EP4 恋せよ乙女②
恋の魔法使い『キューおばさん』編です。
「ぼくと付き合ってください」
ギルドの職員と冒険者。お付き合いするカップルは、少なくない。
だが、強い男を見慣れているギルドの女性は、弱い男、駆け出しの冒険者にはなびかない。
当然、お付き合いの相手は、強い冒険者か、ギルド職員。
ギルド内では、コイバナが頻繁に蔓延している。
食堂勤務。「恋愛クィーン」と呼ばれる、おばさまが居た。
その名を「キュー」さん。キューピットのキューだと自称する。
恋の架け橋。愛の伝道師。その異名は、結んだカップルの数が物語る。
実にくっつけた数370組。
今日も彼女の元に、恋の悩みを相談するものが訪れる。
「次の方。はい、食券は・・カツどん。並んで待ってな」
彼女の仕事は、調理場内での食券係。
客が購入した食券を確認、調理場に通す。できた料理をスムーズに提供するのが仕事。
ギルドの食堂は、本来は職員のための場所。
しかし雪姫は、ギルドの再開にあたり、3つの改革をする。その一つが、ここギルド食堂。
大幅に拡張し、人員を増やし、冒険者に解放。非営利部門とし、価格は相場の半額以下。スノープリンセスに登録すると、食事が半額。
登録料以上の元が取れると大人気。確実に登録者を増やす要因となっている。
で、問題のキューおばさん。
ここがギルドである以上、例え恋の相談も、クエスト。
「はい。次の方」
食券を受け取るキューおばさんの顔が、仕事人の顔となる。
「この依頼、受けたよ」
そう、券売機の中に「恋のお悩み相談定食」5S (1ゴールドの半分。Sはシルバー)と言うのが存在する。
この券を購入。キューおばさんに渡す。
依頼は受諾され、繁忙時が過ぎた、午後2時、依頼内容をキューおばさんに告げる。
今回の依頼者
冒険者 トニー 年齢19 人間種 職業ランクC 容姿★3
彼の恋した乙女。
パン屋の娘 年齢17 人間種 職業ランクC 容姿★4
事もあろうか、冒険者が一般人に恋してしまった。
危険な仕事、保証なし。こんな冒険者は、いつ帰らない人となるかもわからない。
覚悟を決めた、冒険者同士でのカップルが普通。
一般人相手では、安定性に欠ける冒険者は敬遠の対象。
この恋は、スタート地点からすでに、いばらの道。
それでも、一度受けたクエストは、投げ出したりはしない。
「まずは相手の情報だよ。情報部に協力要請」
これはクエスト。ギルド公認のお仕事。当然ギルド内機関である、情報部の活用も可能。
送られてくる情報はBランク。
Bランクは、一般的にプライバシーに抵触しない内容。
因みにAランクはプライバシーガン無視。
Sランクは、丸裸。
SSランクともなれば、本人さえ知りえぬ情報も満載。
キューおばさんの権限ではBランク迄。それでも、値千金の情報。
「名前 クリス。年齢17 誕生日3月3日。人間種 血液型A型
職種パン屋。職業ランクC
交際履歴 15歳3か月~16歳11か月
16歳7か月~ (重複期間 4ヶ月)
交際内容 B
趣味 ショッピング 料理
月額平均消費 5G
備考 現在、職業ランクBの一般人男性と交際中。関係は良好」
交際内容のBとは、行くところまで行っていない・・と言う事である。
「これはきついね。あんたの職業ランクはC。今付き合ってるのはBで、しかも一般人」
これを聞いたトニーは・・・
「キューおばさん!お願いします!僕なんとしても、クリスちゃんと付き合いたくて」
普通なら無理。諦め案件。それでも、キューおばさん、動く。
パン屋さんに出向く。
夕方、パン屋の中にはお客は居ない。掃除をするクリス。
「ほ~可愛い子だね」
キューおばさん、弓を取り出す。
そう、ここは魔法の世界。日常的に魔法が使われ世界。
恋も例外ではない。
キューおばさんが、恋の矢をクリスに放つ。胸に突き刺さる!!
「いいかい、今から3時間、あの子はあんたに好意を抱く。勿論、今付き合っている男の記憶や、自分の意思や記憶もしっかり持ってるよ。この3時間で落としてきな」
キューおばさんが作るのは、濃厚なきっかけ。
3時間の間、好意を抱かせる魔法。その間に、自分をアピール。
魔法の効果が切れても、好意を持っていれば成功。
抱いた好意が、付き合うBランクの男より上なら、交際ゲット。
気持ちを書き換えたり、強制するものではなく、あくまで自分次第。
健全な魔法。
「依頼完了だよ。お疲れさまだよ」
こうして恋愛クィーンの仕事を終える。
色恋の絶えることはない。
また今日も、クィーンの元に、一人の女性が訪れる。
「次の方・・・この依頼、受けたよ」
依頼主は雪姫!
当然自分の事ではない。マリアとギムの事だ。手に余ると判断した雪姫は、恋愛クィーンを頼る。
恋愛クィーンVSギム。
静かな戦いが幕を上げる。
次回は、ギムVSキューおばさん。




