表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聴雨譚  作者: 木逸昼寝
24/25

雨見


 「いや、特に聞いたことないですね。なんて書いてあったんですか?」

 こちらに顔を向け真っ直ぐに言葉をぶつけられる。あちらこちらに枝葉を伸ばした木立のようにボサボサとした長めの髪からのぞく切れ長な大きな瞳に思わずドキマギしつつかおりは目を逸らし答える。

 

 「いや特に嫌がらせっていうほどのことでもないんですけど、なんか 雨はまだふっているか とか書いてあって。。」

 「雨? 外の降ってる?」

怪訝そうにこちらを見ながらヨウはかおりを見つめ続ける。

 「そうです 雨 ははは へんですよね 意味わかんなくて ははは 送り主の名前も住所も書いてあったんですけど 知らない人で」

 

 普段接しない類いの男性との会話は焦って 変な愛想笑いが出てしまい声がうわずってしまう。

 

 「ふーん」

 ヨウはそう答えたきりまた前を向き直し口をつぐむ。

 


 「えー でもお なんかあ 意味ありげで気持ち悪くないい?かおりちゃん その手紙捨てちゃったんでしょお?」

 「あ まじ 捨てちゃったの?なんで?あれじゃん 証拠品じゃん」

 「やだあー 犯罪のにおいなのお」

大袈裟に美緒が彰人の肩をたたきながら言葉を挟む。

 「いやでも きみわりーんだからさ 十分犯罪じゃんね で そんなの流行ってんの? いまどきは?」


 彰人が再びヨウに話をふる。


「いや わかんないっすね 聞いたことないです。」

 

 そう答えてそんな手紙にもかおりにも興味を失ったかのようにヨウはふいと顔を背けて、再び雨粒のついた車窓をぼんやり眺め始めてしまった。


 愛想笑いを浮かべながらかおりは自分が相変わらず男にとって魅力ある女性として、興味の湧く異性としての魅力に欠けているのだなと少し悲しくなる。可愛い女の子であったらもっと身の心配をされ親身に話を聞き相談に乗ってもらえるのだろうか、と余計な想像をして自分を更に蔑ろにしてしまう。


 「あー そうなんだ うーん あて先間違えたとかかね そういえば俺 この前 LINEで荷物の不在通知きてさ 家にいるのにびびって。。。。」


 彰人と美緒が最近流行っているフィッシング詐欺についての世間話をしはじめる。

 

 車はカンパチからおうめカイドウに入り西へと進んでいる。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