はじまり
今は西暦2102年。僕は今日両親に『ろぼっと』を買ってもらった。
両親は仕事でしばらく家をあける。
家のこととか、食事の世話をお願いするため。
機種は3種類の機能を持つ『けもの耳ろぼっと』に決めていた。
ネコミミ、狐ミミ、トリ。の3種類である。
ボタンを押すと、頭にネコミミと尻尾がろぼっとに生える。
またボタンを押すと、頭に狐のミミと、お尻にふかふかの尻尾が生える。
またボタンを押すと、頭はふかふかの鳥の羽毛で覆われて、背中におっきな羽が生える。
これでさみしくないし。今は禁止されているペットとの生活の代わりとなる。
昔はよかったなあ。生まれる前の話。
ペットが人と一緒に暮らしていた。
僕はボタンを2回押した。
『ろぼっと』は狐ミミとなった。
「今日は、このふかふかのしっぽを枕にして寝るんだ…」
「おやすみなさい」ロボットは言った。ロボットは安価なタイプなので、簡単な会話しかできない。
ロボットのふかふかの狐しっぽを枕にして僕は眠りにつく…
☆☆☆
朝。目がさめる。
隣には『けもの耳ろぼっと』。スリープ状態だ。
スリープから解除するボタンを押す。
ついでに、ボタンを押してネコミミモードになるようにする。
「おはよう。ごはんつくる」
『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。
☆☆☆
僕は学校へ行く。
普通に授業を受けて、午後に家へ帰る。
☆☆☆
家に帰るとネコミミのメイドが掃除をしていた。
自分で掃除のときにメイド服を着用したみたいだ。
「おかえり。買い物に行ってくる…」
ネコミミメイドの姿のまま、ろぼっとは買い物に出かけた。
夕食の献立。煮干しでだしを取ったお味噌汁。サンマ。サバの味噌煮。鰹節が乗ったほうれん草のお浸し…
「ねえ。魚系が多くない?」
「そうですか。普通ですよ…」
『けもの耳ろぼっと』はネコミミメイドの姿のまま、夕食が終わるのを待っていた。そして後片付け。僕は『けもの耳ろぼっと』のボタンを押して、トリのモードにする。ボタンを押すと、ネコミミが頭の中にひっこみ、代わりに羽毛のような体毛が生えてくる。背中にも羽。
あれ? ネコの尻尾はそのまま収納されずに生えている。
「あのトリモードなんだけど、なんでネコの尻尾はそのままなの?」
「あ。それですか? たまに引っ込まなくなるんですよ。あたしのお尻を叩いてください」
「叩くの?」
「はい」
ぱん。ぱん。ぱん。とお尻を叩く。すると、ネコの尻尾はろぼっとの中に収納されていった。
さてと、今日ももう寝る時間。
今日はトリの羽毛に包まれて寝るんだ。
「おやすみ…」
「はい。私もスリープモードになります」
フカフカの羽が僕を包み込む。
☆☆☆
朝。目がさめる。
隣には『けもの耳ろぼっと』。スリープ状態だ。
スリープから解除するボタンを押す。
僕はベッドを見た。トリの羽が抜けたものがいくつか落ちている。
ろぼっとなのに羽が抜けるのか。以外に凝った作りだ。
僕は、ボタンを押して、狐ミミモードにした。
ふかふかの羽毛はひっこみ、狐のような耳が頭に生えてくる。
そして、しっぽ。半分までしか出てこない。
僕はまた、『けもの耳ろぼっと』のお尻をたたいた。
にゅー。ネコの尻尾が生えてきた。
もう一度お尻を叩いてみた。
すると、今度はちゃんと狐のような太いふかふかの尻尾が生えてきた。
「おはよう。ごはんつくる」
『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。
今日のご飯は、やたらと油揚げが目立つ献立となっていた。
僕は学校に行く時間になったので、家を出る。
☆☆☆
家に帰ると割烹着を着た、狐耳の子が掃除をしていた。
「おかえり。買い物に行ってくる…」
狐耳の割烹着を着たろぼっとは買い物に出かけた。
夕食の献立。今夜は普通にハンバーグカレーとサラダだった。
そして、夜寝る時間になる。僕はボタンを押さずにそのまま狐耳モードのままとした。
「おやすみ…」
ゆさゆさ。ゆさゆさ。
体がゆさぶられる。
「おはよう。ごはんつくる」
『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。
目覚ましが鳴らなかった。昨日セットするのを忘れたのか。
眠い目をこすりながら起きた。平日にある時間を過ぎると自動的にスリープモードが解除される。僕を起こしてくれた。
今日も朝ご飯は、油揚げが目立つ献立となっていた。昨日のとはおかずの種類が違う。
僕は学校に行く時間になったので、『けもの耳ろぼっと』のボタンを押して、トリモードにしてから家を出る。
☆☆☆
学校の授業がおわり、家に帰るとエプロンをつけた羽を持つ子が掃除をしていた。
「おかえり。買い物に行ってくる…」
エプロンの柄は、ニワトリとたまごのアニメの絵がかいてある。そのまま、ろぼっとは買い物に出かけた。
今日の夕ご飯は、昨日の残ったカレーを流用したカレー味のスープと、中にほうれん草が入った卵焼き。鶏胸肉と豆苗の豆乳ごま和え。茶碗蒸し。中に昨日の残りのハンバーグが入ったハンバーグ入りオムレツ。
なんか鳥系、玉子系の料理が目立つなあ。
夜寝る時間。ボタンを押して、ネコミミモードにする。
☆☆☆
朝。苦しくて目が覚めた。
『けもの耳ろぼっと』は僕の体の上に乗っかっていた。体を丸くしてネコのようだ。
「重いんだよ。こら」
言ってもろぼっとはスリープから解除にならない。僕はスリープ解除のボタンを押した。
「おはよう」
「重いからどいて…」
「おはよう。ごはんつくる」
『けもの耳ろぼっと』は朝ごはんの用意を始める。
今朝は、サンドイッチだった。目玉焼き。卵焼き。たまごサラダ。たまごの具とツナの具がはさんであるサンドイッチ。それとコーンスープだった。
たまごが多いのは昨日の影響か。僕は『けもの耳ろぼっと』のボタンを押した。
ネコミミが頭の中に引っ込み。今度は尻尾もちゃんと、ろぼっとの中に格納された。
そして、耳が出てくるのに時間がかかっている。ぴょん。とウサギの耳が出てきた。
「なんで、ウサギの耳が出てくるの?」
「そうですか。今日は当たりですね。たまに出るんですよ…
そういえば、学校の時間ですよ…」
「はいはい。じゃあ行ってくる」
学校の授業がおわり、家に帰るとエプロンをつけたうさ耳の子が掃除をしていた。
「おかえり。買い物に行ってくる…」
エプロンの柄は、大きなニンジンの絵柄になっていた。
今日の夕食はニンジンずくしかな。僕は思った。