3-7話 募集要項ー クラン名の意味が分かる方
第三章:クラン A.ドボルザーク:
ステータスと装備確認がメインのパートです。設定細か過ぎて目が痛いので、設定好きなひと以外は読み流しでOKです
楓が消えてしまってから、何日経つのだろうか…? 締め切った家の中で、何をするでもなく、ただ、天井を見上げて寝転んでいた。
ここに居れば、復活した楓が、けろっとした笑顔で帰る気がしていた… しかし少女が戻ることは無く、月歌と楓を、続けざまに失った喪失感で、彼は半分抜け殻状態のままだった… まぁ少年らしく、不貞腐れての現実逃避とも言う…。
多分… 四日目の朝かな? やばい… 腹が減りすぎて気持ち悪いな…。
あの日の夜から、珈琲以外、殆ど口にしていなかった。
「みんな… 居なくなってしまうんだな…」
給仕や店の客たちが、喜ぶべき事だと教えてはくれた。この世界で目覚めた者は、戦いを強要され、死ぬ事さえ叶わずに、何度でも死の激痛と恐怖を繰り返すしかない… それは、想像を絶するほどの、ストレスと苦悶であり、狂気に走ったり、心が荒む者も少なくない。
実際に楓も、この世界が嫌いだと口にしていたし、去り際の安堵した表情が、全てを物語ってもいた。
ー 全部ヒロトくんのおかげです… ありがとね… 大好き ー
彼女は開放される事を確信して、幸せそうに笑ったのだ…。
そう、その繰り返す苦痛から逃れる、唯一の救いを、人は消失と呼んでいた。
その原因も、切っ掛けも、明らかにされていない謎の現象。しかしあの森で目覚めた者の大半が、3年以内に消失を迎えて、世界から退場していく。消失する者は、その真相を語ることはなく、ただ幸せそうに去る者、悲しそうに嘆く者、苦悶の表情で絶叫する者など様々なのだ。
何者も語らない秘匿なる消失… ただ、その解けていく光の色は、その者の感情を如実に表してしまう。
金色から暖色系… そして寒色でも綺麗に輝くものは『安息の消失』と呼ばれ、最後は天に向かって登っていく。
そして黒色や、汚れた色、斑に混じった濁色などは『悲嘆の消失』と呼ばれて、引きずり込まれるように、地の底へと沈んでいくのだ。
それが何を意味するかは誰も知らない… しかし、その瞬間を目撃すれば、本能が一瞬で悟ってしまう。実際に大翔も、美しい黄金色で昇っていく少女を見て、心の深部は安堵していたからだ…。
この世界の大半の人間は、『安息の消失』を迎えることを願い、また『悲嘆の消失』を恐れていた。
楓は金色の消失だった… 尊き幸せの色となり、安息の輝きとして昇っていった、出会ったばかりの大事な娘。
「ありがとう… か… 君にはまた、何処かで逢える気がするよ…」
大翔は、そう言って力無く笑った。それから彼が部屋を出るまで、更に丸一日を必要とした…。
◇
「あら… 君、ずっと見なかったけど、大丈夫だったの?」
『Noisy Labyrinth』で、二皿目のランチを平らげていると、猫人族の女給が小鉢と珈琲を運んでくる。
「あぁ… アイナ… だったよな? 十分に放心したし、たっぷりと孤独を味わってた… サンキューな」
「流石にカエデを救っただけはあるのね… 今度はわたしもどうかしら?」
長い尻尾を優雅に揺らして、鋭い二重でウィンクを投げる。
「まぁ… ちょっと、今は放置で頼みます…」
「ふふっ… 元気になったらで良いわ。わたしにも声を掛けてね。 あ、そうだ… ひとつ進言。ハンターギルドの募集掲示板を見ると、良い事があるかもね?」
「ハンターギルドか… そうか、ありがとな」
一応、伝言は伝えたからね… カノン。後は彼次第じゃない?
アイナは珈琲を並べて置くと、エロ可愛い後姿の、セクシーウォークで戻って行った。
この女給は、無駄にエロイから厄介だ… なんていうか… ペルシャ猫?
