表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

はじまり

 今は西暦2102年。僕は今日両親に『ろぼっと』を買ってもらった。

 両親は仕事でしばらく家をあける。

 家のこととか、食事の世話をお願いするため。


 機種は3種類の機能を持つ『けもの耳ろぼっと』に決めていた。

 ネコミミ、狐ミミ、トリ。の3種類である。

 ボタンを押すと、頭にネコミミと尻尾がろぼっとに生える。

 またボタンを押すと、頭に狐のミミと、お尻にふかふかの尻尾が生える。

 またボタンを押すと、頭はふかふかの鳥の羽毛で覆われて、背中におっきな羽が生える。


 これでさみしくないし。今は禁止されているペットとの生活の代わりとなる。

 昔はよかったなあ。生まれる前の話。

 ペットが人と一緒に暮らしていた。


 僕はボタンを2回押した。

『ろぼっと』は狐ミミとなった。


「今日は、このふかふかのしっぽを枕にして寝るんだ…」

「おやすみなさい」ロボットは言った。ロボットは安価なタイプなので、簡単な会話しかできない。

ロボットのふかふかの狐しっぽを枕にして僕は眠りにつく…


☆☆☆


 朝。目がさめる。

 隣には『けもの耳ろぼっと』。スリープ状態だ。

 スリープから解除するボタンを押す。

 ついでに、ボタンを押してネコミミモードになるようにする。


「おはよう。ごはんつくる」

『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。


☆☆☆


 僕は学校へ行く。

 普通に授業を受けて、午後に家へ帰る。


☆☆☆


 家に帰るとネコミミのメイドが掃除をしていた。

 自分で掃除のときにメイド服を着用したみたいだ。


「おかえり。買い物に行ってくる…」

 ネコミミメイドの姿のまま、ろぼっとは買い物に出かけた。


 夕食の献立。煮干しでだしを取ったお味噌汁。サンマ。サバの味噌煮。鰹節が乗ったほうれん草のお浸し…

「ねえ。魚系が多くない?」

「そうですか。普通ですよ…」

『けもの耳ろぼっと』はネコミミメイドの姿のまま、夕食が終わるのを待っていた。そして後片付け。僕は『けもの耳ろぼっと』のボタンを押して、トリのモードにする。ボタンを押すと、ネコミミが頭の中にひっこみ、代わりに羽毛のような体毛が生えてくる。背中にも羽。

 あれ? ネコの尻尾はそのまま収納されずに生えている。

「あのトリモードなんだけど、なんでネコの尻尾はそのままなの?」

「あ。それですか? たまに引っ込まなくなるんですよ。あたしのお尻を叩いてください」

「叩くの?」

「はい」

ぱん。ぱん。ぱん。とお尻を叩く。すると、ネコの尻尾はろぼっとの中に収納されていった。


さてと、今日ももう寝る時間。

今日はトリの羽毛に包まれて寝るんだ。

「おやすみ…」

「はい。私もスリープモードになります」

フカフカの羽が僕を包み込む。


☆☆☆


 朝。目がさめる。

 隣には『けもの耳ろぼっと』。スリープ状態だ。

 スリープから解除するボタンを押す。

 僕はベッドを見た。トリの羽が抜けたものがいくつか落ちている。

 ろぼっとなのに羽が抜けるのか。以外に凝った作りだ。

 僕は、ボタンを押して、狐ミミモードにした。

 ふかふかの羽毛はひっこみ、狐のような耳が頭に生えてくる。

 そして、しっぽ。半分までしか出てこない。

 僕はまた、『けもの耳ろぼっと』のお尻をたたいた。

 にゅー。ネコの尻尾が生えてきた。

 もう一度お尻を叩いてみた。

 すると、今度はちゃんと狐のような太いふかふかの尻尾が生えてきた。


「おはよう。ごはんつくる」

『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。


 今日のご飯は、やたらと油揚げが目立つ献立となっていた。

 僕は学校に行く時間になったので、家を出る。


☆☆☆


 家に帰ると割烹着を着た、狐耳の子が掃除をしていた。

「おかえり。買い物に行ってくる…」

 狐耳の割烹着を着たろぼっとは買い物に出かけた。


 夕食の献立。今夜は普通にハンバーグカレーとサラダだった。


 そして、夜寝る時間になる。僕はボタンを押さずにそのまま狐耳モードのままとした。

「おやすみ…」


 ゆさゆさ。ゆさゆさ。

 体がゆさぶられる。

「おはよう。ごはんつくる」

『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。

 目覚ましが鳴らなかった。昨日セットするのを忘れたのか。

 眠い目をこすりながら起きた。平日にある時間を過ぎると自動的にスリープモードが解除される。僕を起こしてくれた。


 今日も朝ご飯は、油揚げが目立つ献立となっていた。昨日のとはおかずの種類が違う。

 僕は学校に行く時間になったので、『けもの耳ろぼっと』のボタンを押して、トリモードにしてから家を出る。


☆☆☆


 学校の授業がおわり、家に帰るとエプロンをつけた羽を持つ子が掃除をしていた。

「おかえり。買い物に行ってくる…」

 エプロンの柄は、ニワトリとたまごのアニメの絵がかいてある。そのまま、ろぼっとは買い物に出かけた。


 今日の夕ご飯は、昨日の残ったカレーを流用したカレー味のスープと、中にほうれん草が入った卵焼き。鶏胸肉と豆苗の豆乳ごま和え。茶碗蒸し。中に昨日の残りのハンバーグが入ったハンバーグ入りオムレツ。

 なんか鳥系、玉子系の料理が目立つなあ。


 夜寝る時間。ボタンを押して、ネコミミモードにする。

☆☆☆


 朝。苦しくて目が覚めた。

 『けもの耳ろぼっと』は僕の体の上に乗っかっていた。体を丸くしてネコのようだ。

「重いんだよ。こら」

言ってもろぼっとはスリープから解除にならない。僕はスリープ解除のボタンを押した。

「おはよう」

「重いからどいて…」

「おはよう。ごはんつくる」

『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。


 今朝は、サンドイッチだった。目玉焼き。卵焼き。たまごサラダ。たまごの具とツナの具がはさんであるサンドイッチ。それとコーンスープだった。

 たまごが多いのは昨日の影響か。僕は『けもの耳ろぼっと』のボタンを押した。

 ネコミミが頭の中に引っ込み。今度は尻尾もちゃんと、ろぼっとの中に格納された。

 そして、耳が出てくるのに時間がかかっている。ぴょん。とウサギの耳が出てきた。

「なんで、ウサギの耳が出てくるの?」

「そうですか。今日は当たりですね。たまに出るんですよ…

そういえば、学校の時間ですよ…」

「はいはい。じゃあ行ってくる」


 学校の授業がおわり、家に帰るとエプロンをつけたうさ耳の子が掃除をしていた。

「おかえり。買い物に行ってくる…」

 エプロンの柄は、大きなニンジンの絵柄になっていた。


 今日の夕食はニンジンずくしかな。僕は思った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