序章 0-6.監視者
前方数百mでちょっとした土煙が立つのを確認。
何事かと接近する。
大きな魔法でも行使されたのだろうか?
今ある情報ではそのような魔法は行使されていないはず。
まずは慎重にその場所へ急行してみる。
おいらは影。
……アサシンだ。
闇より現れいで、人知れず弱き者に変わり世の悪を成敗するのが生業。
今その悪を探し放浪中。
『先輩先輩
そんな厨二病みたいな語りはいいですから。
そっちはどうですか?』
せっかくノリノリで語ってたのに、乗ってくれないなんて寂しいなぁ、編くん。
クラスはアサシンであってるけど、別に仕事人をしてるわけではない、ただの監視者。
このゲームの監視作業をしてるゲームメーカーのスタッフの一人なのだ。
実際にゲームに潜り込んでバグの確認やプレーヤーの調査を行ってる。
たまに目に余るプレーヤーを徹底的に痛めつけてPKしてアカBANする事もあるよ。
プレーヤーネームは「影」としてるので、「影さん」と呼んでくれ。
「編くん」はモニタールームで監視をしてるスタッフのトップ、サポートマネージャー。なのに主に俺の調査に付き合ってくれる後輩くん。
いつもお世話になってます。
今日はアップデート直後なのでおいらみたいな監視者が大量に野に放たれている状況。
モニタールームのスタッフと併せて休日出勤してる人も多い、ごめんな。
アップデート直後から新しいフィールドがやたら重いらしい。
結構な人数がそこに振り分けられて、おいらもそこにいるところ。
そしたら前方で土煙が立っているのを拝むことになる始末、多分これで帰るのが遅くなりそうだなぁ。
手持ちのドローンを半数投入して、問題の場所に先行させた。
そこには20名くらいのプレーヤーと大型兵装1機がいるようだ。
「編くん
こっちに大型兵装が1機いるんだけど、もう誰か手に入れてる?」
『大型兵装ですか?
記録上ではまだ誰も購入していませんよ。
あれはかなり高額に設定してるからまだ当分買えないはずです。』
「でもいるよ
ドローンの映像、送るね
しかも、スタッフに回っている情報にないようなかっこいいやつ」
『ええっ?』
「これが重い原因なんじゃない?
移動するみたいだから追尾するよ」