EP17 異世界の勇者④
内容変更の為、前書き、後書きは削除しました。
「初手から全力は、悪くないぞ。でも、先の戦いを見せてるのに、舐めすぎだぞ」
ドスンときた。
これは、私たちの戦い方に対しての評価だ。
「すみません・・・調子こきました」
作戦参謀は飛鳥さんだが、私も勝てると、甘く考えていた。
「空と陸に戦力を分けるのは良いが、単に分けただけで、その先に、何の狙いがあるかが、見えないよな」
確かに・・とりあえず、攻撃でした。
「私たちは、新人勇者にレクチャーすることが多いぞ。新人は、個別の力を、チームの力と思ってるぞ」
「それぞれが、自分の攻撃をしては、チームの戦いではない。個人戦と同じになる。チームで戦うと言う事は、常に『次に』『誰が』『何を打つか』を、理解しながら戦う事だ」
アリスさんとケインさんの、ごもっともなお言葉。
「後、大事な事は、私たちは正義の味方ではないぞ。負けたら世界が終わる戦いに、綺麗も汚いもないぞ。どんな姑息な手段でも、勝つためには使うぞ」
チョイ意外っス。勇者のお言葉とは・・・
「これをみんな、勘違いしてるぞ。勇者だから正々堂々とか、勇者は曲がったことはしないとか。勇者は最後の砦だぞ。負けたら後がないぞ」
なるほどだ。確かに勇者と言えば聞こえはいいが、負けたら終わりの最後の砦でもある。
綺麗に負けるより、汚くても勝つ・・世界を守る戦いには、綺麗も汚いもない。確かにもっともだ。
私たちは、ケインさんやアリスさん、レナさん達から、猛特訓を受けている。
実戦形式の個人戦から、チーム戦。
闘い方、戦略、引き出しを増やせと、姑息な手段迄、教わっていた。
「確かに、負ければ終わりですね」
「陸自魂に反しますが、戦いとは、そう言うモノなのですね」
マリリンさん、飛鳥さんは、アリスさんの教えを、素直に受け入れていた。
確かに実践は、綺麗事では無い。
しかし、勇者チームの、過去の戦いの記録を見ると、目を覆いたくなるような姑息な手段が多い。
だが、彼らの姑息さのおかげで、今の世界がある。
結論から言えば、彼らは正しかった。
ここ一番の戦いで、私がギルドのマスターだからと、姑息な手を使わずに負けたら・・・。
後世に、名は残るかもしれないが、負けは負けだ。
アリスさんの言う『勝つためには、手段など選ばない』
これが現実的な正論かもしれない。でもなぁ~凄い抵抗がある。
だが、勝つことに対する執念が伺えた。その執念が強いからこそ、世界を守れる。そして周りもそれに続く。
そんな勇者チームには、色々なトラブルにの派遣要請が来る。
「アリスさん!惑星ペコタンで、立て籠もり事件です」
「良し、すぐ行くぞ。見習いチームも一緒だぞ」
見習いチームとは、私たちの事だ。
「金を出せ!人質を殺すぞ!」
と、おっしゃる犯人の後ろにゲートを開き、トンカチで頭を殴る。
「解決だぞ、帰るぞ」
10秒で解決した。
「ターナさん!惑星ニャンに、怪人が現れました」
「ハウル行く」
ハウルさんは、魔獣王で、ターナさんの旦那様だ。
「見習いチームも来い。妻の戦い方を見るがいい」
「ぐははは!!!我は怪人『タキシード紳士』だ!」
街を破壊する怪人と対峙した。
「あ、社会の窓」
ターナさんが股間を指さす。怪人が股間を見る。
「戦いの最中によそ見とは愚か者!ハウルミラクルパンチ!」
ハウルさんが突っ込み、パンチ1発
10秒で片付く。
「レナさん、惑星テラミスで、魔人が暴れています」
「私に任せろ。見習いチームに戦い方を教えてやる」
レナさんは、剣士。腐った本が大好きな剣士。
「我は、魔人「ルドルフ」この世界を征服・・・ぐはぁぁぁぁ」
斬られた。
「戦いの最中におしゃべりとは笑止」
4秒で終わる。
確かにみんな強い。個人戦も、付け入る隙が無い。
が、なんか、想像していた勇者像と違う!
「素敵です」
「かっこいいです」
マリリンさんと飛鳥さんは、惚れ惚れしているが、良いのか?あれで良いのか?
「俺は、何も持っていない勇者だった。この世界に来た時は、他の世界で失敗続きのポンコツ勇者。魔法も剣技も持っていない、ただの冒険者だったんだ」
ケインさんと、二人になる機会が出来た。
ケインさんは私の疑問を察し、話し出した。
「チームも酷かった。アリスとマオ、ターナとレナ。
全員がヒーラーで、魔法は使えない。敵を倒すのは、手持ちの道具で叩き殺すだけだったよ」
3年前の話をしてくれた。
「1年後に現れる魔王との戦いに向けて、一つ一つ準備を進めた。魔獣軍、魔道兵器、魔都の王を仲間に加えた」
その戦力で、よく戦えたものだ。
「仲間は俺を信じてくれた。信じて疑わず、俺の力になってくれた。
次第にキズナは、目に見える力に変わる。
何も持たない俺も、仲間を手にすることで、戦えるようになってきた」
キズナの力・・・。
「アリス達も次第に強くなる。仲間も増える。俺たちは魔王を説得し、世界を守り切った。でも、この世界には、とんでもない爆弾があった。世界を浄化してしまう、アイテムが・・・。
そのアイテムを狙う女神。邪神を蘇らせ、世界制覇を企むサタン。
俺達は、一つも負けられない戦い中、姑息と言われながらも勝ち抜いてきた。そして今がある」
やはり歴代6位と言うだけあって、色々な敵と戦い、苦労したようだ。
「柊さんに、俺たちの戦い方を遣れ、とは言わないさ。でも、どうしても勝ちたい時の手段として、姑息な手段は、持っておくべきだ。
引き出しは、多くて困ることはない。平和のためには、手を汚す必要もある」
流石は、苦労した勇者だ。言葉に重みがある。
カモミールに来て、半年が過ぎた。
帰還の時は、突然やって来た。




