っております」
自分たちも、十分珍しい生き物の自覚が無かった。
「カルデラの森って、森林じゃないんだね」
「マリアが山を消しちゃって出来た場所らしいから、凹んでるんだよな。水が溜まって、湿地帯になってるんだよ」
サマンサ、ノア、雪姫、飛鳥は湿地帯を進んでいた。
「ここなら打ち放題。誰にも気づかれずに、ぶっ放せる」
「打ち放題であります」
「なんか、目標があったほうが良くね?」
サマンサは、草木の中から出ている、モッコリとした、岩を指さす。
「あれ、違いますか?」
「居たな。サファイアワニの尻尾だ。静かに近づくぞ」
アーロンが、巨大なワニの尻尾を見つける。
「ガオガオガオ!」
「ダイル様は、嗅ぎなれない蛇の匂いがする、と仰っております」
「流石はダイルさん。匂いでわかるなんて」
ダイルは立ち止る。
ここは、ルーラン国内。西の山奥「カルデラの森」
今、スノープリンセスのメンバーたちが、予期せず一か所に集まった。
雪姫の部屋では、ギルドの魂「不屈の雪」が、静かに炎を帯びていた。
明日は「記憶にない帰還③」をUP。雪姫の魔法編です。




