第1話「あわわ!? 全員クセ強すぎなんだけど!?」
――やらかした。
これが、俺の高校生活の第一印象だった。
春。
桜が舞い、いかにも“青春始まります”みたいな空気の中で、俺は教室のドアの前に立っていた。
(……帰りたい)
正直な感想だ。
理由はシンプル。
さっき、盛大にコケた。
しかも校門のど真ん前で。
しかも全校生徒に見られながら。
しかも顔面から。
(終わったな……俺の高校生活)
そんなことを考えながら、重い足取りで教室のドアを開けた。
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「……あわわ!」
――入った瞬間、誰かとぶつかった。
「うわっ!?」
「ご、ごめんなさいっ……あわわわ!」
目の前には、ピンクのショートボブの女の子。
顔は可愛い。というかかなり可愛い。
でもそれ以上に――
「大丈夫ですか!?怪我とかしてないですか!?あわわ!」
テンパり方がすごい。
(……なんだこの子)
「い、いや大丈夫……」
「ほんとですか!?よかったですぅ……あわわ……」
心底安心したように胸を撫で下ろす。
……いや、可愛いな。
普通に。
「えっと……ありがとう」
「い、いえいえ!こちらこそぶつかってしまって……あわわ!」
最後までテンパってる。
なんだこの癒し系。
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「ちょいな!」
その時、横から声が飛んできた。
「入って早々イチャついてんじゃねぇよ!」
「イチャついてねぇよ!?」
振り向くと、そこには――
濃い水色のツインテール。
整った顔立ち。
明らかに“美人枠”。
でも口は悪い。
「ったく、初日から騒がしい奴らだな」
「いや、これは事故で――」
「言い訳いらねぇっての。ちょいな!」
(“ちょいな”ってなんだよ)
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「……ふふ」
ふと、後ろから笑い声。
振り向くと――
金髪ロングの少女が、面白そうにこちらを見ていた。
「なんだか、賑やかで良いのだぁ☆」
語尾どうした。
「こういうの、嫌いじゃないのだぁ☆」
(中二病……?)
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「ひゃいっ!?」
さらに別の声。
そちらを見ると――
黄緑色のお団子ポニーテールの少女が、ビクッと肩を震わせていた。
「す、すみませんっ……!見てしまって……!」
「いや見てただけだろ!?」
「ひゃいっ!?ご、ごめんなさいぃ……!」
(なんで謝ってんの!?)
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気づけば。
周りに人が集まっていた。
そして、気づく。
(……なんだこのクラス)
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癒し系あわあわ女子。
ツンツン系美人。
中二ロマン少女。
ビビりお姫様。
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(クセが強すぎるだろ……)
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「ね、ねぇ……」
最初にぶつかった子――桜森未珠が、おそるおそる話しかけてくる。
「よかったら……一緒に座りませんか……?あわわ」
「え?」
その一言で、空気が少し変わる。
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「ちょいな、先に囲い込むなよ」
「べ、別にそういうつもりじゃ……あわわ!」
「ふふ、面白くなってきたのだぁ☆」
「ひゃいぃ……!」
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(……なんだこれ)
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さっきまで「帰りたい」と思っていたはずなのに。
今は――
(……ちょっと、悪くないかもな)
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「……いいよ」
そう答えると。
未珠の顔が、ぱっと明るくなる。
「ほんとですか!?やったぁ……あわわ!」
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その瞬間。
どこかで、何かが始まった気がした。
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クセが強すぎる少女たちとの――
ゆるくて、騒がしくて。
でも、ちょっと特別な日常が。
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(……まあ、悪くない)
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こうして俺の高校生活は。
予想外の形で、幕を開けた。
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(続く)




