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俺の召喚体(いもうと)たちが優秀(やり)すぎる!  作者: かみきほりと
田舎の宮廷召喚術士、領主となって奮闘する

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257/283

257 雪が降り積もる前に

 鎮魂の鐘が鳴る。


 グィルムの戦いは、反乱軍五千に対し商都軍二千という不利な状況で行われた。

 グィルムの領主であるフロイス子爵は、白銀の聖法騎士、紅玉の聖法騎士、英雄リーフォニア伯爵らを率いて帰還し、指揮を執る。

 更に、宮廷魔導術士である水雷の女神マリー、災厄の魔女(ウィッチ)フェルミンが加勢する。

 その結果、治安維持のために派遣されていた三千の兵、王都から派遣された一万の兵、さらに五百の術士が援軍に向かったが、その到着を待たずして決着した。


 五千の反乱軍は壊滅。彼らの切り札である炎の巨人という化け物も討伐。

 反乱軍の死者は五百、さらに千人近くを拘束。その中には首謀者を含む五百人の帝国人も含まれる。

 それに対して商都軍は、商都メルシアが半壊したものの、犠牲者は三十七名のみに留まる。


 結果だけ見れば大勝利と言ってもいいだろう。

 だが、商都に大きな被害が出たことで、王国南部の流通は大きく混乱することになる。その影響が、どれだけ続くか分からない。

 それに犠牲者も出たのだから、手放しで勝利を喜ぶことはできない。


 ノスフィアの祈りが捧げられ、再び鎮魂の鐘が鳴った。




 後始末は王都から派遣されてきた兵士に引き継がれた。

 治安維持に派遣されてきた兵士は、当初の予定通り各々の任地へと散っていくことになる。


 俺たちも、村に避難していたメイプルたちと合流し……


「ハルキ様……」


 再会したマリーは、俺の姿を見るなり公衆の面前にも関わらず、目に涙を湛えて抱き付いて来た。


「マリーが無事でよかった。だが、皆の前だよ」

「構いません! このフェルデマリー、ハルキ様が恐ろしい化け物と戦われたと聞き、心臓が押し潰されるかと思いましたわ。本当にご無事で良かった……」


 炎の巨人に向かって水球を連続で撃ち込み、ホウキで宙を自由に舞っていたというのに、マリーは夫を心配する妻を完璧に演じた。


 王都軍は二手に分かれ、半数を商都の復興に、残りは南東地方(オーミリカ)に向かって残党狩り……という名目で帝国との国境を固めるらしい。

 俺たちと一緒に行軍してきた治安維持兵たちも、ここで二手に分かれる。

 ここより南へ派遣される者たちは、残党狩りの王都兵たちと共に行動し、各々の任地へと散っていく。

 南に領地がある、ルベール子爵(エルキュール)グリム男爵(ジャン)ともここでお別れだ。


「エルキュール殿、ジャン殿、妻や妹、領民たちを守って頂きありがとうございました」

「何をおっしゃいますか、我らの働きなど無きに等しいもの。ですが、それがハルキ様の助けになったのなら、我らの誇りとなりましょう」

「大いに助けになりました。役割が違えど、皆はこの戦いに参加した勝者です。エルキュール殿、ジャン殿はもちろん、兵や商都の民も」


 こうして固く握手を交わし、この南海地方(セラフット)を発展させていくと誓い合った。


 ここで俺は、選択を迫られることになる。

 南海地方(セラフット)の北部に派遣された治安維持兵たちは、それぞれの任地へと向かう必要がある。

 その彼らたちには、リーフォニア領の新たな領民となる解放奴隷たちの護衛をお願いしてある。

 だが、商都メルシアの復興には、領主であるシェラが必要だろう。

 シェラを残して行くか、新たな領民のことを兵士たちに任せるか……


「お兄さま、迷うことはありません。私たちも二手に分かれましょう」


 ディアーナを領主代行とし、メイプル、クロエ、サンディー、ロア、エレオノーラさんは、新たな領民と共にリーフォニア領へと向かい……

 俺と四人の妻、護衛のシアは、商都に留まってシェラの手助けをしつつ、冬が明けるまで滞在すればいい。

 それが、メイプルの出した答えだった。


 翌日になり、ディアーナたちが商都を発つ。

 その中に、ヴァルメラの領主であるギルグラッド男爵エイムスがいた。

 ヴァルメラはこのグィルムの北西にあり、ディアーナたちは通商路を進んで西のハルムフェルチを目指す。


「エイムス殿、残り数日ですが、領民のことをよろしくお願いします」


 エイムスと握手を交わし、ディアーナを見る。


「ディアーナ、このハルキの代わりに、皆を無事にリーフォニア領へ送り届けてくれ」

「お任せください、領主さま」

「道中、気をつけてな」

「ひと足先に戻り、領主さまと義姉様(ねえさま)方を歓迎する準備をして待っております」


 ディアーナから発せられる聞き慣れない言葉遣いに笑みを浮かべつつ、コクリとうなずいて握手を交わす。


「皆の者も壮健でな」


 こうして、俺が指揮したグィルム救援作戦は終了し、初めて率いた軍は、一度も指揮を揮うことなく解散した。




 その後、二ヶ月弱という短期間で商都メルシアの外壁が完成した。

 あの被害状況を考えれば、異例の早さだ。

 どうやら俺たちの為に、住民や商人、職人や兵士たちが頑張ってくれたようだ。


 その完成式典を見届けた後、俺たちは本格的な冬を迎える前に、皆から大きな賞賛の声を浴びながらリーフォニア領へと旅立った。

 その馬車には、もちろんシェラも乗っていた。


第三部、完

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