表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるふわ♡キャンバス学園!  作者: 万丈トオル(ソロリスト)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/7

第5話「放課後、距離感バグ発生中☆」



放課後の教室は、やけに静かだった。




窓から差し込む夕方の光が、机の上のノートをオレンジ色に染めている。


俺は一人、シャーペンを走らせながら問題集と向き合っていた。




「……ふぅ」




一問解き終えて、軽く息をつく。


この時間は嫌いじゃない。むしろ、落ち着く。




「ふっふっふ……見つけたのだぁ☆」




その静寂を破るように、背後から声がした。




振り返ると——


金髪ロングを揺らしながら、伊井野芽衣咲いいのめいさが立っていた。




「なんだ、その登場の仕方……」




「偶然通りかかったら、努力する者の気配を感じたのだぁ☆」




「そんな能力あったっけ……」




くすっと笑いながら、芽衣咲は俺の隣の席にちょこんと座る。




「ねぇねぇ、何してるのだぁ?」




「自習だけど」




「ほほぅ……知識の研鑽、というやつなのだな☆」




相変わらず大げさな言い回しだ。




「ここ、ちょっと分からないのだぁ」




そう言って、芽衣咲はノートをぐっとこちらに寄せてくる。


自然と、距離が近くなる。




「どれ……ああ、ここは——」




解説しようと顔を近づけた瞬間、ふわっと甘い香りがした。




「なるほどなのだぁ……つまり、こういうことか?」




「そうそう、それで合ってる」




「すごいのだぁ……やはり貴様、只者ではないのだな☆」




顔を上げると、芽衣咲と目が合った。




「……」




「……」




一瞬、空気が止まる。




赤い瞳が、じっとこちらを見つめている。


気づけば、さっきよりさらに距離が近い。




「……どうしたのだぁ?」




「いや、その……近くないか?」




「む?これくらい普通なのだぁ☆」




そう言いながら、芽衣咲は少しだけ身を寄せる。




「いや普通じゃ——」




ガラッ!!




「ちょっと何してるのよアンタたち!?」




勢いよくドアが開き、水吹和泉が現れた。




「距離近すぎでしょ!?ありえないんだけど!!」




「ち、違うこれは——」




「むぅ、和泉ではないか」




芽衣咲はひらひらと手を振る。




「勉学に励んでいただけなのだぁ☆」




「どこがよ!?どう見ても違うでしょ!!」




和泉はズカズカと歩み寄り、俺たちの間に割り込むように座る。




「ほら!離れなさいよっ!!」




「むぅ……仕方ないのだぁ」




しぶしぶ距離を取る芽衣咲。




和泉は一瞬こちらを見て——すぐに視線を逸らした。




「……ったく、油断も隙もないわね……///」




「で、何してたのよ?」




「自習してたところに、芽衣咲が来て質問してきて——」




「ふーん……ほんとにそれだけ?」




じーっと疑うような視線。




「アンタ、ちゃんと教えてただけなんでしょうね!?」




「いや、ちゃんと教えてたけど……」




「ならいいけど……別に心配してるわけじゃないんだからね……///」




「む、ツンが強いのだぁ☆」




「うるさいわね!!」




ぷいっと顔を逸らす和泉。




その仕草が、少しだけ分かりやすい。




「……まあいいわ。せっかくだし、私も混ざるわよ!」




「え?」




「一人より三人の方が効率いいでしょ!」




そう言って、ノートをバンっと広げる。




「ほら!教えなさいよ!アンタ教えるの得意なんでしょ!?」




「まあ、いいけど……」




さっきまでの静けさは、もうどこにもない。




「ふふっ、これは面白くなってきたのだぁ☆」




「遊びじゃないのよ!?ちゃんとやりなさいよね!」




三人でノートを囲む。




問題を解きながら、自然と会話が増えていく。




「……こういうのも、悪くないか」




小さく呟く。




「ん?何か言った?」




「別に」




「怪しいわね……///」




「気のせいなのだぁ☆」




夕焼けが、ゆっくりと教室を染めていく。




一人だったはずの時間が、いつの間にか三人になっていた。




——なんでもない放課後。




でも、少しだけ特別な時間。




そんな気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