EP11 襲撃③
ステラ女王の回です。
1部の終了をEP13としていましたが、14に変更します。
なんと理解のある女王だ。
私の具申に「そうですか、分かりました。貴女は貴女の信じる行動をとりなさい」と言ってくれた。
私たちスノープリンセスは、王国部隊より外れ、遊撃隊として自由に動けるようになる。
「出来るだけ詳しい情報を、ジェームス係長から取り寄せて!リアちゃん、その情報と、この地図の情報を元に、シュミレーションして」
私たちも、行動には万全を期したい。できる事をやる。
ーーーローグ山の麓---
山裾から、平野部に続くオラシオ大草原。
現在オラシオ大草原のど真ん中に、各国から派遣された、40万の連合部隊が集結していた。
部隊の後ろ50K先には、中都市ムクリの街がある。
草原の住民は、ムクリへ避難を始めている。
城壁に囲まれてはいるが、200万のヒアリ族に襲われたら、ひとたまりもない。
ここが突破されれば、大惨事になる。
司令部は、魔道車両内に設けられた。ここには各国から来た副将クラスが集う。
魔道車両には、指示を出す大型のスピーカーがあり、40万の兵に指示が出せる。
魔道車両の中の司令部には、各種オペレーターや、各国の軍のトップ。
その中でも異彩を放つ存在。銀色の鎧を身に纏うステラ女王。
鎧に付いた幾多の傷は、歴戦のツワモノであることを物語る。
「いつ見てもお美しい」
リカ国の軍部最高指揮官『ランプ』が、ステラに声をかける。
「お褒め頂き、光栄ですわ。ランプ最高指揮官」
「また、ステラ女王陛下と共に戦えるとは、光栄ですな」
「まったくです。今回もよろしくお願いいたしますぞ」
男連中に囲まれたステラ女王は、大輪の花一輪。
「ミネルバ」の名は、各国に轟く有名人である。
「皆さん!」
声を上げたのは、当事国王子『ベルニア』
若くして軍のトップを任された・・・ボンボン。
身に纏う、傷一つない新品の鎧。値段だけは高そうな剣。
大きく立派な盾は、部下が持っている。
「私は、ランス国軍、最高司令官の「ベルニア」です。
今回、部隊の指揮を任されたました。若輩者ですが、よろしくお願いします」
挨拶は立派だが、各国の猛者たちは、冷ややかな目で見ていた。
小部隊と言えど、指揮を執るには経験が居る。ましてや40万の大部隊。
如何にも経験のなさそうな若者に・・・と思うのは自然な事。
「ベルニア指揮官、よろしくお願いしますわ。力不足ながら、私ステラが副官を務めさせていただきますわ」
あくまで控えめなステラ女王。
だが、ステラの言葉を聞いた、各国の猛者たちは、士気を高める。
『ステラ女王が付けば安心だ』
みんながそう思っていた。
「では、部隊に通達。突撃兵を前に!鋒矢陣形にて待機!」
ベルニアが指示を出す。
(鋒矢?また変な陣形を・・・何を突破したいのかしら?)
ステラは、ベルニアの陣形を疑問に思うが、あえて口は挟まない。
鋒矢陣形とは、突破に特化した陣形で、兵を矢の形に縦に並べた陣形。
司令部を、矢尻の部分の後ろに置くことで、司令部の防御は高い。
夕闇が辺りを包む。
山裾の監視は、暗闇でも関係なく見える目を持つギア族が行う。
「コードレッド!敵を視認。距離2.8k。数・・・多数です!」
監視をしていたギア族から報告が入る。
山裾に穴が開き、中から多数のヒアリ族が姿を現す。
「照明弾!撃て!敵を倒す!全軍進撃!」
大将ベルノアの初采配。
(・・・はぁ?)
ステラは声を上げようとしたが、間に合わなかった。
余りに酷い采配に、声が出なかった。
これは防衛戦だ。敵を迎え撃ち、守り切る戦い。
突破陣形で、敵を撃つのは愚策。
しかも魔法部隊を使わずに、突撃など・・・ない。
が、ベルニアの采配は軍を動かす。
下手に言い換えれば、軍は混乱し崩壊の恐れもある。
ステラは動けず。
ヒアリ族は、穴から続々と現れ、前進してくる。
突撃した部隊と接触。戦闘が始まる。
「わが軍は40万。敵は多いですが、我が先鋭部隊なら、楽勝です」
ボンボンである。
実戦経験に乏しく、常に最後方で指揮を執る若者には、無理な話である。
頭を抱えるステラと、各国の猛者。
「伝令!敵3時の方向に出現!」
右サイドに穴が開き、敵が現れた。
「伝令!10時に穴。敵、出てきます」
左からも敵。
鋒矢陣形は、突破に特化した陣形。囲まれると脆い。
「後方第2部隊!3時の敵に対応。10時の敵は後方第4、5部隊!」
すぐさま対応するが、一時凌ぎの対応になる。
「後方から敵!後ろに穴3つ。本隊です!」
突撃などするから、背後を取られる。
部隊の後方に表れた穴、これが本隊の出口となり、連合軍は四方から攻められる。
「ま、魔法部隊!左方向を・・・いや、後方だ、後方の敵を。
前衛部隊は、側面を対応!いや違う。側面は中央部隊が・・・」
即混乱。絵に描いた狼狽ぶりを見せるベルニア。
ステラはベルニアに歩みより、左手の甲で、ベルノアの右頬にビンタをかます。
「落ち着きなさい。貴方に任せていたら、兵が無駄死にです」
打たれた頬を抑え、目をあんぐり開けたベルニア王子は、無言のままだった。
『指揮は私が取ります!敵包囲網を突破!体勢を立て直した後、追撃』
「しかし突破と言っても、これは楽ではありませんぞ」
ラリア国のムスク軍司令は、レーダー画面を見て言う。
既に左翼右翼、後方とも、相当数のヒアリ族が押さえて居る。
「ローグ山を目指します!ルーラン国軍は前へ!我が先鋭たちよ!突き進みなさい!残りの兵はルーラン兵に続き、魔法部隊は、側面攻撃をしながら後方へ」
ステラの策は、前方の敵を突破。敵の進行方向と逆、いったん敵から遠ざかる。
混乱する兵に、ルーラン国軍を指名することで、各兵に自分の役割をはっきりとさせた。
ルーラン国軍は、前に出る。他の国軍はそれに続く。魔法部隊は、側面攻撃をしながら、後ろに着く。
自分の役割がはっきりすることで、動きは良くなる。
そして、先陣を切るルーラン兵も、信頼のおける女王の指示に、士気は高まり、前方のヒアリ軍を突破。
部隊は窮地を脱した。
「さて、反撃ですわ」
次回は雪姫の登場です。
この区切り方・・・だめですよね。




