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リコールされたけもの耳ロボット

 大きいけもの耳ロボットが突然言った。

「今日でお別れです。リコールされたようです。

このボディは廃棄です。それと新しい体にはこのプログラムは適合しないので私はグッバイです」


「は?」

 何言っているのかわからなかった。


「本当です。シリアル番号から確認しました。もうすぐで回収班がきます」


「なんだよ急に…」僕はソファーから立ち上がる。


 僕は大きいけもの耳ろぼっとの腕をつかもうとする。


「ぼっちゃん。足元にうんこがあります」とおおきいけもの耳ろぼっとが言った。


「え?」僕は足元をみる。足の裏もみる。

 うんこはなかった。

 それにうちの中だ。


 なんだよ…といいかけたがロボットは出ていってしまったあとだ。


 僕はいそいで部屋を出て、家もでる。


 回収用の車はどんどん走り去っていく。

 向かうのはいつものけもの耳ロボットをメンテしているセンターだ。


 センターの前には他にも人がいっぱいいる。


「責任者をだせ…」

「あたしのろぼっとかえして…」と泣いている女の人。


☆☆☆


 どうやら本当らしい。


 僕はとぼとぼとうちへ帰宅する。


 うちの中。しーんとしている。


 いつもくだらないことを言うおおきいけものみみろぼっと。

 たまに変になって姉御モードになるナースのロボット。


 いまはいない…


 台所へと行く。


 テーブルの上には一人分のご飯がある。


「ちんちんして食べてね」とあった。

 ちんがおおいよ…


 献立をみる。

 ツナ缶料理ところっけだった。

 コロッケは大きいので、コロッケの中に小さいハンバーグが入っているんだろう。

 そして中のハンバーグの中にはさらに小さいコロッケが…そしてそのコロッケの中には肉団子がはいっているはずだった。

 無限にコロッケと肉が続いていくような変な料理。


 これももう、食べられないのか…


 その日の夕食は冷蔵庫の中にしまい、そのまま無気力でベッドの中に入った。


☆☆☆


 次の日… 祭日だった。

 朝の10時ごろ、家の玄関のチャイムが鳴った。


 誰だろう。ぴんぽんぴんぽん何回もなる。


 僕は出る。


 そこにはマスクをした二人の女。けもの耳つきだ。


「新しいろぼっとを届けに来ました。ちなみに青い猫型ロボットではありません」

「2体ありますので、このあやしい書類にサインを…」

 と言う子達。


 じーと僕は見る。


 じー。


「なんでしょう?」いかにも初対面という顔をしているろぼっと。


「あんた。僕のろぼっとでしょう?」言う。

 絶対そうだ。


「ちがいますよ…ねえ?」後ろのロボットにも聞く。

「そうです。だんじてナースのロボットではありません」

 という2体のロボット。


 じー。

 じー。

 よく見る。


「そういえば。うんこ踏んでなかったよ…」

 おおきいけもの耳ロボットに言う。


「ちっばれましたか……あっ」

 急にそっぽを向くロボット。


「とりあえず。うちの中にはいってよ…」

 ため息をついた。でも内心とっても嬉しかった。


☆☆☆


「話すとハリウッド映画9作分のボリュームになるのですが…」とろぼっとは言った。


「いいよ。言って。時間はたっぷりあるから…」

 僕はロボットをみる。


「えーとですね。リコールの案内メールがきたので、自分の背中のハッチの裏に書いてあるシリアル番号を

余っている紙テープに書いたのですよ…その紙テープを玄関に置いてから、庭をいじってたのです。

そうしたら…」


「したら?」僕はまたじーとみる。


「したらですね。小さい虫が紙テープのはしを少しかじっていたのです。最初の番号の8が9に読めるようになったので、

リコール対象のと間違ったようです。

ナースのロボットはシリアル番号を鏡で見ながらメモ帳に書き写すときに数字の6と9を見間違ったようです」


 ……

「なんで自分のシリアル番号を知らないんだよ…それに数字を間違ったり…本当にロボットなの?」


「これでもけもの耳ロボットですが…」

「ですが…」

 と言う2体のろぼっと。


「それで? なんですぐに帰ってこなかったの?」僕は聞いた。


「そのあと、センターから工場まで運ばれましてね…

シリアル番号違いなのはセンターにいるときに知ったのですが…いつもメンテしている男の人が手続きを適当にしてて

2体のロボットを工場送りにしました。

この後からなのですが…はでなカーチェイスを繰り広げながら逃げてですね。脱走ロボットを追いかけてきたT型のロボットがショットガンを使って追いかけてくるわ。タンクローリを盗んで追いかけてきたロボットがいたのですが、タイヤもとに踏んだら爆発するバッテリーを投げ込みましてね、ローリーは爆発したのですが、炎の中から歩いてくるロボットがいまして…強敵だったのです」

「です」


 僕はジト目になった。「ふーんそれで?」


「そのあとは、ちょうどドリンクメーカーの飲料補給用のトラックの扉が開いてまして…中にもぐりこんだのです」

「です」


 「ふーん。で?」僕は聞き流すことにした。


「そのドリンクメーカーのトラックは街の外れにある鋳物工場へと行くことになっていたようでして…

追いかけてきたロボットを溶けた鉄の中に落とそうと待ち構えていたのですが…」

「ですが…」


「ふーん。で?」僕はジュースを飲んだ。


「その間。床に落ちていたボルトだったか、ナットを踏んで液体の中に私が落ちてしまったのです」

「です」


「ふーん。で?」うさんくさい。でも話は聞く。


「私は覚悟を決めました。機能停止をする前に、ナースのロボットに手を上げて、親指でグーのポーズをとりました」


「なんで生きてるの?」僕はおおきいけもの耳ロボットに聞いた。


「私が落ちたのは、洗浄用のプールだったのです。溶けた鉄のプールのそばに行くのは怖いので…」


「で?」


「それからが大変だったのです。追いかけてくるはずのロボットは来ませんでしたし…

私は工場の人にものすごく怒られましたし…」


 それだけだった。


 あとでテレビをつけるとタンクローリの爆発事故のニュースをやっていた。

 運転していたのはロボットで、自力で車外まであるいて出たロボットは消防車を呼び出したようだ。

 追手のロボットではなかったみたいだ…


 それと同じ時間帯にショットガンを発砲して強盗を試みようとした犯罪者もいたみたい。


 僕はおおきいけもの耳ロボットのぼたんを押した。

 ダダダーん。だだん。と聞いたことがある音楽が鳴った。

 けもの耳ではなく、グーに握った手が2つ頭から生えてきた。


 もういちどボタンをおした。

 にゅーにゅー。違うものがでてきた。


 何かの半導体のチップのようだった。T型のロボットの頭脳に使われているようなチップ。はじが欠けている。


 またぼたんをおした。

 台にくっついている金属製の猫耳がでてきた。

 そして、金属でできている猫耳は溶けていって、台の上にひろがった。

 その後、別のきつね耳の形となるべく、液体金属はべつの耳の形となった。


「怖いよ…もうそのネタはいいから…」


「そうですか。最新ですのに…」


 またろぼっとは頭をだしてきた。


 ボタンを押すといつもの猫耳にもどった。



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