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War Ensemble/ウォー・アンサンブル ~戦争合奏曲  作者: 改案堂
第三章 Diabolous in Musica/音楽に潜む悪魔
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144 tr36, that's human bonding/人との繋がり

うわぁ…やっちまった。絶対にルーはアンゲルの事小さい子と勘違いしてるよ。下手すると男の子。

確かアンゲラの方が年上だったよな、『小さな男の子で冒険に憧れるヤンチャなイメージのアンヘル』と、『実際成人女性で「世界をまたに飛び回りたいアンゲル、年上で背も俺と同じ、美人の女性アンゲル』が目の前に現れたらルイーズはどうするんだろう…?


ま、でも今更か。嫌とは言わなかったからアンゲラのスヴェリア語の練習にもなるし、しばらくそのままにしておこう。

手紙はまた受け取ってしまったので、ルスカーヤ入りしたらまた書こうかな。



――――――――――



「二人とも、どんな芸ができるかね?

 もちろん人に見せてお金を出せてもらえる、そんな芸です」

「うーん、困ったね。

 オレとタロ・ジロなら結構高度な芸当ができるがな」

「ほう、例えばどんな?」

「タロ、あのシルクハットを取ってジロに渡して、ジロはグルーっと一座を回ってからタロに帽子を渡して、元のオッサンの頭に戻せ。

タロはその間あのステッキを取り上げて適当に遊びまわっていいぞ、ゴーゴーゴー!」

その間オレはそこに居合わせた男女全員の団員の尻を触り、フィドルを『拝借』して弾きながら逃げ回った。

ジロは案外早く帰ってきたようで、団長の頭には無事シルクハットが戻ったようだ。

タロはもう少し遊びたかったようで、のフィドルに合わせてステップを踏んでいた。

珍しいんだからな、オオカミの音楽に合わせたステップって。



「ハラショーハラショー!これはイッパツオッケーですなー団長。彼はソノオオカミも自在に使えるみたいですし。使い方無限大ですなー!

「こら煩いシュールスロレミングス!お嬢ちゃん、あんたの得意な事をやってみなさい」


アンゲラは顔真っ青だが、彼女の最も得意な両手に長兼を持った演武を黙々とこなす。

最初こそ「なんだよー」「古臭せーなー」などと野次が飛んでいたものの、最終的には皆黙って彼女の動きに魅入っていた。

演武が終わると、皆一斉に拍手。

腕っぷしを誇るだけあって、動きに自信はあったらしい。



「どーよ、ケイン!」

「うん、綺麗だった。今までで一番アンゲラって名前がお前に似合って」

バチーン!背中にモミジ。

この程度で…と慣れた自分が怖いね。



――――――――――



「コホン、それでは団員で話しあった結果を発表する」

代表のトヴァの言葉だ。

「ケイン、お前さんは芸達者だ。多分なにやらせても何とかなる。

 だが問題は残りのメンバーだ。


アンゲラちゃんや、あなたはそこのヴォルコフと演武を組む気はないか?

女性で大きくてその上猛獣使い、彼らと死闘を繰り出すさまはさぞかし壮観でしょう。

つまり、一人と二頭で毎日繰り返し戦ってていただく。

これはピッタリ息が合わないと怪我をするから、聞き分けの良いヴォルコフと腕の良い縁者の両方が必要です。

彼女のルスキ語とヴォルコフたちの指導はこっちで引き受けますよ?」

まあ、タロとジロ、それにアンゲラの実力的には良い見世物になる、か。



「で、そちらのなんでもできるケインさん、あなたはクマの着ぐるみを着てボールに乗り、バラライカでも演奏してもらいましょうか。

 いわゆる喜劇回しで、彼女らの演技を進行してもらいましょう」

おい。

「顔は出さずに済む、闘いも演じずに済む、場合によっては演奏もしなくて済む。妙案だと思いませんか?

サイズの合う着ぐるみがないので熊を何頭か狩ってきていただき、鞣し加工やボールの準備はこちらでしましょう。

どうです?ん?」


もちろん私トヴァンデステやブリャチスラヴィチ家はサポートすしますが、加工の時間を考えるとあまり余裕はありませんよ!?

碌に鞣してない、、ゴワゴワノくっさーい熊の毛皮で良ければゆっくりのんびりどうぞ。

ただし、今の時期が一番狙い目です。殺さず血抜きせず気絶した状態で持って帰ればベストです。これはもう即日狩りに行って下さい、いいですね?


演奏の楽器はあんまり心配していません。弦楽器なら皆同じていどで構わないので鞣し作業中にパラライカでも弾けるようにしておくように、着ぐるみ着ると変わるので、完全でなくとも構いません。演目は任せますが、大衆化てきな…そうですね、民謡のコロベイニキでもエンドレスで引けると好まれますよ。」


「いやいや待て待て、2mクラスの熊なんて早々いるかよ、それにいくら鞣しても相当臭いぞ。

 しかも着ぐるみ着てボールで演奏?ふっざけんなオメー?」

「ホレホレ早くしないと鞣し期間が減ってうーんと臭っさくなりますよ?それに我々の鞣し技術をナメちゃいけません、手間はかかりますが確実に気に入ってもらえる一品にしますよ。

 なんなら、アンゲラさんの体臭も染み込ませておきますから」

「ば、ばっかやろー!余計なことすんじゃねー!

 とりあえず獲物はすぐ調達してくらあ、待っとれ!」



結局熊一頭の大きさだけでは間に合わず、三頭の熊を狩って繋ぎ合わせにした。

本来数ヶ月加工に時間がかかるが、ほぼほぼフルオーダーだ、仕方ないいか。

あ、中身は皆でおいしくいただきました。


アンゲラは、まだ彼女の側でタロとジロに抵抗があって巧くいっていないようだ

分かってはいても、子供のころからの恐怖心を克服するのは難しい。



突貫で加工や練習の手間もあって、出発は11月になった。

「通常ならもっと時間をかけるところだが、キミらの旅を考えるとゆっくりできないんだろう?

巡業そのものの時期を遅らせ、モスカウへの到着を3月とする。

我々としてもギリギリの遅いラインだ。

あと1か月ちょっと、芸に励みたまえ。

特にケイン君、早く匂いに慣れたまえよ?ぷっ」


こーのーやーろー、着ぐるみが特別クサイの知っててワザワザ言ってやがんなー!

「ああそうそう、キミらの大仰な荷物はちゃんと持っていくから安心したまえ?

特にあの棺桶はイイね、大いに目立つ」

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