表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4話【人柱結界】

地面が揺れ宝石が体を突き刺していく。

「…ハッ、何だやればできるじゃないか」

宝石を体を捻るだけで破壊し身体に突き刺さった残りの宝石をゆっくりと引き抜いて投げつける。

結界が破壊され住民の一人のロップの横腹に当たってしまう。

「速い…っ」

王女は焦り後ろに回り体を吹き飛ばそうと杖を振りかざすが既にその動きは読まれており頭を地面に押し付けられ気絶してしまう。

足で原住民達の元へ転がすと悲鳴が一際大きくなる。

ロップを片手で持ち上げてグランは笑う。

「苦しいか」

その苦しみという感情も体の物質も私が全て残らず武器のエネルギーに変えてやろう。

閃光が直線に動く。

放たれた光線が当たり一匹の絶叫が響き渡る。身体がドロドロに溶けエネルギーに置き換わる。

それを回収しようと溶けていく身体に剣を振りかざしたが先に溶けた原住民が動いた。

「オゥメ!?何してるの!?はやく逃げないと!」

喚き散らす原住民が五月蝿い。殺そうと彼奴にも光線を放ってやろうとしたが弾かれた。

「あ?」

あのオゥメという最初に撃ち抜き溶かした奴が仲間を守る為に自身を犠牲にし自分のエネルギーを結界に変えやがった。


想定外だった。あの純粋無垢しかいない原住民から自分を犠牲にする発想が出るなんて。『皆で幸せになりたい!』とかほざきやがるかと思っていた。

だが度重なる不幸に少しは学習したのか、はたまたその純粋さ故に身を粉にする事に抵抗がないのか

あの小さいオゥメがが世界を守る為の結界に変化した。その中にこの世界の住民が収まっており手出しできない。

「…ほぅ」

蹴りつけても切っても撃ち抜いても傷一つ付かない。

かなり腹立たしい。それに…。

その身体から抜け落ちた残骸は無垢な抜け殻となり友人へと向かうだなんて。何処まで他人に献身的なんだ。

「………」

エネルギーを無駄に消費して相手に有利になってしまった。

手出しできなくなるとは。対策を考える為に一旦引くことにした。 

――――

グランロップを持ったまま去っていく。住民は気絶した王女を起こす為に駆け寄るが一人へたり込んでしまう。

「オゥメ…」

へたり込んだのはオゥメの親友のスゥだ。

いつも手を繋いで隣で笑っていたオゥメ。

眠たげな目でもちゃんと感情が出ているのがわかるのが好きだった。

優しくて、楽しくて、でも、どうしてオゥメがこんな目に?

「オゥメ…ッ…オゥメ…ッ」

こんなに泣くのは初めてだ。こんなに悲しいことなんて無かった。

「声が聞こえないよっ…」

「オゥメってば…!」

返事はない。身体を捨てたオゥメには声を発する事などできない。

周りの者達は結界の中にある城に入ろうとしている。スゥも早く入ろうと急かされる。

「オゥメを助ける方法を探そうよ!」

そんなの結界を捨てろということだ。

「…」

ただ一つ。不可解な事が起きた。

「…ウメッ」

「え?」

足に抱きついてきた感触。

その正体はとてもとても小さなオゥメそっくりな生き物。

いつも眠たげなその瞳はまん丸で甘えてくる。彼は甘えるような事は滅多にしない性格なのだが。

「オゥメなの…?」

それはオゥメではない。精神が抜けた身体の抜け殻。しかしスゥはそれを知る由もない。

「オゥメ…良かった…」

スゥはその小さな体を抱き上げ抱きしめる。

「ウメッ!」

嬉しそうにスリスリと頬を身体に擦り寄せる。

――――

結界内はとても安全だ。住民は城の中で生活の基盤を立て直そうとしている。幸い広い城とその周りは生活するために必要なものが揃っている。元々皆が幸せに過ごせるためには必要なご飯や生活用品を製作する工場を城に作り替えた場所だから尚更だ。

「オゥメ…ありがとうね。また楽しく暮らせるね」

「ウメー?」

しかしそれはお互いの関係に亀裂を作る。

偽物を愛でる姿をオゥメは見ていた。結界に魂が変化してもその幸せな姿を見ている。

それは抜け殻でオゥメじゃない。そして…その抜け殻を愛でる親友。そこから生まれる抜け殻への嫉妬、憎悪すらもそれはグランから拠点を守る結界の力となる。抜け出せない地獄。嫉妬を辞めれば結界が弱まり親友は死ぬ。嫉妬し続ければその負の感情に苦しむ。終わらない無限地獄。

どうしてそんな偽物を愛してるの?お願い僕を見て。本物の僕を見てよ。

「オゥメ、ほら見て、おやつ美味しそうでしょ?」

僕はもう食べられないんだよ!

――――

3日ほど経った。どうやら面白いことが起きているようだ。

入れなくても負の感情はすぐわかる。

結界に変化したその原住民は嫉妬に狂っている。しかしその献身的な地獄が愛なのだと感じ始めたようだ。 

なんて哀れな小道具。私が今すぐ楽になれるように粉々にしてしまおう。その親友も、抜け殻も。そしてお前も。

此処にはこの世界以外の存在は入れない。ならばこの世界の住民を使えば良いだけの事。小道具には小道具だ。

グランはチィダンの死体と誘拐したロップを融合させクリーチャーにした怪物を結界内に放った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