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グラタン&マルゲリータ。  作者: さんまぐ
マルゲリータ。

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第16話 根回しと報告。

俺たちは2人で話し合って関谷さんのところに顔を出した。


俺は「突然ですみません」と言いながら、プリンをお土産に渡すと関谷さんは喜んでくれて、「急にどうしたの?困り事かい?」と聞いてくれた。


俺達は付き合った話をすると、「嬉しいよ!まこっさんとあきやんの報告を聞いた日以上だ!」と喜んでくれて、奥さんに「明日香さん!お祝いにお寿司取ろうよ!」と言い出してしまって慌てて辞退をした。


「それでひとつお願いがあって……」

「なになに?言ってくれよ!」


俺達は、母に会う時に馴れ初めが必要な事に気付き、流石に父の惚れた相手の娘さんで、惚れた相手も未だに父を想ってくれていた人ですとは言えない。

その言い訳ではないが、父の遺品整理でお邪魔した日に、萩生楓さんのお願いで、関谷さんの所に顔を出していた萩生紅葉と知り合って、関谷さんの勧めで2人で墓参りに行くようになって、関谷さんから埼玉ではなくこっちに引っ越してくる事を勧められた萩生紅葉の勤め先が、たまたま近くて、会う回数が増えて付き合う事になったことにさせて貰えないかとお願いをした。


関谷さんは「なんだ!そんな事かい?勿論だよ!なんなら婚姻届の証人欄にも名前を書くよ!」と言ってくれて、俺と萩生紅葉は顔を見合わせると嬉しさで頬を染めてしまう。


泣いて喜んでくれる関谷さんを見ながら、萩生紅葉が「あの、母さんと真さんの馴れ初めって聞いても良いですか?この前は聞けなかったし、母さんは何歳で意識して何歳で付き合ったんですか?」と聞くと、関谷さんが懐かしそうに語ってくれた内容に、俺は申し訳なさすら感じてしまうし、萩生紅葉は「うわぁ。匠さんが真さんじゃなくて良かった」と言う程だった。


俺もそう思う。

大学一年で意識した萩生楓さんの気持ちを鈍感力でスルーし続けた父さんは、大学二年の忘年会に行くと言った萩生楓さんと、「待たせすぎだよまこっさん。気付かないフリはダメだよ」と言ってくれた関谷さんの言葉で奮起して、忘年会に行く萩生楓さんを捕まえて「2人で忘年会をしよう!」と誘っていた。


「真?その言葉の意味はわかってるの?」

「わかってる……つもり。楓の気持ちが友達に向けてなら、これで関係が崩れたらって思ったら怖かったけど、何もないまま大学を出てしまう人生を考えた時、その先で取り返しがつかない事になるって考えたんだ」

「で?言うことは?」

「楓、もし良かったら付き合って欲しいんだ」

「やっと言った。待たせ過ぎ」


関谷さんの言葉で簡単に情景が浮かんできてしまう。


「そう言って、まこっさんとあきやんは2人で忘年会をしたんだよ。まあ忘年会シーズンに大したお店はやってなくて、結局はファミレスでお酒を飲みながらご飯を食べて、缶チューハイと缶ビールを買い込んで、まこっさんのアパートで2人酒さ」


関谷さんはそんな話をしながら、「まあ、2年になってあきやんに熱烈アピールをしていた山田くんは可哀想だったけどね。皆から止められたのにアプローチするからこうなるんだよね」と言って笑った。


俺は聞き捨てならずに「山田……」と呟くと、関谷さんが「どうしたの?」と聞いてきて、萩生紅葉を狙っていた山田の話になると、「まあ無いだろうけど、案外山田くんの子供だったりして」と言って関谷さんは笑った。


俺は笑えなかったが、萩生紅葉も「まさかぁ」と笑っていた。


萩生紅葉は「ありがとうございます」とお礼を言うと、関谷さんは「いや。懐かしかったよ。山田くんもだけど、日向くんも青海くんも元気かな?」と呟く。


「あれ?他の人達は苗字呼びなんですか?」


俺の質問に、奥さんが「ウチの人は基本苗字に君付けかさん付けなのよ」と言って微笑むと、関谷さんが教えてくれた。


「明日香さんは付き合った時から明日香さんだけどね。まこっさんとあきやんだけは『あだ名呼びでいいから、苗字は味気ないからやめてくれ』って言ってくれたんだ。なんか言いにくかったけど、2人にはそれが無くてさ、だから僕の特別な友達は、坂上真くんと秋山楓さん……まこっさんとあきやんだけさ」


関谷さんはそう言って微笑んでいた。



・・・



俺達はお礼を言って帰る。

関谷さんは「本当にお寿司いらないの?」と聞いていて、奥さんから「2人きりの邪魔しないの」と言われて我慢してくれた。


俺達は帰りに家電用品店に行く。

勿論目的はホットプレートだ。


広い店内を2人で回る中、萩生紅葉はホットプレートそっちのけでピザも焼けるオーブンを欲しがる。


「紅葉さん?」

「2人で生地から作りましょう」


その言葉に陥落した俺は、「紅葉さんも持ってくれる?」と聞いてからホットプレートとオーブンを買った。


2人で重たいと言いながら持つことすら楽しくて、帰ってから生地作りをする。


今はネットがあるからなんでも調べられる。

作った生地は膨らみ過ぎて、「どうしよう」、「何枚も食べましょう」と意気込んで2人でマルゲリータピザを焼いたら、とても美味しくて食べ過ぎてしまう。


俺はフローリングに身体を投げ出して、「あー……、泊まりたい」と言うと、横に来た萩生紅葉は俺の胸で深呼吸した後で、「今日はダメですよ。お母様を安心させてあげてください」と言う。


「えぇ……。いらなくないかな?」

「ダメですよ」


俺は仕方なく「じゃあギリギリまで居させて」と言ってから萩生紅葉を抱きしめて、ピザ味のキスをする。

名残惜しくて後ろ髪を引かれながら帰ると、家は綺麗になっていて母はもう眠っていた。


翌朝、変わらぬ母はいて、また怠惰の権化と化していた。

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