大翔は苦笑しながら、珈琲をちびりと含み、久々にステータスと『倉庫』の確認を始めていた。復活からこっち、色々あり過ぎて、ほぼ放置状態だったのだ。
:ヒロト シマナ: 人族 ♂ :LV17: 参考(⇧はLV8との比較)
:ステータス:
体力284(42 +242) 183⇧
魔力372(42 +330) 169⇧
気力277(37 +240) 159⇧
力 310(42 +268) 183⇧
敏捷254 (37 +217) 187⇧
知力466(42 +424) 277⇧
器用197(42 +155) 64⇧
運 91 (41 +50) 59⇧
:職業:
暗殺者LV17(AGI+27) 魔道士LV17(INT+27) 盗賊LV17(AGI+27) 付与術士LV17(INT+27) 修道士LV17(HP+27)
:二次職:
鑑定士 LV6(INT+60)付与師 LV5(MP+50)武器師 LV4(DEX+40) 細工師 LV4(DEX+40)探検家 LV5(HP+50)
:技術 パッシブ:
短剣術LV7(STR+70) 無属性魔術LV6(MP+60) 付与術LV5(INT+50) 気功武術LV6 (VIT+60)光魔法LV2 (MP+20)
:技術 アクティブ:
暗襲LV4(STR+40)魔力弾LV7(MP+70) 気配探知LV6 (DEX+60)混乱の香りLV5 (MP+50)連撃LV6(STR+60)
潜伏1 LV5(VIT+50)潜伏2 LV3(VIT+30)魔力身体強化LV4(MP+40)身体能力強化LV4(INT+40)神の祝福LV4(INT+40)
奇襲LV2(AGI+20) 魔力腕LV4(INT+40) 索敵領域LV3(VIT+30) 毒の霧LV2(INT+20) 疾風の極意LV3(AGI+30)
三段突きLV1(STR+10) 心眼看破LV1(INT+10) 瞬間移動LV1(AGI+10) 攻撃速度上昇LV1(AGI+10) 治療LV1(INT+10)
:スキルコンボ:
混乱の毒霧 LV1 (範囲中毒攻撃) (MP+20 INT+20)
神隠し LV1 (気配完全遮断) (VIT+40)
上位魔力身体強化 LV1 (MP+20 INT+20)
魔力腕気功撃 LV1(遠距離気功攻撃 腕力強化+275%)(INT+20 STR+20)
:ユニークスキル:
スキルコンポ アセンブル LV1 (INT+40 LUCK+20)
:称号:
○ディメテル連合戦士(HP+10)(VIT+10)
小鬼スレイヤー (HP+10)
●赤帽子スレイヤー(HP+20)
○豚獣人の天敵(HP+20)
○凶獣の森サバイバー (AGI+10 DEX+15 LUCK+20) Rare
○怨みの獣喰らいの討伐者 (STR+30 AGI+25 VIT+20)
:装備:
ダイダル紫軽防具セット(Unique Set)LV22(STR+64 AGI+55 HP+105)
魔方絹の外套(Magic)LV17
黒鋼ネルガの短剣(Unique) LV10
黒鋼鏡の大翔短剣(Magic)LV15
小鬼の赤いお守り(DP+15) 迅速のミサンガ(AGI+3) 力の首紐(STR+4) 報復の守り札(HP+10) 防御のお守り(DP+24) 気紛れの金指輪(LUCK+10)
:1130.040アル:
「え? これってまじかよ……」
色々と激変していて、思わず声に出てしまう… スキルコンポが4種も発現していて、とりあえず自分に、突っ込みを入れたくなった…。
最後の戦闘が激し過ぎて、まったく気付いていなかったのだ。そういえば何度か、使用感の違うスキルを、無意識に発動していたような…。
これなら上位魔力身体強化と神の祝福を併用すれば、月歌の神楽舞が無くても、同じ程度の強化を得られそうだ。
しかし通常ステータスでさえ、常人の5倍近いのに、それが更に倍化すると… 同レベル帯のキャラクターの、10倍の数値を越えそうだ。これが実戦ともなると、より一層…。
実際、先日のRed Statusとの絡みでも、呆れてしまう程の能力差を発揮している。
ああ、なるほどな… 便利スキル程度だった魔力腕が、突然に凶暴化した原因が、この魔力腕気功撃ていうスキルコンポだったか…。
気を纏って衝撃波を撃ち出せる、透明な巨人の豪腕は、すでに大翔の戦闘の起点として活躍している。魔法操作が難しいスキルだったが、いつの間にかに、二本腕の運用程度なら自在に扱えていた。
そして新たに知った、称号というシステムがこれか?
