第2章 王国対戦 2-9 王国対戦一週間前
他の国の大型兵装に比べ一週間ほどロールアウトが遅れ、やっとディスプ傭兵団にも大型兵装が8機配備された。
射撃や格闘の技術についてはアーマードギア(AG)の簡易シミュレーターで教育していたが、流石に実際に搭乗して動作させるのはかなり違うので、ようやく習熟訓練を行える。
王国軍の方も似たようなものだが、あっちは簡易シミュレーターで訓練できていないので、射撃や格闘の技術もこれからとなる。
まともに動かせるようになるまで、こっちがフォローして敵戦力に当たる事になる。
飛行できるファントムが先行して潰さないといけないが、アスカさんの方にもいくらか回して習熟訓練の相手になってもらいたいものだ。
とりあえず大型兵装の訓練メニューを作りこなさせることに。
先に教育したキキョウヤグループの大型兵装のプレーヤーもいるので、ある程度動かせるようになったら戦闘訓練を始める。
まずは大型兵装を使ったランニング。
自分が走っているのと同じような感覚が出来るまで走り込ませる、朝夕各1時間ほど。
次に格闘訓練。
こちらで準備した機体に当たってもダメージにならない素材で出来た剣で素振りから打ち合い、午前午後各1時間半ほど。
魔法戦仕様は内30分は魔法攻撃の練習。標的を狙ったり、連発したり、移動しながら発動させたり。マジックポイントがなくなるまで。
後は適当にいろいろな動作をさせて、身体に覚えさせる。河付近や山、森での行動など戦闘訓練以外の行動訓練といった感じ。
これをまず一週間みっちりと行わせ、王国大戦中は時間があるときにやらせることにした。
慣れてくれば十分戦闘で使い物になるだろう。
アスカさんの方はエンプレスのGに慣れる必要があるので、高速移動の連続となる。
耐Gスーツを身に着けたので演舞の時よりは随分楽になったようだ。
それでもGには慣れが必要なので、しっかりとホバーリングによる高速移動からの急旋回も混ぜて身体を慣らしてもらっている。
でも一日中訓練ばかりしていても保たないので、休憩もきちんと取っている。
そんな中……来客もあった。
まず、イツビシ王国。
伊達くんが秀逸・豊臣と時空・北条を引き連れてやってきた。
帰国前の挨拶らしい。
「兄ちゃん、大型兵装の演舞凄かったよ。アレと戦えるかと思うとうれしくて仕方ねぇや」
「楽しんでくれたのならうれしいよ。戦えるかどうかは確約できないけどな。
コクピットの中見てくか?」
「いいの?見たい見たい」
「ちょっと見せてくるので、アスカさん、そちらの二人の相手をお願いします」
「分かりました。すみませんね、彼、人見知りなものですから」
と言ってアスカさんに任せて、会話の内容だけは聞こえるようにしてる。
「秀逸・豊臣です。よろしくお願いします。
いえ、うちの伊達の面倒を見てくれているだけでも助かります、ほっとくとどこに行くか分かりませんので」
「時空・北条です。よろしくお願いします。
アスカ・キキョウヤさんのお噂はかねがね……
お目付役を付けててもすぐに振り切ってどこかに行ってますから。懐いてくっついていてくれる方が助かります」
「そう言ってもらえるならうれしいですわ。
ナムさんにしてもあまりあんな風に面倒を見る事も無いので、大分気に入ってるのかも知れませんね。
で、ご用件は?」
「懇親会ではうちの徳川がろくに話せなかったと言ってましたので、ちょっとお話を伺いに」
「そうなんです。キキョウヤグループがログザイ王国の支援をすると言うことなので、補給について徳川が気にしていたのです」
やはり補給についてはどこの国も気になるようだ。
別にキキョウヤグループだけが商店ではないはずなんだけど、それだけのシェアを持っているからどうしても確認しておかないといけないんだろう。
キキョウヤグループを敵に回してはいけないのかな?こっちにはあまり関係ないけど。
「それについてはドラゴニクス王国にもお話しいたしましたが、ログザイ王国と同盟を結んだミスプロ王国に対していくらか安価に卸すだけで、他の国には適正価格で今まで通り販売いたしますよ
最寄りの旗艦支店に確認してもらえれば安心できるかと。
流石に流通ストップとかになると運営に睨まれますから。それに今は運営といい関係を築いておきたいので」
「それなら助かります。
でも何かあるんですか?運営と?」
「いえ、ちょっと協力して調べなければいけないことがあるので、変にもめたくないだけです」
「そうなんですか……」
「そういえばアスカさんも演舞の時にもう1機の大型兵装を操縦されていたとか。
王国対戦で復帰されるのですか?女性プレーヤ-憧れの人が復活するとなるとうれしくて」
「そうですね。
ブリュンヒルデにも聞かれたのそう答えましたけど、大型兵装での戦闘のみですので、直接顔を見せると言うことはほとんどないですけど」
「それでもうれしいです。相対したときはよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「それでは、そろそろお暇させていただきます」
用事は済んだようで、豊臣と北条は外に居た伊達を見つけて引っ張って帰って行った。
また会う約束をして……
間を置かず今度はアースガルズ王国のヘルヴォルとヒルド、シグルーンの3人が来た。
こちらも帰国の挨拶らしい。
「「「アスカお姉様」」」
「あらあら、どうしたの?」
隣に居るアスカさんに飛びつかんばかりの勢いで接近してきた。
こちらを見る目がかなり厳しいのでかなり嫌われているようだ、特に何もしていないはずだが。
「何でうちで復帰してくれないんですか?この男に何か弱みでも握られてるんですか?
しかも、そんな格好して……」
「……えっ?……」
「弱みを握られていると言えば握られてるわね、あの大型兵装がアースガルズにはないもの。
エンプレスに乗りたいから今ここに居るのよ」
「それならその大型兵装を私らが奪っていきますから、うちに戻ってきて下さい」
「……それは無理……」
「それは出来ないのよ。あれは彼のもので、私ももう彼のものなのよ、うふふ」
「うそよ、借りてるだけで誰かにあげることはできないそうなのよ。
それに……いずれ私は彼のものになるのよ……」
「……それも違う……」
「「「やっぱり、殺すっ!!」」」
いい加減なことを言うのはやめてほしい。こちらにヘイトが集まるのは困るのだが。
「まぁ、どちらにしてもアースガルズには戻らないから、こちらに来れば戦ってあげるわよ。
あなたたちがどのくらい成長したか楽しみにしてるから、がんばってね」
「「「ぶぅーーーーー」」」
しばらくアスカさんに詰め寄りこちらをにらみ続けていたが、ディスプくんに頼んでブリュンヒルデさんに連絡を取ってもらったら、すっ飛んできて回収されて行った。
げんこつを落とされ泣いてたみたいだけど……
伊達くんとの戦闘は楽しみだけど、アースガルズの面々とは戦いたくないな。
次回予告
間もなく王国対戦が開催される……
各国での開戦直前の動向を紹介。
次回 2-10 王国対戦 開戦前夜




