EP16 柊ほのか①
登場人物のキャラ名は、結構思い付きで付けて居ます。が、一部はお遊びや、意味のあるキャラも居ます。
「お父さん、お母さん、私ね、異世界転移しちゃったんだよ。夢じゃないよ。そこはね、剣と魔法の世界。私は、ギルドのマスターなんだ」
お墓参りに来ていた。
この世界での、私の父と母。私を生んで、育ててくれた実の両親だ。
父は物理学者。母は将棋の棋士。
それぞれの世界では、二人共そこそこ有名な人だった。
異色の組み合わせの夫婦。その間に生まれた私。
小学校の低学年の時の話だ。
父に連れられ散歩中に、はるか上空を飛行機が飛んていた。
「ほのか、あの飛行機、なんで飛ぶんだろうね?」
父は私に、色々な疑問を投げかける。
でも答えは分からない。小学生に、エンジン工学と航空力学が分かるはずがない。
父は必ずこう言った。
「疑問を持ちなさい。答えが疑問を呼び、その疑問の答えが、また疑問を呼ぶ。常に答えは疑問の先にある」と。
父は、深く考えろと教えてくれた。
母は勝負師。1手に魂を掛ける棋士。
「ほのか、良い手と良い手が有ったら、どちらを指す?」
禅問答を小学生に仕掛けてくる。
答えは簡単だ「良い手」の方を指す。2つの「良い手」には情報が無い。どちらも同じ「良い手」なら、考えなくてもいい。
将棋の初手で、長考するバカは居ない。
答えがないことを、考えるのは愚策、と母は言う。
答えがある場合は、しっかり考え、答えが無い場合は、無駄な時間を使わず決断。
これが二人の教えだった。
片親だけでは成り立たない、両親としての教えだ。
だが、父は考えろ。母は考えるな。
この二人の狭間で、幼い私は、良くグレなかったと思う。
そんな父と母が、買い物に出かけ、戻らぬ人となった。
悲しみ?違う。そんな感情じゃない。
言葉で言い表せるような感情ではない。
息をするのが辛い。
身が捻じれ切れそうな痛み。
心が体から出ていく。
私は死にたかった。
後見人となった叔母が、1通の手紙を持ってくるまでは・・・。
母のタンスから出て来た、私宛の手紙。
封がされ、日付は、私の生まれた日に成っていた。
「貴女がこれを読んだ時は、お別れの時が来てしまったことになるわね。ほのかが成人し、お嫁に行く時に、この手紙を捨てれれば、良かったんだけど。
お父さんと私から、一言だけ、貴女に。
『ほのか、現実は厳しい。だが立ち止まるな。負けるな』
『次の一手は、待ってくれないわ。前に進みなさい』
私たちの、ほのかへ」
父と母は、私が生まれた時に、万一を考え、手紙を残していた。
私は、首を上げる位の元気は出た。
「お父さん、学者さんが信じられる?異世界だよ異世界。『現実、目の前にあるモノは受け入れる』とか言ってたよね。受け入れられるかな?
お母さん、ギルドマスターって、すごい決断が居るんだ。
ホント、次の一手は、待ってなんかくれないよ」
私は、天国の父と母に、今までの事を報告した。
「向こうに行ったら、また忘れちゃうのかな?」
墓前にお線香を備えながら、私は、両親を忘れていたことを悔やんだ。
「大丈夫ですよ。記憶は無くても、魂に刻まれた想いは、決して消えません」
マリリンさん・・・凄く良い事を言ってくれたが、それ、私じゃない。
お隣の墓石。
魂に刻まれた想い・・・白姫さんの娘だったころの記憶は無いが、記憶にないと言うだけで、魂には刻まれている。
現実世界で、会ったことの無い白姫さんを、私は母と認識した。
それは「魂に刻まれた想い」のなせる業だ。
なら、父と母も魂が覚えていてくれる。
「次は学校です。掴まっててください」
お墓参りが終わると、休学の手続きの為、学校へ行く。
私たちが乗るのは、飛鳥さんの運転するHMV。通称「疾風」
陸自の「高機動車」だ。
「本当はナナヨンで来たかったんですが、4人乗りなんですよね。
軽装甲機動車や、96式装輪装甲車もありますから、ご希望があれば言ってくださいね」
ナナヨンとは74式戦車だ。どこと戦争中だ?
学校に付く。
飛鳥さんは、砂煙を上げながら、疾風で校庭を突っ切る。
ちょうど放課後で、野球部が練習をしていたが、幸い誰も轢くことなく、かする程度の接触が3件で済んだ。
飛鳥さん、ハンドル握ると、人格が変わるタイプだ。
当然、職員たちが飛び出してくる。
「任せてください」
そ言うと、飛鳥さんが疾風から降る。
「私は陸上自衛隊 飛鳥2等陸尉であります」
敬礼を決める。
「あ、あの校長の坂本ですが…陸上自衛隊の方が・・」
「これから話す内容は、国家機密に相当であります。情報漏洩罪に問われますので、気を付けて聞くであります」
職員、教師たちは顔を見合わすが、私が車外に出ると、担任の「日下部」先生が、声を上げた。
「柊!!!」
日下部先生は、担任であると同時に、私の所属する剣道部の顧問でもある。
「と、とりあえず中へ」
校長は、汗を拭きながら、私たちを校長室まで案内した。
校長と教頭。そして日下部先生。私と飛鳥さんで、校長室に入る。
「これは国家機密であります。口外はしないようにお願いするであります」
飛鳥さんは、自衛隊員特有の口調で、再度釘をさす。
「柊さんは、とある事情から、国際指名手配テロリスト集団「砂漠の穴」から、狙われているであります」
おい。
「国で保護するため、当面の間は、登校は困難と判断したであります。無期限の有給休暇を申請するであります」
学生に有給休暇はない。
「なるほど・・・分かりました。当校としましては、優秀な生徒の柊さんは、無期限の有給休暇とし、出席日数が足らなくても、進級は認めますさせて頂きます」
あるの?有給休暇?
「万が一の時は、二学年特進と言う事で、卒業も認めます」
なんだその、二学年特進って。万が一ってどんな時だ!
ここは、私立「自由学園」
その名の示す通り「個性と個人」を重んじる。
勿論、自由の意味をはき違え、反学生的な行為には、厳しい処分が与えられる。
が、基本「学生の望む形」が、本校の方針。
嘘は良くないが、いくら自由な校風とは言え、異世界転移は持ち出せない。
病気などでは、私は出歩けなくなる。
テロリストに狙われているは・・どうかと思うが、これで私は登校せずに、友人と会ったり、自由な外出が出来るようになった。
「柊、ちょっといいか?」
担任で顧問の日下部先生が、私を呼ぶ。
雪姫。これ重要。最重要。考え抜きました。
マリアとテレサ。優しい女性のイメージです。
ギム・・・悪役風の名前
ジェームスは、お遊び。2部中盤でセットとなるキャラ登場します。




