雪
エリハがどこ行っただろうかまあどうにかなるという安易な楽観視をしたまま、俺は東京観光で開けていた病院を再開した。
3人ともあの後、地上に抜けられる道に自由に入れるようにしたので、外に出かけている可能性は十分にあり得る。お金もこのあいだ渡した"お小遣い"が残っているから何かできるだろうし、だけど車を運転しない限り、遠くには行けない。近くにあるとしたら、レンタル自転車で動ける範囲だろう。
もしエリハが夜までに帰って来なければ心配だが、そんなことはないような気がした。
俺が病院の方をやっている間、日の光を浴びたいらしく、真菜やみこも向こうの家まで行っていた。しかし、あいにく今日の天気は若干曇っている。この寒さから外には出る人も少ない。一通り病院の事柄が済むともう病院を閉める時間になっていた。
「お疲れ様です。院長、上がられますか?」
「いや、ちょっとレセプトを整理してから帰るから先上がっていいよ。」
看護師の多田さんが会釈して裏口から出て行った。あと残っているのは…前川さんかな…
「レセプトの整理ですか?薬の補充も終わったので失礼させていただきます。」
「うん、お疲れ。」
前川さんも上がり、また俺が最後まで残った。いや、わざと残っているっていうのが正確なのか…。日も落ちる時間だが、外は雲に覆われ、暗くなっていた。帰る準備をしていると、厚い黒い怪しい雲がこちらへ迫ってきていた。
「雲行きが怪しいな…。もうそろそろエリハに帰ってきてもらわないと…。」
エレベーターに乗って、B3に着くとエリハがちょうど帰ってきたようだった。しかし、エリハの顔は暗くとても思いつめているようだった。そして俺の顔を見ると少し睨んだ。
「10分後ここにきて、真菜もみこももうすぐ来るだろうから。私から話があるから集まって欲しい。」
外では満月の明るさも完全に遮る雲からチラチラと雪が降り始めていたのだった。
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