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『散歩』〈街巡り・ギルドの受付にて〉

◆◇◆◇◆


『残り0日』───英雄学校の教室で待つ、大見得を切ったが人の『それ』が砕けやすいのは知っている筈だ


 しかし、師匠の面影を重ねて勝手に期待して、もしひとり死ぬ来てくれるだろうか。もしもの時は僕を家名から外せば法律家ですら手出しはできなくなる───幾らでも手段は思いつくがそのどれもが家族を路頭に迷わせかねない薄壁一枚の駆け引きになる


 使わない事に越したことはないが、やらなければならないのならやる他ない───そんなことを考えていると教室の扉を開けてエルナ先生が入ってきた


◆【呼び出し】


「お前ら〜席に着けぇ」


 乗り込む必要がありそうかな───マリアさんとアマネさんが休んでしまっていた。家名からの『追放』は今日の昼休みにでも出してこよう。そうすれば家屋侵入も僕個人の清算で済むものだ。なんてことはない


「ノル。お前は今日は特別休日だ

 早くオーディンギルドへ迎え」


「へ?」


 教室がざわめく


「緊急事態なら一刻を争うだろ、早よ向かえ」


「…」


「何してんだ?全力ダッシュ!」


「は、はい!」


 僕は麻袋を担いでオーディンギルドまで急いだ───【風足】で街中を駆け抜け、街の外れにある砦へと向かった


◆【オーディンギルドへ】


 息も絶え絶え扉に手を掛ける。流石に全力で走り続けるのはかなり体力を使うことだな───もう少し体力強化に重きを置いた方がいいのだろうか。最近はレベル上げに頼り切りで自力が衰えた気すら感じる始末だ


「ノル・スタルジア召喚に応じました!」


 そんなことを考えながら扉を開けた。ギルドの総合カウンターには『ローラさん』と───顔馴染みが後2人が居た


「ノルさん」


「ノル殿」


「マリアさん?アマネさんも…」


 急いで向かったギルドに今日休んだ2人が居た


「えっと、マリアさん?これは

 どういう状況ですか?」


 緊急事態、もとい依頼というのは『マリアさん』からの『護衛』の依頼だった───自重、してはくれないだろうな。2人は既に1度僕を困らせている


「ノルさん、これから私と公爵の勤めに

 回っていただけますか?」


「…」


 構わないものの、何故学校を休んだのか、呼び出したのか───などを問おうとするもマリアさんは続ける


「その後、一緒に街を周っては頂けませんか?」


「…」


「ノルさん?」


 ローラさんの視線が何故か痛い ───何があって今日もこんな目に合うのか。この世は不条理ばかりだなと思わずには居られなかった


 どっちが正解なのだろうかと決めかね。しかし、位の上の貴族からの申し出に選択の余地はないものだ


「喜んで」


「ありがとうございます」


「「…(ホッ)」」


 露骨にアマネさんとローラさんが胸を撫で下ろした。僕はそんなに無礼者として映っているのだろうか───酷いなぁ。事実だろうから否定はしないけど


 差し出された手を取り、片膝をつく、相手の手の甲を額につけ『傅く』ことを分かりやすく『演じる』───今日ばかりは貴方の『騎士』となりますという意味だ


『否定しない』───だって今からするのは『一方的な押し付け』だし。これは立派に無礼に当たることだろう【2598】


「…っ」


 僕が掴んでいた手から逃げる様にマリアさんが手を跳ね上げた。【解呪】の感覚は相手に悟られるものなのだろうか───それとも『苦痛』ありきのものなのだろうか。それでもこれで問題はない筈だ


◆【鑑定眼】


 名前:マリア・フィアナ・アルバート

 年齢:16

 種族:人間

レベル:169

 職業:英雄学校『Aランク』

スキル:【LP変換】【片手剣術B】

 【溜突B】【ヒールA】

 【浄化B】【苦痛耐性S】【演技S】

 【疼痛耐性A】【急性痛耐性A】

 【鈍痛耐性A】【安静痛耐性A】

 【夜間痛耐性A】【日中痛耐性A】

 【深部痛耐性A】【内臓痛耐性A】… … …

 状態:健康


◆【『十六の死印』消失】


「マリア?」


「いえ、なんでもありません」


【解呪】を施した。自己補完の範疇ながら『4,500』の対価を払ったことを知る。常人の『LP』の総量を知らないものの、莫大な対価であることは疑うべくもない───レベル『45』相当であり『日常生活』でこれを貯めるとなれば年単位を必要とするだろう。戦地ならエルナ先生の『232』になるくらいはできるだろう


 それでも8年位は必要になるだろうが


◆【やるべきことをひとつ完了した】


【2648】───依頼料の交渉は『ローラさん』に任せて『勤め』と『街周り』のために『マリアさん』の後ろを歩くことで今日は時間を過ごす事になるだろう


「よろしくお願いします。マリアさん」


「は、はい。よろしくお願いします」


 漸く肩の荷がひとつ降りた。それでも僕がやりたいことは未だ遠く、その見通しが立つ気はしない───それでも、助けられた命が目の前にあるのだから誇っても罰は当たらないだろう


 ルナさんの『LP』が減っていないことは『死鎖呪』を通して分かったので『集中』する───【生命同調】は『主側』が意志を持つなら実物を解かなくとも解放可能なので『解放』しておくことにする


【解呪】は良いとして【失神癖】が護衛中に出ようものなら守るものも守れなくなるのは痛手だ

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