余計なお世話でも
「……悪かったな、わざわざ来てもらって」
「ううん、気にしないで。むしろ、こうして呼んでもらえて嬉しいよ」
「……ははっ、なんだそれ。やっぱ変わってるよな、あんた」
それから、数時間後。
放課後、空き教室にて僕の返答に少し可笑しそうに微笑む端麗な少年。それにしても……うん、僕に対してもこういう笑顔を見せてくれるように――
「……あの、どうかした? 由良」
「あっ、いやなんでも……」
すると、少し首を傾げ尋ねる美少年。……おっと、今は感動してる場合じゃない。緩んだ頬を引き締め、ゆっくりと口を開いて――
「……それで、話があるんだよね? 音咲くん」
そう、微笑み尋ねる。数時間前――屋上を出て職員室へと向かう最中、ふと視界に映ったのは僕をじっと見つめる音咲くん。その様子から、僕に用事があることは流石に察せられて。そういうわけで、話を聞くと――話があるから、放課後この教室に来てほしいとのことで。
ともあれ、僕の問いに少し躊躇う様子の音咲くん。だけど、ややあってゆっくりと口を開いて――
「……まあ、だいたい分かってると思うけど……あれから、唯月とちゃんと話をして……ちゃんと、仲直り出来た。だから、その……ありがとう、由良」
そう、微笑み告げる音咲くん。そもそも疑う理由なんてないけれど、その表情からも感謝の気持ちがひしひしと伝わる。だけど――
「……ううん、僕は精々きっかけを作っただけ。君たち二人が仲直り出来たのは、お互いを真摯に想い逃げずに向き合った結果……だから、感謝なんて必要ないよ。でも、ありがとう音咲くん」
「……いや、なんであんたが」
そう伝えると、呆れたように微笑み答える音咲くん。そんな彼に、再び口を開いて――
「……ねえ、音咲くん。もう、あんなことは言わないでほしいんだ。人を好きになる資格がないなんて、そんな悲しいことはもう二度と」
「…………由良」
唐突な僕の言葉に、ポツリと呟く音咲くん。まあ、今となっては僕が出しゃばって言う必要なんてないかもしれないし、大いに余計なお世話かもしれないけど、それでも――
「……ほら、僕なんて人を死なせたっていうのに、厚顔無恥にも平然と人を好きになってるんだよ? なのに、君にその資格がないのなら……いったい、僕には何の資格があるんだろうね」
「……ははっ、なんだよそれ」
そう伝えると、ふっと破顔する音咲くん。面白いことを言ったつもりはないのだけど……そんな表情をしてくれるなら、それだけでも言った甲斐があるというもの。すると、ややあって――
「――心配しなくて大丈夫だよ、由良。そっちについても……たぶん、一歩くらいは踏み出せてると思うから」




