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5話【クリーチャー】

この3日間随分と慣れない作業に没頭していた。

「こいつらは中身は綿じゃないんだな」

中は血と肉と骨に臓器。俺のいた世界と何らかわりない。茶色い原住民と羽根のついた原住民を組み合わせる。より凶悪に、より凶暴にと試行錯誤の連続。殺戮に特化した口に爪さえあれば後は何とかなる。この世界の奴らは戦いを知らない。


「見た目が玩具過ぎて俺には見分けがつかないが…こいつらならわかる。」

血肉なら見慣れている。

そうして作られたクリーチャーは同胞を求めて食い荒らす殺戮兵器として結界の中に入り込んだ。

――――

「ァア、ぅ゙うあ゙ァ゙」

気味の悪い声を上げながらドタドタと不規則に手足を鳴らし走り生きたものに走り寄って来る。

「何あれ!」

「こわいよ!」

恐慌し逃げ惑う住民たちは各々悲鳴を上げながら散り散りになる。中にはその姿に誰かの面影を重ね足を止めかけてしまう者もいた。

「オゥメ、逃げよう!」

小さなオゥメもどきを抱きしめてスゥも逃げ出した。

「ごちそう…じゃない!」

ペムエが無口なシルイを抱き上げて逃げようとした瞬間

「あー…」「ぷぅ?」

体の大きなガブスがクリーチャーを抱き上げた。

それを見た一つ目のシュウテが声を荒げた。

「ガブス!危ないから離して…!いやでも…」

離したら離したで危ない。ガブスはクリーチャーから垂れた血を飲んだが気持ち悪くなったのか投げ捨てた。

しかしクリーチャーは怯むことなくガブスの肩に齧りついてくる。

「ぁあ、ぁ゙ー!!」

ガブスは泣き叫び何とか逃げようともがくが大きな口のなかに引きずり込まれ嫌な音を響かせ消えてしまった。

それを見て更に混乱が広がってしまう。

「ごちそうどこー!?」

「結界から抜けようよ!」

「そしたらあのおっきなのに捕まっちゃう!」

「王女様は…!?」

王女はどうしているのか。シュウテの質問にツィルは考え込む。

「ユマおばあちゃんが秘密の部屋で匿っている…まだ起きてないよ…」

「もうやだああああっ!!!治らないよおぉお!」

他人を癒す能力を持っているのにクリーチャーの口のなかに入ったガブスが治らない。自身のアイデンティティを失ったシュウテは泣き叫びはじめた。

「シュウテ落ち着いて!」

今はあのクリーチャーから逃げ出すのが先決。動かなくなったシュウテをツィルは腕を引き廊下を抜け裏庭に走り出した。

パニックで正常な判断ができないのはこの事件で初めてのことで対処法など何も持ち合わせていない。

スゥはちびのオゥメを抱きながら城の上の階に逃げた。それが駄目だった。

ズルズルと階段を登る音に息を荒げる。

「来ないで…!来ないでこないでこないで!!」

叫ぶのは自分の居場所を知らせてしまう。そんな事知らない。

腕の中にいる小さな小さなな生き物もどきは素知らぬ顔でニコニコしている。

やがて大きな歪な口が二人まとめて口の中に。

ぼき、ばきと生きたまま咀嚼される。この痛みも苦しみも最初だけ。すぐに命を散らして感じなくなる。


本物のオゥメが笑っている。ようやく偽物とスゥが引き離されて。最初は献身が最良かと思ったがこんな偽物の幸せなんて享受させてたまるかとずっと憎悪を抱いていた。

ざまぁみろ。

その歪な幸せが結界を緩めてしまった。

結界が外からグランにより叩き壊された。


本物のオゥメが命を散らし此処に奇妙な三角関係は終わりを告げた。

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