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TS魔法少女は戦いたくない  作者: 橋比呂コー
第九話「謎の覆面戦士登場! 新任教師の潘帝太郎」
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超変態!

 いつの間に着替えたんだ。たらいで股間を隠している全裸芸人じゃあるまいし。それに、パンツの色が変わったところでどうなるというのだろうか。中身はそのままのはずだろうし。

「脅かしやがって。パンツの色が違うくらいでどうということはねえじゃねえか」

「ならば、試してみるか」

 挑発され、カメレオンカルアは舌を伸ばす。怪物の攻撃の勢いは衰えてはいない。フォームチェンジというか履き替える前でも容易に対処できた技だ。


 もちろん、今回も容易に往なす。しかし、防御したのみならず、舌を握ると自らの方角へと引っ張り込んだのだ。

 強制的に接近させたところを拳で迎える。これまでとは打って変わって荒々しい戦術だ。止まぬことないパンチの応酬に、カメレオンカルアは撤退を余儀なくされている。

「どうなってんだ。さっきとは別人みてえにパンチが重い」

「当たり前だ。このパンツはヴァルルビィのもの。攻撃力に特化した彼女の力を借りることで、俺の攻撃力も大幅に上がっているんだよ」

 攻撃強化のフォームというのはありきたりではある。しかし、ヴァルルビィのパンツを被っているという事実を聞き、華怜は黙っていられないだろう。事実、仮面パンティーに吼えかかろうとして、必死に堪えている。なにせ、あいつの言葉を信用するなら、全生徒の前で自分のパンツが晒されているからだ。そういえば、華怜も前に「あいつにパンツを盗まれた」と嘆いていたな。


 仮面パンティーの猛攻というか暴走は止まる気配がない。

「まだまだ行くぞ。超変態!」

 だから、その掛け声はやめろって。またも目にも止まらぬ速さでパンツが換装される。青を基調とし、白線が入った縞パン。今度は誰のパンツだ。


 敵の攻撃を待ち構えるように雄大に歩み寄る。カメレオンカルアは歯ぎしりするが、相も変わらず舌での攻撃を仕掛ける。もしかしてこいつ、攻撃手段が舌しか無いのではなかろうか。

 防御する素振りもなく、胸を張って舌を受け止めるが、表情に歪みはない。泰然自若として、すべての攻撃を受けきっている。

「痛くも痒くもないな。当たり前ではあるか。俺が被っているのは防御力に優れたヴァルサファイアのパンツ。ちんけな攻撃など通用しないぞ」

 予想はしていたけど、やはりサファイアのパンツか。


 そうなると、泣き面に蜂なのは渚先輩である。カメレオンカルアの舌戦により絶望しているうえに、「パンツを晒されるなんて」と憂鬱を加速させている。あの先輩を失意のどん底に叩き付けるなんて、仮面パンティー恐るべしである。


