EP4 恋せよ乙女④
おバカなギムと、おバカなマリアの回。
マリア、ルルと雪姫と共に、ギムの館を訪問。
元貴族の館と言うだけはある。
門から館まで徒歩5分。
大きな噴水は、マックスの館と同様、館の前に有り、左右に広がる広大な庭。
館は2階建ての立派なモノ。が、なぜか酒臭い。
玄関の前に立つ3人は、ベルを鳴らす。
「こっちだ、こっち!」
ギムが2階のベランダから、顔を出す。
「梯子があるから、登って来い」
(???梯子)
色々疑問はあるが、言われるままに、置いてある梯子から、ベランダへと登る。
!!!!声に出せない驚き。
ベランダの中は、酒の瓶で溢れかえっていた。
「気を付けろよ。上手く歩かないと転ぶぞ」
床一面に、酒の瓶が何層にも重なり合っていた。
バランスを保ちながら、ゆっくり歩く。部屋の中はベットの高さまで、酒の瓶が積み重なる。そのベットの上には、ララが寝ころんでいた。
「ギム・・・これって」
マリアが堪らず口を開いた。
「お前の部屋は、ここで良いか?俺と一緒だが、嫌か?」
(まさかとは思うが、他の部屋って)
「・・・ギム様、他のお部屋は?」
ルルが訪ねるが、ギムの付き人ララは、ベットの上で、首を左右に振る。
「他の部屋は、瓶に占領された。階段も通路もだ」
なに、サラっと言うか?
「この館の中で、ここだけなの?瓶に占領されてないの?」
雪姫は、結果ありきで答えを聞いた。
「ああ、ここはまだ住めそうだ」
(これだけ広いた館で、居住スペースがベット1つかよ)
「あ、あのね、ギム。もしもね、もしもよ、私がここでお世話になるとすると、休む場所は・・」
マリアは手を前で組んで、あごの前に置き、目を輝かせながら聞いた。
「そりゃお前、ベット以外ないだろう。瓶の上では安定しないからな」
マリアは雪姫の方に、勢い良く首を向ける。
(なんだ、その『私、幸せ』的な顔は)
「あのね。あの・・ギムは何処で休むのかな?」
「そりゃお前、同じベット以外ないだろう」
マリアのCPUがフル稼働、シュミレーションを行う。
高度な演算機能が、同じベットで横たわる、二人を映し出した。
「マスター・・・いいかも」
(よくねーよ)
「マリア、冷静に。そのベットの中にはさ、ルルとララも居るんだからね」
「ああ・・愛する旦那様と可愛い娘たち。並んで寝るなんて・・・素敵」
(うわぁ)
「ルル・・これ何とかならない?リセットとか、できない?」
酔いしれるマリア。
「マスター、マリア様は、酒の匂いで酔ってる可能性があります」
確かに酒臭い。と言うレベルではないね。
「一度リセットをかけてみます」
ギア族は酔っぱらう。が、リセット機能を使えば、酔いは直ぐにさめる。
嫌がるマリア。
「私の幸せを奪わないで!」
抵抗するが、手慣れた手つきで、ルルはマリアのリセットを行う。
「あれ?・・・私」
やはり酔っていたようだ。
「マリア、このベットの上で、ギムとララとルルで生活するの。大丈夫?」
「え?このベットの上でですか?・・・・ギムと?・・・・いいかも」
はいはい。
「雪姫様から、緊急クエストの要請。幹部、手の空いている職員、冒険者、可能な限り集めるようにとの通達」
ギルド、冒険者管理課に雪姫から要請が入る。
ギルド内に放送が流れる。
「手の空いている職員、冒険者の方は、至急ギルドフロントにお集まりください。幹部の方は、ゲートにて指定座標への移動をお願いします。繰り返します。緊急クエストが、雪姫様より発動されました。
手の空いている・・・・」
「おい、なんだよこれ?どうしたんだ?」
「緊急クエストって、なにが起こった?」
「幹部も総出だそうだ」
「こんな大がかりなクエストは、穴から魔王が落ちてきた時以来だぜ」
「腕が鳴るな!俺たちの実力見せてやろうぜ!」
冒険者たちは、高揚した。
「ギムの家の大掃除!この依頼、受けて!」
集められた冒険者、ギルド幹部、ギルド職員、総勢70人。
彼らを前に雪姫が、懇願した。
「なにいぃぃ?」
70人のため息。
「1班は瓶の搬出。2班は家具。全部捨てて!3班は壁を拭いて!4班は床よ。5班は消毒!サクサク動かないと、今晩中に終わらないからね」
雪姫は指揮を執る。ギルドフラッグ、不屈の魂は、激しく燃えていた。
「こんなに広いんですね」
マリアが屋敷の中を見渡した。
1Fはエントラスト、舞踏会が催せる広さの部屋があり、同程度の広さの食堂と、大きなお風呂。
2Fには部屋が10あり、左右にベランダの付いた部屋が1ずつ。
ギムは、2Fに上がって、すぐの部屋を選ぶ。マリアが選んだのは、その隣の部屋だった。風水的にも、ルルはOK。
「ベランダの部屋にすればいいのに」
雪姫的には、ベランダだが、少しでも近くに居たい乙女としては、お隣がいい。
これで事実上、同じ屋根の下の共同生活。トイレ、お風呂共同。
あんなお約束アクシデントや、こんなお約束イベントの発生に、大いに期待が持てる状態。
「ここ、いいね・・私も住もうかな?」
マリアは「えっ?」と言う顔をする。
私とギムなら、それは「押しかけ女房」だが、他に誰かが住むとなると、そこは下宿。乙女的には天と地の差。
「あはははは・・・・嘘だよ嘘」
本気だった雪姫だが、マリアの顔を見て、ごまかした。
マリアとギムの、共同生活が始まった。
次回、恋の行方は?さらにおバカな回です。




