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第16話 発進


 艦載機の汎用大型機械化兵ドヴォルザーク2機のパイロット、アークとシレンは、その機械化兵の操縦席に待機していた。ジェイムとクロウが国連軍との交渉をしているが。交渉決裂すれば、どうなるやら分からない。決裂以前に力づくで、母艦ユーモレスクごと拿捕(だほ)などという事態も考えられる。なにせ、此処は地球の軍事基地なのだ。それは、ジェイムとクロウは殺害されるか人質にとられるという事も含む。


「アーク、いつでも出られるようになってるわね?」

「OKですよ。そうならないことを祈ります。」

「結構。シレンはそのまま待機。」


艦長のスメタナにシレンが食って掛かる。普通の軍隊ならばあり得ない事だが、王族の乗り込む艦船という特殊な条件に、スメタナとジェイムの堅苦しくしたくないとの考えからフランクな雰囲気が漂っていた。


「僕は待機ですか?新兵だとはいえ、それはないでしょう。」

「いざという時のために戦力は温存しておく。手の内は見せたくない。」

「どう考えても、シレン兄さまよりアーク兄さまのほうが頼りになりますわよ。」


マルタが口を挟む。彼女はシレンの妹。アークにとっても|再従姉妹<はとこ>である。

王位継承権は低いが王族であり、他の軍人にとって保護対象。しかし、王族は臣民を護るものとの家訓、教育を幼少時から受けており、シレン、アークとも最前線に起つべきと、人型機動兵器のパイロットに志願した。マルタは言語学修めており通信士。上官の命令にて動くが責任と重圧を伴う立場である。


 王位継承権を持つ人物、ジェイム、アーク、シレン、マルタの4名が座上する軍艦でありながら、哨戒任務を担う駆逐艦ユーモレスク。いざという時には、王族を亡命させる役目もあるため、外宇宙に配置されて、そのまま目論見通りとなり地球にいるわけだが、ジェイムも臣民を護るとの思いがあり、自分から危険を引き受ける面がある。敵ばかりかもしれぬ地球人、常設国連軍の基地に入り込んでいる。


 常識に囚われた考えのスチュワート基地司令デラーズ大佐は、クルズの彼らが宇宙人であるとは認められず自らの判断で動くことはなく、国連本部からジョン・ボビー事務総長が到着するまで時間稼ぎをする。地球人類も火星までは進出しているが、いまだ地球外生物は確認されておらず、にわかには信じられない、証明できるのかと食い下がる。


 クロウから通信が入り、マルタは艦橋ブリッジでの業務に戻ったが、クロウからはドヴォルザークを動かせとの命令だった。ユーモレスク艦長のスメタナは驚いて訊き返す。


「まさか、交渉決裂ですか? お二人ともご無事ですか?」

「いや、問題ない。『我々は宇宙人だ』という言葉が信じられていないだけのようだ。まあ、地球人の一部の人種にそっくりですからねえ。攻撃は禁止しますよ。ドヴォルザークを動かして見せるだけで。おそらく地球にはドヴォルザークのサイズでヒト型の兵器は実用になっていない。」

「アーク、聴いたわね? ドヴォルザーク1号機を艦の外に出して。シレンはそのまま待機。フブキとトーウもそのまま。」

「「了解。」」


スチュワート基地には一機のヘリコプターは近づいていた。スメタナの命令は、ドヴォルザークをそのヘリに乗った人物に見せつける事であった。戦闘ではない。


 シレンは、自分の出番はないのかと不満なようだが、アークは、これで交渉が進むならば良いとして、ドヴォルザークを発進させた。フブキが飛行甲板作業員(カタパルトオフィサー)としてハンドサインを出し、ユーモレスクの後部格納庫のハッチが跳ね上がり、ユーモレスクの甲板(デッキ)を降り立ち、頭頂高四十メートルの巨体が二本脚で歩いた。

 これには、スチュワート基地の軍人たち全てが驚いた。二足歩行のロボットは民間も含め地球上で広く研究され普及し始めてもいるが、こんなに大きな物はない。ドヴォルザークが一歩踏み出す度に基地の滑走路がかすかに揺れる。


