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EP4 恋せよ乙女⑤

1つ屋根の下の物語w

「あ!ギム、ごめんね」

風呂場のカーテンを開けると、裸のギムが居た。

「お?入ってたのか?」

風呂場にギムが入ると、マリアが湯船に居た。


「ギム、それ私の」

洗面所のコップを間違える。


「いたたた・・・」

重なり合う2人、マリアの上にギムが乗り、右手はマリアの胸に。

「う~酔っぱらった」

部屋を間違え、ギムはマリアの寝るベットの中に。


ギムとマリアの共同生活が始まり、三日が過ぎた。

奇跡的頻度で起こるイベントの数々。が、そこまで止まり。その先がない。


色々と起こるが「すまん」「良いの」で終わる二人。

見てる方が歯がゆい。歯がゆいも、度を超すとストレス。ルル、ララ精神衛生上、よくない状態に陥る。


妖精族の二人が決起する。

雪姫とは違い、ギムとマリアを良く知る二人。その二人が手を組めば、それは最強。



「ギム!いるか!」

ギムの屋敷に来たのは、医療部の責任者。ギルドドクター「ゼロ」


ギルド再建に当たり、3つの改革をした雪姫。その一つが食堂の解放。もう一つが医療部の設立。

この世界に保険制度はない。冒険者は自ら受けた傷は、自ら治さなくてはならない。

激高のポーションなど使えず、怪我をすればクエストにも出られず。

その為、怪我を恐れ、あと1歩が踏み込めない。

その1歩が、クエスト達成の障害となる。

そこで雪姫は、クエストで受けた傷を、無償で治療できるように、医療部をギルド内に設置。

傷つくことを恐れない冒険者は、思う存分に戦えた。

結果、クエストの達成率は跳ね上がる。

初期投資はかかったが、採算の見合う部署となる。


ドクターゼロ。

マックスの時代から、幹部専属医としてギルドを支えた一人。

傷の多いギムにとっては恩人。頭の上がらない、数少ない人物。


「定期健康診断じゃ」

今日はギムの定期健康診断のため、ギムの館を訪れた。

と、言うのは建前で、この男には逆らえないと知る、ルルとララの仕込みである。


「腕だせ。腹だせ。脈だせ。サッサと言われた通りにせんかい!」

ギム、まな板の上の鯉。言われるままに検査を受ける。

「ドクター血中酸素濃度98、心拍数78です」

「血圧120-75。体温36.5」

看護師がバイタルを図る。

「これは!?なんじゃ!!!緊急事態じゃ!」

ドクターゼロ。名医だがお茶目でもある。

「お、おい・・ドクター、悪い所でもあるのか?」

「不味いぞ、不味いぞ・・・これは不味い」

不安になるギム。生まれてこの方、怪我はあるが病気はない。

ドクターの慌てぶりを見て、不安になる。


「いいかよく聞けギム。お主は病気じゃ。『5日病』と言ってな、5日間の間に、起き上がると死んでしまう、奇病じゃ」

そんな病気はない。


「なんだと!?起き上がれないのか?」

「うむ。だが幸い発見が早かった。後15分遅ければ、お主は助からなかった」

でたらめである。


「今から5日間、このベットから起きることを禁ずる。5日たてば完治じゃ。5日間の辛抱じゃ。身の回りの世話は、マリアに任せるとするか」

出来レースである。



先日の同パターン。

見舞いに行った女子を見て、惚れる男。手厚い看病を受け、惚れる男。今回は後者。


今までの失敗パターンの重複にも思えるが、今回の効果は絶大。

ケガに関する知識は、医者並みのギムだが、病気となると、まるで無知。知識もなく、でっち上げられた5日病を信じ込む。


「マリア・・済まないな。俺を助けてくれ」

すっかり弱気。

マリア、そんなギムを見て、胸がキュンキュン。必要以上の献身的介護になる。


体を拭く、汗を拭く、酒を飲ませる、衣類の交換、下の世話まで。

ギア族は休む必要はない。動力さえあれば何年でも活動していられる。そんなマリアは、片時も離れない。24時間付きっきりの介護。


流石の鈍感なギムも、考える。

  「マリア無しでは、俺は生きていけない」

マリアに対する、特別な思いを自覚する。


ルルとララは、敢えて家を空け、この館の中は二人だけ。

同じ部屋に二人の男女。今までなら、起こっても行き止まりのイベントか事故。4日目にして、遂に固い扉は開かれる。


ギムがマリアの手を握った!

「マリア。感謝してる」

マリア、感無量!

今までは、マリアから手を握ることはあったが、ギムから握って来たのは初めて。

男女にとっては小さな一歩だが、二人にとっては偉大な一歩。


そして5日目を迎えた、解禁まで、あと30分。

「ギム、よく頑張ったわね。後30分の辛抱よ」

「ああ、マリアのおかげだ」

実はマリア。ルルの仕込みで、この5日病を信じ込まされている。

つまりこの二人、ギムが起き上がると、マジ死んじゃう、と信じている。故に、迫真。迫真故に、心に穿つ誠の愛。


後15分。

「ねぇギム、なにかして欲しい事ない?」

マリア、最後のおねだりを求める。

普段なら「ないな」か「酒」で済まされるシーン。

が、今は違う。

「そうなだな、背中、掻いてくれるか。かゆくてよ」

15分我慢すれば、自分で掻ける。が、甘えたい。

「襟から手を入れるわね」

マリア、服の上からではなく直接行く。

「下・・・いや横・・チョイ上、下下下」

マリアの指が、ホットスポットを探す。その動きも気持ちいい。身をよじるギム。更に腕を奥へと入れるマリア。

いつしか2人の顔は、鼻と鼻が触れ合う位置。


目線・・・重なり逢う。


2人の動きが止まる。この目線、切ることはできない。

「マリア・・・」

「・・・・ギム」

心が、1本の糸で繋がった瞬間。

マリアはゆっくりと、首を下げる。

唇と唇は優しく・・・・。


    その時!「ピーーーーーー」

マリアの電池切れを知らせるピープ音。

慌てて体を起こすが、時すでに遅し。体内の電力はゼロ。

意識を失う。


本来ならあり得ない事態。

が、この5日間、体内ではキュンキュン回路がフル稼働。大量の電力を消費。胸のクリスタルより、横たわるギムを見続けていて、電池切れに全く気が付かない。


マリアの体が、跳ね上がったように見えたギムは、自分も上半身を起こそうとした。

電力を失い倒れ込んでくるマリアの頭が、起きようとしたギムの頭とぶつかる。

普段ならこの程度の衝撃、屁の河童のギムだが、メンタルが弱っていて、油断も重なり、まさかの失神。


2人は重なり合うように倒れ込む。


屋敷に戻り、その光景を見守っていたルルとララ。

すんでの所で起こったアクシデントに、頭を抱える。



しかし、意識なく倒れた二人の唇は、しっかり重なり合っていたという。




月曜の更新時間が、夜になります。

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