第14節:嫌がらせのエスカレート 西園寺派による業務妨害が激化。奈々へのパワハラを凛子が冷静に制止し、九条が事態に気づく。
第14節:嫌がらせのエスカレート 西園寺派による業務妨害が激化。奈々へのパワハラを凛子が冷静に制止し、九条が事態に気づく。
それから数日、給湯室での嫌がらせは露骨にエスカレートしていった。
床にわざとコーヒーがこぼされ、私のロッカーには「調子に乗るな」というメモが貼られるようになった。
私は戦うことなく、ただ淡々と記録を取り続けた。
汚された時間帯、目撃者、廃棄されたハーブのリスト。
「凛子さん、もう我慢できません! 私、社長に言います!」
給湯室で片付けを手伝ってくれていた奈々さんが、涙目で訴えた。
「奈々さん、大丈夫ですよ。怒りは心を燃やしてしまいますから。まずはこれを飲んで」
私は彼女に、気持ちを落ち着かせる「カモミールとラベンダー」のブレンドを渡した。
その時、バンッと音を立ててドアが開いた。
西園寺部長だ。
「佐藤さん! こんなところで何油を売っているの!? 今すぐ営業部に戻って、昨日のミスの始末書を書きなさい!」
「ひっ……はい、すみません……っ」
奈々さんは恐怖で息を呑み、過呼吸を起こしかけた。
「西園寺部長」
私は奈々さんの前に立ち、静かに言った。
「彼女は今、体調が悪いです。少し休ませてください」
「清掃員が口出ししないで! 彼女の管理は私の仕事よ!」
「管理ができず、彼女を壊そうとしているのなら、それは上司の怠慢です」
私の言葉に、西園寺部長は顔を真っ赤にして怒り狂った。
「あなた……ただの掃除婦のくせに!!」
「……何騒ぎだ」
その声に、全員が凍りついた。
いつの間にか、給湯室の入り口に九条社長が立っていた。
彼の冷たい視線が、散乱したゴミと、怯える奈々さん、そして激昂する西園寺部長を順番に捉えた。
「防犯カメラの映像を確認する。関係者は後で私の部屋へ来い」




