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「作黃衣法」失敗例

 0日目時点。

 小麦粒となるとそうそう売ってはいないものであり、スーパーで入手可能だった押し麦(加熱圧偏大麦)を使用。

挿絵(By みてみん)

 左から灰混和蒸し麦、普通の蒸し麦、乳酸処理蒸し麦であり、上はナスの葉で覆った。



 2日間経過。

 微かに白色化した部位も見られるものの、変化は乏しい。

挿絵(By みてみん)

 前回の実験時は真夏日もあったものの、こちらは全期間通じて23℃前後で推移。


 3日間経過。

 被せていた箱の本体部分を外すと同時に、甘酸っぱい香りが立ち上った。

挿絵(By みてみん)

 白く毛足が長い菌糸が覆いつつあり、クモノスカビないしケカビ類が急速に繁殖している。

 過湿に陥ったのかと考え、以後ナスの葉の覆いを取り去った。


 4日間経過。

 ケカビが急速に成長、ある意味綺麗ではある。

挿絵(By みてみん)

 ただそれ以外の部分ではコウジカビ、黄緑色の花が咲いており、一概に失敗とも言い切れない。


 5日間経過。

挿絵(By みてみん)

 米で行った時と比べると、黒麹の着生がかなり激しい。



 7日間経過。

挿絵(By みてみん)

 一応完成分の日数が経過したが、状況は見ての通り。


 まぁ見た目としては派手なものの、ケカビの影響範囲というのは実際それほどでもない。

 形状的に結構簡単に剥ぐことが可能であり、その下にはコウジカビの胞子がそれなりに付着している。

挿絵(By みてみん)

 しかしながらコウジカビの繁殖はごく表層部分に限られるものであり、ほんの5㎜も下れば当初の色のままの押し麦が顔を出す。


 一応灰混和蒸し麦に限れば、底まで綺麗に胞子が着生しているようだ。

挿絵(By みてみん)

 しかし残り2つはどうにもダメであり、伝統的たまり製造の味噌玉に従い、割り砕く→胞子着生を繰り返して、一応使えるようにするつもりだ。



 以下は反省点。


1.米と麦の差異についての無理解

 米の吸水率が30%程度なのに対し、小麦・大麦だとその倍以上の水分を含むことができ、純粋に水分が過剰であった。

 浸す温度が高いほど吸水率は上がるものであり、40℃9時間乳酸発酵を実施した右側で特に顕著だったと思われる。


2.被覆植物の選択

 サイズの大きいナスの葉は作業的に楽ではあったが、培地全体を完全に覆ってしまっており、過湿を助長していた。

 前回のキクのようにある程度湿気が抜けていくサイズの葉、あるいは藁を緩く被せるといったことが望ましいのだろう。


3.通気性の悪さ

 前回が竹ザルで下方向の通気性を確保していたのに対して、今回はプラスチックにベタ付けに近かった。

 また「押し麦」というもの自体、本来の大麦を平らにひき潰した形状であり、あまり適切な選択では無かったのかもしれない。



 今回の失敗は手抜きによる面が大きかったと認識しており、テキスト通りの作業が出来ていたとは言えないだろう。

 こうした反省を踏まえ、以後通販で小麦粒を買うのを待って再度の実験に臨むものとする。

あと「種麴」というものに対して疑念を持ったりしたので、1度文献調査を実施。

https://note.com/bai2_chun1/n/n0bbf212955bb


たまり醤油に関する論文を見ると、「種麴が用いられたのはそう古いことではない」とあって、ちょっと認識がこじれていたな、と。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/58/8/58_8_675/_article/-char/ja/

(1963年)

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