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04.新生生徒会……って攻略対象者ばかりなの!?(汗)

「莉桜。ちょうど良かった」

(どど、どこがちょうど良かったんですかッ!?)

とツッコミを入れたくなる今の状況とは。

放課後になったから課題の為の資料を探しに図書室へ行こうかと教室を出た矢先にノクトが声を掛けてきたのだ。

ついでに言わせてもらうと女子たちがすでにノクトを囲むように集まってもいた。


「……少し静かにしてもらえないだろうか?」

さすがのノクトも女子たちが自分を囲むように集まっていることに気付き、尚且つ騒いでいるものだから久々に聞いた絶対零度の声でそう言った。

時間すらも止まったかのように一瞬で周りは静かになった。

(うわぁ。さすが絶対零度の声。足元に氷を張ったかのようだわ。見えないけど)


「ここでは話しにくいし生徒会室に行こう」

いつもの穏やかなノクトに戻り私のほうを向いて言った。

「これから図書室に行こうかと思っていたので今度にしてもらえませんか?」

「図書室に行くことより重要なんだけど?」

(いや。私は課題のほうが重要……)

「なら、あとで図書室に付き合うからとりあえず生徒会室に行こうか」

(何故そうなるー!?)

なんて私の内心の叫びなどノクトに聞こえるはずもなかくあれよあれよと生徒会室に連れ込まれる私なのだった。


「あっ、莉桜!」

「梓紗?なんでここに?」

生徒会室に連れて来られた私に声を掛けて来たのはルームメイトで親友の梓紗だった。


その梓紗の隣にはノクトと会った時にノクトと共にいた人だった。

目が合い私が会釈をするとその人も会釈で返してくれた。

(これは一体どういうことなの?)

頭の中はたくさんの『?』マークで埋めつくされそうだった。

「全員揃ったか?」

ノクトは当然のように私の隣にいて周りに聞いてきた。

「まだ1人来ていません。あと顧問の先生もまだのようです」

梓紗の隣にいる人が言った。梓紗はそわそわと落ち着きがなかった。

(梓紗?どうしたのだろう?)

首を傾げた私と目が合った梓紗は複雑な表情をしていた。嬉しそうなのに泣きそうでもある表情……とだけ言っておくよ。


「ノクト」

私は小声でノクトを呼び掛けた。

「ん?どうかした?」

ノクトは柔らかく応じてくれた。

「梓紗がなにやらいっぱいいっぱいのご様子で……。助けに行ってもいいですか?」

私の言葉を聞いたノクトが梓紗のほうを見た。数秒見ただけですぐまた私のほうを見た。

「大丈夫。助けなくても平気だよ」

(何故わかる?)

ノクトは笑顔でそう言ったが、私を梓紗の所に行かせないように手を繋いできた。

(ええぇぇぇ!?)

私はパニックになりつつあった。ノクトが何をしたいのかわかりません!


「揃ったかー?」

生徒会室に1人の先生が入ってきた。

「ご、ごめんなさいっ!遅れました!」

その先生の後に小柄だが、可愛らしい女の子も入ってきた。


「揃ったようだから始めよう」

凛としたノクトの声が生徒会室に響いた。

(一体何を始めるつもりなの?)

何の説明も受けていない私は戸惑った。

ノクトが言葉を声に出しそうにしたその時……。


バンッ!生徒会室のドアが壊れるんじゃないと思うくらい強くドアが開いた。

「どういうことなの!?ノクト!!」

(うげっ!)

生徒会室にづかづかと入ってきたのは花畑脳ヒロインマイだった。

クラスは離れていたし、ここ数日は顔を見ていなかったから平穏だったのに。

私は咄嗟に顔を俯かせた。

(マイと目を合わせたらまた嫌がらせをされる……)

そんなことを考えた私の脳裏には幼い頃にマイから受けた嫌がらせのもっとも命の危機を感じた出来事が浮かんできた。

『今の私』が『前世の私』を思い出したきっかけの出来事が……。


ぎゅっと目を瞑る。

(思い出すな、思い出すなっ!)

必死に命の危機を感じた出来事を思い出さないようにしようとした。

けど。そうしようとすればするほど思い出してくる。

(もうあんな思いはしたくないのに……っ)

そう思う私はふと、手が強く握られた感じに気付いた。


目を開けると繋がれている手と手が見えた。片方は私の手。もう片方の手はノクトの手だ。

『大丈夫』繋がれた手を見たらノクトの声が私を励ましてくれた気がした。


「どういうこととはなんのことだ?通達した通りだが」

ノクトの絶対零度の声が生徒会室に響いた。

「私が生徒会から除名されるなんておかしいわ!しかも生徒会室出禁なんて……。何かの間違いよ!!」

マイの言葉に誰もが冷めた目をしていた。そうノクトや梓紗でさえも。

「何もおかしいことはねぇだろ。部外者は消えろ」

(ちょっ、先生の言葉じゃない!)

私は内心ハラハラしてしまうが先生の言葉遣いが悪いのは知っているし、生徒会室にいる誰もがマイの味方になることはなかった。


「こんなことあり得ないわっ。攻略対象者ばかりの生徒会にヒロインの私がいないなんて……っ」

(…………。なんですと!?)

マイが小さく呟いた言葉が聞こえてきた私は固まってしまった。

キッと私はマイに睨まれた。私がいたことに気付いていたようで睨まれた私はビクッと身体を強張らせたが負けじと真っ直ぐマイを見た。

マイは面白くなさそうにしながら出ていった。


マイがいなくなりホッと息を吐いた。

生徒会室内も微妙な空気になったがパンッ!と手が叩く音がした。

「ノクト、さっさと始めようぜ。かなり無駄な時間が過ぎたし」

「はい。アリオス先生」

ノクトもアリオス先生の言葉に小さく深呼吸をした。


「今日から新生生徒会としてこのメンバーで生徒会をすることになった」

「はあっ!?」

ノクトの言葉に私は瞬時に反応してすっとんきょうな声を出してしまった。

私以外は知っていたようで誰も驚いていなかった。

「ノクト。ちゃんと言ってなかったのかよ」

アリオス先生は呆れたように言った。

ノクトはぐうの音も出ないのか黙ったままだった。

「あ。もう決定事項だから拒否権はないぞ」

(んなー!?)

私が断るだろうと思ったアリオス先生は間髪なくそう言った。

その顔はニヤニヤと楽しそうに笑ってもいた。


「莉桜。駄目だろうか?」

突然、ノクトは振り向いて聞いてきた。

(さっき拒否権ないと言われたばかりなんだけど?)

「断れないようにしたのに駄目かと聞くのはどうなのよ。駄目だと言ったらなかったことにしてくれるの?」

「無理だな」

(無理なんじゃないかーい!!)

内心でツッコミを入れながら私ははぁと息を吐いた。


「拒否権が使えないなら断りません。やりますよ」

もうこうなれば腹をくくってやる!……半ばやけになって思うしかなかった。


私はすでに忘れていた。マイが生徒会室から出て行く前に呟いていた言葉を。

『新生生徒会のメンバーは攻略対象者ばかり』だということを。


その言葉の意味を私が思い知るのはもう少し先の話。

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