 変態の掌で泳がされていたカメレオンカルアだったが、目の色を変えるとまたも舌を伸ばしてきた。

「ここまでバカにされて引き下がれるか。てめえも俺の魔法をくらえ。蠢く饒舌よ! 茨の如き熾烈を与えよ! 口舌尽難アークウィッパー

 魔法少女たちを戦闘不能にした悪口攻撃だ。身体能力が高い仮面パンティーでも、これはひとたまりもあるまい。


 舌がうねりながら迫るのは変わりないが、直接肉体を叩くのではなく、耳元で漂っている。そして、仮面パンティーだけに聞こえるように何事かを囁く。

 途端、仮面パンティーは口を半開きにして呆然自失となる。やはり、精神攻撃は効いてしまったか。勝利を確信したのか、カメレオンカルアは拳を突き上げる。


 しかし、様子が変だ。不自然に肩を震わせると、ゆっくり面をあげる。表情に絶望の色はない。むしろ、歓喜すら浮かんでいる。

「ド変態か。常套だ。俺がいつも浴びせられている言葉だからな」

「まさか、貴様俺の悪口が効かないのか」

「悪口が怖くて変態をやっていられるか」

 堂々と開き直っているけど、自らロクでなしと認めたようなものですからね。普段悪口を言われ慣れていることが功を奏するなんて誰が予想できただろうか。


 自慢の魔法すら通じず、カメレオンカルアは手詰まりとなる。歯噛みしていると、仮面パンティーは堂々と指を突きつけた。

「お前の運命は俺が決める。絶望がお前のゴールだ」

 どこぞの二号ライダーの決め台詞を拝借すると、腕を大きく回し、パンツに手をかけた。まさか、素顔を晒そうというのか。

「マックス大変態!」

 最大級のパワフルボディの変態なんて嫌だぞ。またもパンツを換装したようだが、元の白パンツを被っているようにしか見えない。一瞬で穿き替えたので素顔を拝めなかったのは相変わらずだけど。


 マックス大変態なんて大層な宣言をしているのだから、単に穿き替えたのではないことは明白だ。警戒するカメレオンカルアに、仮面パンティーは嘲笑を浴びせた。

「マックス大変態はただのフォームチェンジではない。このフォームは魔法少女の力を集約した最強フォーム。これまでとはけた違いの力を有している」

「なんだと」

「証拠に俺の顔をよく見てみろ」

 あまり凝視したくありません。ダイヤモンドというか穂波のパンツを被っているだけでしょ。


 いや、そうじゃない。白いパンツの下にピンクと青の生地も混じっている。パンツの上にブルマを穿いているが、元のパンツもはみ出している状態とすればいいだろうか。まさかの事実に思い当たったのか、カメレオンカルアを始めその場の一同は絶句する。

「気づいたようだな。今の俺は魔法少女のパンツをすべて重ね穿きしている。これにより、魔法少女の力を最大限に引き出すことができるのだ」

「一枚に飽き足らず、全部重ね穿きするとは。てめえ、どこまで変態なんだ」

「フハハハハ! 誉め言葉だな」

 ダメだ、このノリに付いていく自信がない。


 捨て鉢になったのか、カメレオンカルアは舌をムチのようにしならせる。まともに命中するものの、傷を厭わず前進してくる。いや、むしろ効いていないのではないか。叩かれる度、恍惚とした表情すら浮かべている。

「無駄なあがきだ。マックス大変態した俺にとって、並の攻撃はご褒美となる。さあ、どんどん叩くがいい。貴様の攻撃は俺の攻撃力の糧となるのだ」

「攻撃される度に強くなるだと。このドM野郎が」

「さあ、ショータイムだ」

 マントに手をかけると、一気に剥ぎ取った。いや、マントだけではない。あられのない姿に主に女性陣から絶叫が沸き起こる。


 仮面パンティーは衣服を捨て去り、ブリーフ一枚の姿となったのだ。もはや、変態中の変態だ。ほぼ全裸で顔にパンツを被っているって逮捕されない方がおかしい。

 思考停止してしまっているカメレオンカルアへと仮面パンティーは跳びかかっていく。空中からの蹴り。まさかの本家からのパクリか。


 途中までは同じであった。しかし、キックにしては股を広げ過ぎている。M字開脚でもするかというほど御開帳している。そんな姿勢で突撃した場合、カメレオンカルアに激突するものは……。

「おい、アホか! やめろ!!」

 さすがにやろうとしていることに気付いたのか、カメレオンカルアは逃げに入ろうとする。だが、挙動が遅すぎた。仮面パンティーは自らの必殺技の間合いに怪物を捉えていたのだ。


「ぶーらぶらー!」

「この、変態がぁぁぁぁっぁぁぁ!!」

 断末魔の叫びをあげるカメレオンカルアに同情したくなった。空中よりぶつけられたのは股間だったのだ。まさか、股間によってとどめを刺されるなんて思ってもみなかっただろう。ボクも予想外だったよ。よもや、本当に出る幕がないなんて。 

仮面ライダークウガ、メテオ、アクセル、ウィザード、エグゼイドさんごめんなさい。

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