EP5 マックスの宝探し④
着物を丁寧に畳んで、クレアちゃんが、箱にしまってくれた。
ブルック曰く。
「着物は「汚れた者」が触ると、防御の反応をする。ギア族は、心が綺麗だからな。ギムと違ってよ」
だそうだ。ギムは汚れた者。うちの男衆は、全員汚れている。触れられないはずだ。
「お前が袖を通した後は、性能が変わって『お前に敵意や悪意のある者から守る』になるはずだ。ギムでも触れるようになる」
流石は白姫さんだ。考えてある。
私が手にする前は、盗まれたりしない為。手にした後は、私を守る為。
考えてくれていることが、よく伝わってくる。
私は手紙を読む。ギルド宛ての方だ。
「皆さん元気にしている?私も元気よ」
嘘だ。死んでる。元気と言う表現はおかしい。
「ギム、お酒飲んでる?マリア、想いは伝わった?アローン君、背は伸びた?ギャリソンは化けの皮がはがれていない?ドクター、お酒飲みすぎて、医療ミスしないでね」
白姫さんが生きてるうちに、ギルドメンバーに成ったのは、ギムとマリア、アーロン君とブルック、ギャリソン、ドクターゼロの6人だ。
「私の知る未来は此処迄。ここから先を見ることはできなかったの。
でも心配はしていないわ。マックスが集めたメンバーだから。この先、どんな厄災が起ころうと、貴方たちなら乗り切れる。運命に抗がらい、未来を掴みなさい。がんばるのよ」
この手紙・・・・。
もう1通は私宛。これは後で一人で読む。
「ここは白姫が暮らしていた部屋だ。ギムたちは、屋敷に居ると思っていただろう」
「白姫様は、お屋敷で暮らしていたのでは?」
マリアが尋ねる。
「屋敷は酒臭いと言ってな、清らかな空間が作れないから、この山小屋に住んでいた。皆が来るときだけ、館の戻っていたんだ。この部屋が、白姫の暮らしていた部屋だ」
酒臭いって、ギムか?
「シャーマンとか言いながら、色々制限して暮らしてたんだ。部屋を浄化するために、毎日何時間も祈りを捧げ、食いたいものも食わず。
たまに会う、マックスのと時間だけを楽しみにな」
ここに染み付いた匂いが、白姫さんの。
ブルックはマックスの写真が飾られた前に行く。
「ここなら絶対、誰も入れない。絶対安全な隠し場所だ」
写真の裏、隠し金庫・・中から・・・
あっは~~~ん♪エロDVD
「・・・どこに隠しておくんだよ!せっかく白姫さんが浄化した部屋に、邪悪なモノ隠すかぁ?」
アーロンは、クィっと、眼鏡を持ち上げる。
「獣系・・・こっちが本線のようですね」
分析するな!!!エロガキじじぃ。
「これは旦那様の遺品として、大切に保管いたしましょう」
ギャリソン、見るつもりだな?
「こんなマックスを、見て見ぬふりをした、白姫はいい女だったぜ」
バレてたんかい!
こうしてマックスの仕掛けたゲームが終わる。
私たちはギルドへ戻る。
マリアは、私の部屋を浄化してくれた。
消臭剤、消毒剤を液ごとまき散らし、絨毯や壁紙を力任せに引っ剥がし、家具やベットを窓から放り投げる。
「不潔よ!不潔よ!」と叫びながらのその姿は、まさに鬼神。
覗いた時、何見たんだよ。
今日は宴会だ。毎日宴会してる気がするが、今日はブルックの復帰祝い。
「ブルックの復帰を祝って!乾杯!」
アーロン君の横に座るブルック。
ギルド創設当初のメンバーで、本来は大幹部。
迷い人のアーロン君は、穴から落ちてきた当時は12歳。幹部より、アーロン君を守る方を選び、付き人となったそうだ。
見た目通り、豪快な男気のある奴。
「なぁ雪姫。あの着物、着たとこ見せろよ」
酔ったブルックは、まるで旧知の仲かのように言う。
「ああ。ごめん。やっぱさ、初めて着たとこ見せるのはさ」
見せたいが、これは決めていた事。
「ああ・・すまんすまん。俺も無粋だな。よし乾杯だ!みんな立ってくれ」
ブルックが声をかけた。全員が立ち上がる。
これだけでブルックの存在感が分かった。
「あの世でいちゃついてる、マックスと白姫に。そしてその娘に、乾杯だ!!」
くそ!なんていいやつだ!
皆は大きな声で乾杯してくれた。
この日は、朝まで飲んだ。私も弱いお酒を飲みまくった。
目が覚めたのは、ギムの館だった。
飲み潰れた私を、リアちゃんがおんぶして、運んでくれたらしい。
ギルドの私の部屋は、何もない。全部捨てられた。
他の部屋も開いてはいるが、マリアに誘われ、ギム宅にお泊り。
これでお酒を飲み、2回とも意識がなくなっている。
乙女としては、不味い状況だ。
「あ、マスターお目覚めですか?」
「リアちゃん、・・また迷惑かけたね」
リアちゃんの清々しい笑顔が、二日酔いの私に元気を与えてくれた。
「これギャリソンさんから、お預かりしているんですが」
ヴぇ・・・例の丸薬だ。
「いや、大丈夫。と言うか、それ飲むと死ぬし。またマックスとご対面だよ」
リアちゃんは頷きながら、丸薬をポケットにしまった。
「やっと起きたのか」
家主様、お恥ずかしい所をお見せしました。ギムに呆れられた・・。
「大丈夫ですか?相当酔われていましたよ」
「マリア・・そんなに酷かった?」
「はい。ブルックさんと意気投合されて、まるで昔からの、親友のようでした」
・・・・マックスの時もだったな。即日馴染んだんだっけ。
「次から注意します・・反省です」
テーブルの上には、料理が並んでいた。お昼まで寝てたんだ。
ルルとララは、妖精族で、菜食主義だ。
マリアと住みだしてから、料理はマリアが作っている。ギムは食べないし、マリアもお付き合い程度。この家での料理は、野菜物だけに成る。
私の皿には、マリアが気を利かせてくれた。スクランブルエッグが乗っている。
この卵料理、見ただけで胸が熱くなるの、まだ続いてるんだよね。
マックスの言う「俺からのどでかいプレゼントがある。気に入るはずだ」
あれは、ブルックの事だね。全くどこまで見えていたのか?運命を信じざる得なくなったよ。
どでかいプレゼント、気に入ったよマックス。私、頑張るからね。
玉子って美味しい。
私はマックスが作ってくれた卵料理を思い出す。




