~最悪の幻影~
神怜達はゆっくりと霧の多い街を進んだ。
「やはり…霧が多いですね…」
すると、ライが神怜に聞いた。
「それってやっぱり許嫁の仕業ですかね?」
すると、リオンが決めつけたように答えた。
「そりゃそうだろ?100人もいるんだからー術者の1人や2人いてもおかしくはないだろうな!」
すると、神怜が進む足取りを止めた。
「この雰囲気……知ってる……」
すると、絃乃が奇妙な噂を喋り始めた。
「いゃ…囚人達の中で少し流れた噂で霧が立ち込めたら即逃げろっていう噂が流れたんだ」
続けて艶紅が噂の続きを喋り始めた。
「その霧の奥には最悪の極刑囚人がいるからって言われていたんだ……名前は確か…」
まるで知ってるかのように神怜が答えた。
「咒毣……」
すると、霧が晴れ渡り、姿を現したのは短髪の着物を着た男だった。
「いい夢みましたか?」
咒毣の隣には飛翔とライミラが床に倒れこんでいた。
「飛翔!!!」
見つけたリオンは叫びながら咒毣に近づこうとすると神怜に止められた。
「なんで止めるんだよ!」
すると、神怜が言った。
「手遅れだ、もう相手の領域に入っている」
すると、不思議そうにライが神怜に聞いた。
「領域?何の領域?」
神怜は答えた。
「あいつの幻術の領域の中だ」
すると、リオンが神怜に聞いた。
「なんでそんなのが初対面の神怜に分かるんだよ!」
神怜は怖気つきながら答えた。
「それは…私の兄だから」
そう答えた神怜達の横の方から声が聞こえた。
「えー!まじか!!神怜、兄弟いたんだ!」
少し霧が晴れた先にいたのはエプロンを着たライミラと飛翔だった。
「神怜さん助かりましたー!!!」
すると、神怜は笑いながら飛翔を指さした。
「なんですかその格好は無様ですね!」
飛翔は顔を赤らめながら言った。
「るっせぇ…」
すると、咒毣は下駄をコンコンと鳴らし会話を止めた。
「もういいですか?茶番劇はもう見飽きました……」
「ちょっと聞きたいことがある……」
神怜は咒毣に聞いた。
「お前はどうして生きてるんだ?」
神怜の質問に咒毣は答えた。
「あなたが甘いから生きているんです……」
すると、咒毣の隣にいた偽飛翔と偽ライミラが有無を言わさないスピードで向かって来た。
本物の飛翔は偽物の自分の攻撃を受け止め、偽物のライミラの攻撃はリオンが受け止めた。
「こっちはいいからどこかに避難しろ!!」
その飛翔の声を聞いたと同時に咒毣は指を鳴らした。
すると、逃げ道を経つかのように霧の中からリオン、ライ、絃乃、艶紅の偽物まで浮き上がって来た。
「逃げ道がない!!」
危機的状況の中で神怜は咒毣をまだ問い詰めていた。
「甘い?私はあの時確実に仕留めた…」
咒毣は笑いながら言った。
「仕留めた?なら何故私が今!生きているのですか?」
神怜の額から冷や汗が流れた。
「あの時のお前は実体じゃなかったのか?」
咒毣は大きく笑いながら言った。
「今頃気づくなんて…なんて出来の悪い弟…そのぐらいの甘さでは劉道に約束を破られたって仕方ないですね……はははっ」
神怜は青ざめた顔で聞いた。
「もしかして…母さんと父さんを殺したのも!!」
咒毣は呆れたような顔で言った。
「殺しましたよ……僕には必要ありませんから……」




