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Page.20 イストレア魔法学校生徒会

 体育祭から早くも二日が経ち、体育祭の熱気も冷め始めていたある日、僕はある意味での修羅場に立たされていた。


「何でそんな大事な話しを、私にしてくれなかったんですか」


「べ、別に話さなくてもいいかなって。私が決める事だし」


「早く入って」


「せ、先輩ももう少しだけ待ってくれると嬉しいんですけど」


 先日ハクア先輩から生徒会に入らないかという誘いを受けてから、今の今までキリハにその事を黙っていたので、それに関して彼女に怒られ、おまけにハクア先輩自身が私の家に訪ねてまで誘ってくるというとてもカオスな状況だった。


(こんな修羅場、経験したくなかったなぁ)


 半分自分が悪いとはいえ、わざわざ先輩も家に来なくても……。


「是非とも生徒会に入るべきですよ。しかも会長の直々に勧誘してくれているんですよ」


「でも私生徒会長になれるような器じゃないし……」


「器とかそういうのは関係ないんです。お嬢様にはそういう資質は充分にありますし、お嬢様にはなっていただかないと」


「なっていただかないと?」


「あ、いえ、今のは忘れてください。とにかく是非とも入るべきです」


 異様なくらいに推してくるキリハに、少し引いてしまう。まあ名家のお嬢様として、ここは素直に最初から引き受けるべきだったのかもしれない。相談しようがしまいが、最終的にここに落ち着くかもとは思っていたけど、キリハもそこまで言うなら……。


「わざわざ勧誘してくれたハクア先輩の為にも、私生徒会に入ります」


「ありがとう、ユーリティア」


 結局僕の方が折れる形で、生徒会に入る事になったのだった。


 で、それが今から更に三日前の話で、体育祭が終わって間もなく一週間が経とうしている。


「へえ、それでユーちゃん、今日から生徒会の一員なんだ」


「そうなの。あそこまで頼まれたら私も断れなくて」


「ユーちゃんって、そういう優しさがあるんだよね。私だったら断っちゃうよそういうの」


「会長直々に頼んでも?」


「うん」


「会長がわざわざ家に来て頼みに来ても?」


「うん」


 何というぶれなさなんだろう。逆にこういうところはユナの尊敬するところなのかもしれない。


「って、会長さんがわざわざ家に来たの?!」


「気付くの遅いよ」


 いや、単純に話を聞いてなかっただけなのかもしれない。


「放課後なんでしょ生徒会の初仕事の日」


「うん。これからも基本的にそうなると思う」


「じゃあ一緒に帰れなくなっちゃうね、しばらくの間」


「あ」


 少し寂しげにユナはそう言った。今後生徒会としての活動をするという事は、友人達と過ごす時間が減るという事にも繋がる。

 それは向こうからしたら、寂しい事なのかもしれない。


「大丈夫よ、学校では毎日会えるんだから」


「うん……」


 イマイチ元気のないユナ。一体どうしたのだろうか。


「チャイム鳴っちゃったし席に戻るね」


「あ、うん」


 このやり取りは、ある休憩時間でのやり取りだったのだけれど、その後もユナは元気がなく僕はその理由も聞けないまま、放課後になり生徒会室へと向かう事になった。


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 生徒会室は、全部で四階建ての校舎の三階にあり、隣には職員室やらなんやらがある。


(生徒会か……。どんな人がいるんだろう)


 生徒会室の入り口に立って、そんな事を考える。当然の事なのだけど、生徒会はハクア先輩以外にも人がいるわけで、他にどんな人がいるのか少し緊張する。


(あまり緊張しすぎるのも、駄目だよね)


 いつまでも立っていると怪しまれるので、僕は一度深呼吸をして扉を開けた。


「あの、今日から生徒会に入る事になった……」


 だが中には誰もいなかった。もう活動している時間なのに、どうして誰もいないんだろう。部屋間違えたかな。


 パーン


 とりあえず一歩、生徒会室に足を踏み入れたその瞬間、突然クラッカーの音が部屋に鳴り響いた。


「ようこそ、我ら生徒会へ!」


 一瞬何事かと思ったけど、ハクア先輩や他の人達が出てきて、僕に向かってそう言ったので、恐らくこれは歓迎されている、とう事で間違いないのかな。


「来てくれてありがとう、ユーリティア」


「あそこまで勧誘されたら、かえって断りづらいですよ」


「何、またアッちゃん、強引な誘い方をしたの?」


 会話に茶髪のロングヘアーの女性が絡んでくる。確か彼女は副会長のルナ先輩だっけ。何度か集会とかで顔は見かけた事があるけど、結構美人な人だなぁ。


「家に押しかけてみた」


「それもはや勧誘の域を越えているじゃない。よく入ってくれたわね」


「あ、あの、確かルナ先輩ですよね。副会長の」


「あ、もしかして名前と顔覚えてくれていたの? ありがとう」


 とりあえず声をかけてみると、よほど嬉しかったのか僕の手を握ってブンブン縦に振った。もしかしてこの人もハクア先輩みたいに難がある先輩なのかな。


「え、えっと……。ゆ、ユーリティアさん、ですよね」


 そんな事を考えていると、また一人声をかけてくる。眼鏡をかけていて、いかにも大人しそうな子だけけど、さんと呼ばれている辺り同学年の人なのかな。


「わ、私ヤエって言って、クラス違いますけど、同じ学年です」


「あ、そうなの? よろしくねヤエ」


「は、はい」


 他にも二人くらい役員がいて、その人達にも挨拶をした。で、一通り終わった後、ハクア先輩が改めて僕にこう言った。


「ようこそ生徒会へユーリティア。本当に来てくれて感謝している」


「一度こういうのやってみたかったので大丈夫ですよ。まあ、部活もあるんで毎日来れるかは怪しいですけど」


「それでもありがとう。それで、早速生徒会の初仕事としてルナと向かってほしい場所がある」


「初仕事……どんな事やるんですか?」


「魔物退治」


「え? 今なんて」


「魔物退治」

キャラクター紹介④

ハクア 18歳

イストレア魔法学校生徒会、現生徒会長の三年生の先輩。普段は口数は少ないものの、魔法使いとしての実力はユーリティアを上回っている。

体育祭の一件を境に、ユーリティアの才能を見出し、生徒会へと誘う。次期生徒会長はユーリティアだと考えている模様。


ルナ 18歳

生徒会副会長で、ハクアと同様に三学年の先輩。陰ながら会長であるハクアを支え、困った時は彼女をサポートしている。

魔法使いとしての実力は不明ではあるものの、それなりの力はあるらしい。


次回予告

「せ、先輩。あそこにいるのって本当に、会長が言っていた」


「ええ、魔物よ」


「でもあれって……」


生徒会としての初仕事は、魔物退治? 果たしてその魔物の正体とは。

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