第7話「態度を急変させる兵士」
「ここか、キフカっていう町は」
フラッシュの言った通り、あの森から真っ直ぐ南に位置していた。
こいつは、根が真面目なのか・・・・・・盗賊、向いてないだろうに
目の前には、町の入り口とは思えないような立派な門が立っていた。木の門ではなく、石で作られているようだ。
フラッシュを引きずって門を通ろうとすると、槍を持った門番らしき兵士が声をかけてきた。
「そこのお前! 止まれ!」
これはお決まりだな。
「見慣れない格好をしているな。どこから来た?」
「ここから遠く離れたところから来た。3年以上はかかる」
怪しまれないように、適当な嘘をついて誤魔化す。
「嘘は大概にしておけよ。でないと、ここから先へは通すことができなくなる」
そう言って、兵士は懐から赤い球を取り出す。
「これは、『真実の目』といって、嘘をついたやつにしか発動することができない。だから、嘘をついたお前には発動することができるんだ。覚悟しろよ」
兵士は、右手に『真実の目』を持って、「この者の真実を我が前にさらけ出せ」と唱えた。
「天霧光哉、18歳。転生者であり製作者である」
メーティスと同じような機械的な声で、答えが出てきた。真実の目っていうからもっとヤバい情報まで晒されるのかと思ってたけど、意外に大雑把な情報だった。
しかし、転生者ってのがばれてしまったな。まずいかな・・・・・・どうしようか。
そう思い、兵士の顔を見るが、兵士は驚きもせず、
「転生者様でしたか。ようこそおいでくださいました。ご身分を隠そうとしたということは、転生して間もないということでしょうか? なら、事情も知らなさそうですね」
と、急に接し方が優しくなった。
俺が、全くわからないと言うと、兵士はニコニコしながら説明し始めた。
「この町、キフカは職人の町でありながら転生者の町でもあるのです。住民の半分が転生者です。また、この町の長も転生者です。後であいさつに行かれるといいと思いますよ。
身分を隠そうとしていましたが、この町のように転生者はあまり珍しいものではありません。世界的に見ても、転生者は多いです。なので、隠す必要は全くありません」
これからはお気を付けくださいと、兵士は親切に教えてくれた。
それから、兵士に盗賊フラッシュを引き渡そうとしたが、それはギルドの仕事ですのでギルドに行ってくださいと言われた。ギルドの場所が分からなかったので、兵士にこの町の地図を1枚もらい、門を後にした。
ギルドは門からそう遠くはないらしい。フラッシュを引きずって歩くのは、注目されるが他に方法が見つからないので我慢する。
だけど、転生者って珍しくないんだな・・・・・・
もっとちやほやされるのをイメージしてたのに、とても残念だ。
次回は、ギルドについてです。