「ヒュー、宇宙人ってのはジャパニーズかい?」

「日本は何時の間にガンダムを実用化したんだ?」

「ガンダムと戦えるのかよ。」

「俺達にはスパイダーマンとレオパルドンっていう秘密兵器があるぜ。」

「バカ。それもメイドインジャパンだぞ。」

「ああ、日本のメイド喫茶に行きてえなあ。」


「なんだか可笑しな会話をしてるらしいな。」

「余計な情報は遮断していいわよ。」


 集音マイクとAIの翻訳を通した会話を聴いた副長ターナーと艦長スメタナが半分呆れるが、同時に日本という地域には、ヒト型の巨大兵器を造る技術がありそうだとも考える。スメタナとオペレーターのモンティがアイコンタクトをした。モンティとテンゼンが、かさず作業を開始。


「OK。キーワーは『ニホン』『ジャパン』ですね。」

「情報を集めます。」

「そういえば、あのセレン人も日本を拠点にしてるんでしたよね。」

「日本人は戦上手って話だったな。」


地球のネットの世界には、当然のように侵入している。すぐにクルドのAIが情報を集積、解析するだろう。そして、上空にはヘリコプター2機の機影が見えてきた。


「おおっ、あれはマーベラーか?」

「だまれ。オタク。」


 このシコルスキー パトリオットというヘリコプター、2機のうちの1機には国連事務総長ジョン・ボビーが乗っている。スメタナは、ヘリを視認するとアークに命令した。


「向こうからも見えてるわね。おそらく。アーク、ドヴォルザーク1号機を歩かせて。ユーモレスクの周りを一周すればいいわ。」

「了解。」

「あの回転翼機に頭を向けてはいけないわよ。ただ歩くだけ。」

「攻撃の意思を示さないようにということですね。」

「うちの兵器を見せつけるだけよ。」


 巨大なヒト型兵器が動く姿は地球人には脅威だった。そして、もう一つあることに気が付いた。




 バイレットのアブドラーダ・ボッチャーはサッカーボールを蹴ろうとして空振りした。ボッチャーの部下、ジェネラル・ブンメイドウは球拾い。転がったサッカーボールをボッチャーの足元に戻す。


「ほっほう。意外と難しいな。地球のスポーツというものは。」

「ハッ。これが地球で一番人気のフットボールというものです。」

「んー。では本筋の報告を聴こう。」

「ハッ。2隻の巡洋艦の発進準備が整いました。一ツ目とテッド・ライアンです。間もなくDS(デス)ドライブに入ります。」

「おう。巡洋艦2隻か。1年前のクルズを潰したときに、やはり巡洋艦2隻を失っておるなあ。」

「1隻はすでに補充済みです。もう1隻も建造中。勿論、先日失った駆逐艦も補充可能です。」

「では、すぐに元通りの戦力になるな。一つ目とテッドの巡洋艦にメカニカルビーストは積んであるのか?」

「抜かりなく。前回の駆逐艦は衛星軌道上でやられましたが、今回は侵攻速度を上げます。」

「おう、良きに計らえ。」

「御意! ボッチャー! 」


ジェネラル・ブンメイドウは踵を合わせて鳴らし、右肘を張って敬礼する。そして後方に控える兵士に命令する。


「よし、一ツ目ティターンとテッド・ライアンにさっさと発進するよう伝えろ。とくにテッドには、グズグズしておると査定に響く、とな。」


ボッチャーは再びサッカーボールに夢中だが、ジェネラル・ブンメイドウは嫌味な上司であるようだ。命令された兵士は大きな返事をしながら背中を向け走っていく。



そして地球では、異常を検知したセレン人たちが大わらわだった。通常では考えられない事態。兵衛の妻、桜子はあたふたと歩き周り、兵衛と賢太郎が青ざめる。


「確かなのか? 地上がたいへんな事になるぞ!」

「間違いなくタキオン粒子です。」

「地球人では、まだ使えない技術のはずだ。何かがDS(デス)アウトしてくる。」

「まさか、こんなところに? 」


超光速移動・亜空間航行(DSドライブ)は暗黒物質(ブラックマター)・タキオン粒子の働きによって亜空間を通り時空を超える。通常空間に悪影響を及ぼさないよう真空の空間、移動の目的地よりもやや離れた空間に亜空間の出入口を造る。惑星ならば、衛星軌道の外側にするのが常道だ。

ところが、セレン人たちが観測したデータでは、地球上にタキオン粒子があふれている。具体的には、ユーラシア大陸の北東地域。ロシア東部だ。


今回のネタ:日本版の東映のスパイダーマンにはレオパルドンという巨大ロボットが登場します。

飛行形態のマーベラーから変形するとヒト型に。単独でスーパー戦隊やってるなあ。

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