第六十七話【最終話】/終章③
“三月二十一日、午前四時、世界は光に包まれる”
佐伯美緒は、自らの身体へ弘法大師、空海の魂を転生させる。
圧倒的な祈りの力、法力を伴って……
千二百年の時を経て、遍照金剛が現世へと降り立つ。
弘法大師『空海』・・・真魚
吉備の鬼神『温羅』・・・みさき
『吉備津神社』宮司の娘・・・伽耶
空海を追う『摩』法少女・・・七瀬
四人の女子高生が織りなす、「因縁生起」を巡る物語――
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岡山・香川の実在の旧跡・名所を舞台に繰り広げられる、バトルコメディ奇譚。
小旅行気分でお読みください。
弘法大師 生誕一二五〇年 入定一二〇〇年 祈念作品
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体、等とは一切関係ありません。
また、特定の宗教・教義を礼賛するものではありません。
七瀬は二晩だけ病院へ泊まった。
精密検査の結果、常人より健康というお墨付きを医者から貰っている。
黒塗りで乗りつけた七瀬は、自宅であるかのように飄々と帰ってきた。
「ただいま」
声を聞いたみさきが玄関へ駆けていき、
「おかえりなさい」
優しく迎え入れた。
七瀬は照れくさそうに居間へ入ってくる。
「もう体調はいいの?」
伽耶が心配そうに声をかけた。
「問題ない」
そっけなく言うが、顔色は良さそうだ。
しかし、この話題に触れずにはいられない。
「やっぱり、その眼が目立つなぁ」
「海外のモデルさんみたい」
「銀髪碧眼の摩法少女が爆誕しちゃいましたね……」
みさきが笑いを堪え切れず、噴き出す。
「言うな! 私だって気にしてるんだ……」
七瀬は顔を両手で覆うと、しゃがみこんでしまった。
「さぁさぁ、起きて下さい。今日は急がないといけませんから」
みさきが七瀬の腕を引っ張る。
「何かあるのか……?」
「約束したじゃないですか。服を買いに行くって」
「もう、約束したままいなくなっちゃいけませんよ……?」
みさきの瞳は涙でうっすらと濡れていた。
「今日はあなたと真魚の制服を採寸しないとね。入学式に間に合わなくなっちゃうよ」
みさきが引っ張っている腕とは反対の腕を伽耶が掴み、引き起こす。
「では、行くか」
立て掛けてあった錫杖を手に取ると、三人を追うように外へ出た。
暗くうら寒い土間を抜けると、眩しい陽光が身体じゅうを突き刺す。
春特有の暖かな薫風が頬を撫でた。
(第一部 完)
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