この街に来てから気付いた、称号を掲げるという機能だった。これはどうやら、選択した称号を名前の上に張り付ければ、その追加ステータスが有効になるという、RPG好きには馴染みのシステムだ。
しかし… また多職持ちのバグなのだろうか? 何故か5つの称号を選べてしまった… どうやら最後に選択した称号が、名前に張り付くらしく、とりあえず無難に、赤帽子スレイヤー(赤帽子を100匹以上討伐する)を選んでおいた。
防具はさすがのユニークセット効果で、今までの6倍以上の防御力を表示していて心強い。魔法抵抗も圧倒的で、生半可な魔法攻撃は簡単にレジスト出来てしまいそうだ。
そして最後の戦闘で失った『魔封じの短剣』の代わりに、引き篭もり期間に作ってみた『黒鋼鏡の大翔短剣』を装備している。見た目は『黒鋼ネルガの短剣』に似せた、短剣とショートソードの中間ぐらいの、大型の両刃短剣だ。
そして… 一番の問題は… このユニークスキル『スキルコンポ アセンブル』だろうか?
:ユニークスキル:
スキルコンポ アセンブル LV1
コンポに必要な連携時間を+/-1秒まで自動調整する。
突然に、コンポスキルが続けて発現した理由はこれだろう…。
要するに連携に必要なタイミングを、プラスマイナス1秒まで緩和してくれるスキルだ。繊細なスキルコンポの発現において、この1秒は想像以上のアドバンテージだ。実際に4つものコンポスキルが、あの死闘中に発現している。
「ん? て、こんな杖どこで拾ったんだ?」
大翔は『倉庫』の窓に見つけた、見慣れない杖アイコンに注目してみる。
:鑑定:
怨みの獣喰らいの杖 (Rare Unique) LV24
物理攻撃力+95 魔法攻撃力+292 攻撃速度65 耐久値 100%
荊棘の拘束発動27% 魔法抵抗貫通33% 範囲行動不能発動 荊棘の鞭発動 魔力吸収+6% 命中毎
まてまてまて…… って、凶悪過ぎるだろこれ!?
名前からして、明らかに獣喰らいのドロップ品だろう… どうやら死体を回収したときに、一緒に拾っていたようだ。
なんで杖なのに、物理攻撃力が95もあるんだよ! 魔法攻撃力も高すぎるだろ… これ売ったら幾らになるんだ…?
後で調べてもらったら、時価で455万アルでした。これだけで一財産だ。
本当はこれ、月歌に渡したい装備だな…。
何時かその日のため『倉庫』の肥やしにする事に決定した。
まだまだ、確認したい事も多いのだが、取り敢えず長居しすぎた店を出て、ハンターギルドに向けて歩きだした。
今日は朝からの雨模様で、ぱらつく雨粒が大翔の外套に弾けていく。彼はその効果を確認しながら、ちょっとお試しで強化スキルを詠唱してみた。
ー上位魔力身体強化ー ー神の祝福ー ー攻撃速度上昇ー
強化系スキルは発現に時間が掛かるため、三種を掛け終わるのに1分ほどを必要とした。その間に身体が燃えるように熱くなり、思考が冷めきって凄まじ速度で、周囲を探知する… 一歩一歩が軽くなりすぎて、逆に不安を覚えるほどだ。
:ステータス:強化支援効果
体力〔639〕⇦284 〔x225%〕
魔力〔688〕⇦372 〔x185%〕
気力〔562〕⇦277 〔x203%〕
力 〔747〕⇦310 〔x241%〕
敏捷〔579〕⇦254 〔x228〕
知力〔866〕⇦466 〔x186%〕
器用〔313〕⇦197 〔x159%〕
運 〔185〕⇦91 〔x203%〕
:ステータス2: 強化支援効果
攻撃力 〔1077〕⇦447 〔x241%〕
魔法攻撃力 〔921〕⇦495 〔x186%〕
防御力 〔715〕⇦334 〔x214%〕
魔法抵抗 〔936〕⇦503 〔x186%〕
攻撃速度 〔668〕⇦212 〔x315%〕
命中率 〔100%〕⇦99% 〔MAX〕
回避率 〔100%〕⇦88% 〔MAX〕
「攻撃力が1077だと…… 攻撃速度も668ってナニソレ? オーケー! 見なかった事にしょう……」
Red Statusとの一件で、楓が「ステータスが上がりすぎて怖い…」と零した理由が理解できた… 確かにこれは怖い。既にあの『彷徨える災害』さえ倒せそうな数値である…。
「あ… なんか誰かに、盛大にフラグ立てられた気がしたぞ?」
大翔は、ぶるっと寒気を覚えた…。
そのまま、濡れた坂道を登っていくと、何日かぶりにハンターギルドの鉄扉を潜っていた。雨空の上に、午後の半端な時間のためか、広い受付待合室には、殆ど人は居なかった。
「募集掲示板ってどれだ?」
アイテム買取所の向かいの一角を、巨大な木板が占めている。そこに近づいてよく見れば、クエスト依頼の大量の紙片が張り出されていた。古くなった紙面の上に、更に重っている依頼も目立つ。多分、達成困難な依頼が、繰り返し張り出されているのだろう。
募集ってこれか?
