EP15 『穴』を知る者④
世界会議。少し喋り過ぎた雪姫でした。
「未成年の飲酒は、違法です!」
「ルーランでは、飲んでいたもん!」
「ここは日本です。国際法に基づき、日本国内では、日本の法律が適応されます」
私だけウーロン茶だ・・。
国際会議参加国は7か国。
アメリカ、ドイツ、オーストラリア、中国、カナダ、フランス、日本。
それぞれの国から2人が参加。ホスト国の日本からは、3人が参加している。
私とマリリンさんを合わせ、19人の会議。
「では、これより、第6回『国際極秘会議』を開催いたします。
各国の皆さん、お忙しい・・・低予算の中、交通費をかけての参加、有難うございました」
飛鳥さんが進行を務める・・が、極秘会議が居酒屋開催で良いのか?
「まず重要な事からお伝えします。
ドリンク、おつまみ等は、一人3品迄。390円以下から選んでください。4品目、400円以上は自腹になります」
しけた国際会議だ。
私は、知っている事、聞かれたことは、全て隠すことなく話した。
質問は『穴』『魔法』に関することだけで、国や軍力に関することは、聞かれなかった。
そして、各国が持つ情報も、貰う事が出来た。
その中で重要な事が、幾つか分かる。
『穴』は、突然開くと考えられていたが、予兆現象がある。
白鳥さん作、ゲート反応装置改め『重力感知器』を使う事で、人サイズの穴なら30分ほど前から、反応を拾う事が出来る。
そして、仮説ながら『穴』の形成プロセスが、予想されていた。
世界と世界は、異空間の中にある。
この異空間内で、重力異常が起こることで、道が出来、それが『穴』となる。
水槽の中に水を入れ、スポイトで水の中にインクを流し込む。
水槽の水が異空間。インクが重力が強くなった場所。
インクは四方に広がる。
この時、インクが広がり、世界と触れることで、片方に道が出来、2つ目の世界と触れた時、『穴』となり、2つの世界を繋ぐ。
理屈は分かったが、ではどうすれば?は、まるで分らない。
今考えられる有効な策は、ゲート反応が出たら、慌ててそこへ行くことぐらいだ。
でも、その『穴』がルーランに繋がっているとは限らない。
結局、帰還への有力な情報にはならなかった。
あとは「魔法」に関する質問が多かった。
実際見せるのは控えたが、攻撃力から、生活魔法迄の、詳しい話を聞きたがっていた。
私は口止めされていない事から、結構正直に話した。
「では、三本締めです。皆さん、これでお開きとなります。ご苦労様でした」
国際会議の終わりが三本締め。
私とマリリンさんは、各国の担当者から名刺をもらう。
私の知識は、関係者にとって有益だった。
家に帰り、嵐山、白鳥さん、飛鳥さん、マリリンさんは、お茶の間に居た。
「今回の会議で得られた情報は大きい。だが、魔法の存在も明らかに成ったことで、各国が動く可能性も出て来た」
「一応、柊さん達には、護衛を付けた方が良いかしらね?」
「陸自の特殊部隊を配置します」
それって、私たちが狙われるという事かな?
「まだ、国同士での話し合いが出来てないからな」
嵐山は、テーブルの下から、何かを取り出した。
「盗聴器ですね?もう見つけられましたか?」
仕掛けられたというのか?
「日本はスパイ天国だからな。他にもあるはずだ」
嵐山は家の中を歩き回り、ザル一杯の盗聴器を見つけて来た。
リアルに、国の研究対象になってる、と言う事に気が付いた。
「護衛を置くか、安全な場所に避難するか・・だな」
いや、そうでもない。私には打掛がある。
私は、異空間に手を入れ、打掛を取り出し着る。
手近にあったハサミを、嵐山に渡し、私を刺すように言う。
「!?」
嵐山の持つハサミは、私に触れることなく、見事に弾かれた。
って、こいつノータイムで刺しに来やがった。
「これは?」
刺してから驚くか?
普通、確認するとか、躊躇するとかしないか?
「この着物は、私の大切な人から貰ったもの。攻撃や悪意のある人から、私を守ってくれるの」
驚く3人。この世界でも、白姫さんの着物は、私を守ってくれている。
「柊は、それを身に着けて居ろ。マリリンさんは、柊から離れないようにしてくれ」
「陸自でも、身辺警護を出します」
チョイ、きな臭くなってきた。
もし現実なら、こうなるでしょうね。




