エピローグ
ラグオス王国の西の方にシークズという街がある。
かつて、黒焔竜「マグ=ケノス」が王国を襲った際、その最期の地となった場所である。
そしてシークズ市の城門を抜けたまさにすぐそこに「マグ=ケノス」討伐を記念した石碑が建てられている。
戦勝祈願、受験合格、恋愛成就のご利益もあると伝えられるその碑にはこの戦いに関わった者全ての名が刻まれているのだが、その最上部に三つの名が刻まれている。
当時のシークズ市長、ランドルフ・キューロ。
近衛騎士師団長クレイヴァン・ノルデン。
王立魔導学院導師ダリオン・ユーゴの3名の名前である。
近衛騎士クレイヴァン・ノルデンはこの討伐後しばらくしてユーゴの姓に変わってしまった為、この石碑はノルデンの姓が刻まれている貴重なものとして観光客の人気を博している。
伝承では、最初この石碑の最上には騎士と魔道士の名前のみが刻まれる予定だったが、この二人が「これはシークズ市民皆の勝利である」としてこれを譲ろうとし、流石にそれは恐れ多いと市の代表者としての市長の名前の横に二人の英雄の名を刻んだのだという。
尚、なぜ当時一般的でもない縦書きにて刻まれているのかについては、一説によるとランドルフ市長に東方趣味があった為とも言われているが、詳細は不明である。
また、この一般的でない書き方のせいで、初見でこの碑文を見ると、最上段の文字をそのまま左から右に読む者が絶えなかった。
そしていつしか、その誤読はこの石碑の愛称として呼称される事になる。
人々はこの「マグ=ケノス戦勝記念碑」の事を、
「ラクダの石碑」と呼んで末長く親しんだという。