依頼の張り出された面から、左に離れた一枠に別の紙片が並んでいた。よく見れば『クラン員募集』の文字が踊っている。
:Clan Easy Reasonable:
新兵諸君! 我らERは気軽に割安で、君の能力を爆上げします! さぁ君もベテランの仲間入だ!
うわ… 滅茶目茶、胡散臭い…。
:Clan 邪馬台国:
クラン邪馬台国はメンバーを募集しています。特に回復系、支援系スキルをお持ちの方優遇 LV20以上に限定させて頂きます。
募集の縛りキツイな… これで来る人いるのかな?
:Red Status:
まじめに楽しいことを追求するクランです。みんな仲が良く、定期的に狩りや、対人戦などを、和気あいあいと楽しんでいます。条件不問 誰でもどうぞ!
赤ステかよ! お、おまえら… しかも、嘘を書いてないあたりが、地味に嫌らしいぞ…。
:Clan Sleeping Saber:
陣営最大規模の戦争クランです。新兵、初心者、レベルの低い方でも歓迎します。共に最強クランを目指しましょう!
ガチ勢だな… ちょっと気になるけど、規模ぐらいは知りたいかも?
:Clan 月夜見リリス:
月夜見リリスの 山ノ内 楓です。小規模クランですが、一緒に狩りに行って下さる方を募集しています。どなたでも歓迎です。よろしくお願いします。
カエデ…… 人見知りなのに、頑張っていたんだな…。
募集の文面からも分かる、良い娘オーラーが切なくて泣けてきてしまった… 大翔はそっと、その募集の紙片を『倉庫』に仕舞った…。
「ん? 何これドボルザーク?」
妙に新しい紙片が気になって眼を移すと、思わず言葉にしてしまう。
:Clan A.ドボルザーク:
募集要項ー クラン名の意味が分かる方のみ。詳細は窓口か、クランマスターの向井奈 香音まで。
え? A.ドボルザークって、作曲家のアントニン・ドヴォルザークの事を言っているのか? 何で、前世の偉人の名前が…… あっ。
そこで大翔は、この募集の明確な意図に気がついた。
そうか… これは俺に宛てたメッセージなのかもしれない…。
暫く文面と睨み合っていた彼は、その紙片を引き剥がすと、窓口の厳ついマッチョに手渡した。
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:付録:
:ヒロト シマナ ステータス2: 参考(⇧はLV8との比較)
攻撃力 447 239⇧
魔法攻撃力 495 273⇧
防御力 334 279⇧
魔法抵抗 503 372⇧
攻撃速度 212 120⇧
命中率 99%
回避率 88%
:装備:
ダイダル紫軽防具セット(Unique Set)LV22
防御力+270 魔法抵抗+85
物理攻撃反射14% 体力の自動回復11%/60秒 状態異常抵抗+46% 自動修復機能
魔方絹の外套(Magic)LV17
防御力+25 魔法抵抗+46
遠距離物理回避+47% 魔力吸収16% 完全防水 体温調整 自動修復機能
黒鋼ネルガの短剣 (Unique)LV10
物理攻撃力+46 魔法攻撃力+14 攻撃速度88 耐久値 71%
HP吸収2%
黒鋼鏡の大翔短剣(Magic)LV15
物理攻撃力+61 魔法攻撃力+15 攻撃速度95 耐久値 100%
混乱効果発動25% 連撃発動35%
小鬼の赤いお守り 防御のお守り
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