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この異世界は小説でできています  作者: りょう
第2章ライバルと熱き体育祭
20/26

Page.19 閉幕と頼み事

 体調を崩したりと色々あった体育祭もは、遂に閉会式。僕達は最終順位の結果を待っていた。ちなみに騎馬戦は、ハクア先輩が圧倒的な力の差を見せて、黄色団が勝利した。僕達の赤団は二位ではあったので、今までの結果からしてみれば、赤にも優勝の可能性はある。


「本年度の体育祭の優勝は……」


 高まる緊張。皆が固唾を飲んで、その瞬間を待つ中、その時がやってくる。


「優勝は……赤団です」


 優勝の団が発表された途端、赤団の人達の喜びの声が湧く。それはキリハ達も同じで、


「お嬢様、聞きましたか? 私達の団が優勝ですよ」


「勿論聞いていたわよ。やったじゃない!」


「何かイマイチな反応じゃないですか?」


「気のせいよ、気のせい」


 と言いながらも、僕の中では素直に喜べない自分がいた。目標でもあった優勝を成し遂げられた事は、本当に喜ばしい事なのは僕も分かっている。

 でもあの騎馬戦で、僕は負けている。サキとも大きな決着もつけられなかったし、僕は本当の意味での勝利を得られなかった。それな悔しくて喜べていなかった。


「お姉様? 浮かない顔をしていますけど、体調が良くないんですか?」


「別にそうじゃないから大丈夫よ、イスミ。ありがとう」


「せっかくの優勝なんですから、もう少しあかるくいきましょうよ」


 よほど元気がないように見えているのか、同じようにイスミにも心配される。うーん、そこまで元気がないわけでもないんだけど……。


「全く、優勝しておいて何でそんな顔しているのよ」


「あんたには関係ないでしょ、サキ」


「関係はないけど、気持ちくらいは分かるわよ」


 閉会式が続いていく中で、サキが小声で話しかけてくる。彼女は別のクラスなのに、何でここにいるのやら。


「あのハクアっていう先輩の実力は、私も想像していた以上のものだった。現に私は指一本も触れられないまま、負けたわけだし」


「私も……全力で戦った。でも最後は傷一つもついていなかった。そう考えると私もまだまだなんだって思うと、優勝って実感が湧かないのよ」


「その想いは次にとっておくしかないわね」



「そうね。まだあなたとも決着ついていないし」


「私はいつでも戦う準備はできているわよ、ユーリティア。早ければこの閉会式が終わったあとにでも」


「それは勘弁して欲しいんだけど」


 誰が好んで体育祭の後にひと勝負するものか。ただでさえ熱もあるのに、それだけは本当に勘弁してほしい。おまけにこのあと、ハクア先輩にも呼び出されているので、丁重にお断りさせてもらった。


「まあ、またいつかは戦ってあげるわよ、サキ」


「本当に?」


「私が覚えていれば、だけど」


「何よそれ、つまんないじゃない」


 こんな会話をしている間にも、閉会式は着々と進み、気がつけば閉会式も終了。体育祭はこれにてお開きもなったのだった。


(来年こそは必ず、納得のいく優勝の仕方をしよう)


 来年も同じようにいるかは分からないけど、僕は最後にそう誓うのだった。


(って、来年は僕達が三年だから、そもそもいないんだ)


 ただ同時に、来年は先輩がいない事に気づいてしまうのだった。

 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 体育祭かが終わってしばらくして、僕はハクア先輩に呼ばれて生徒会室へとやって来ていた。


「今日は体育祭優勝、おめでとう」


 入るなりハクア先輩に祝福される僕。祝ってはくれているのだろうが、どうも感情の起伏が見られないせいか祝われている。最後の体育祭を、ある意味潰してしまったようなものだから、もしかしたら怒ってもいるのかもしれない。


「ありがとうございますって、何だかいいにくいんですけど」


「別に気にしてない」


「いや、私まだ何も言っていない」


「気にしていない」


 どうやらものすごく気にしていらっしゃるようです。


「あの、それで私に話しってなんですか」


「実はあなたに頼みたい事があるの」


「切り替えは早いんですね」


 気にしているならそう言ってもらいたいのだけれど、どうやら話しを切り替えるのはものすごい早いらしい。まあ、体育祭事は一旦置いておいて、


「頼みたい事?」


「あなたに生徒会に入ってもらいたい」


「生徒会……ですか?」


「そしてあわよくば私の跡を継いでもらいたい」


「跡をって、生徒会長をですか?」


 頷くハクア先輩。僕の常識の中では、生徒会って選挙をして選ぶようなものなんだけど、何か特別なのだろうか。


「生徒会って、選挙とかしないんですか」


「選挙もする。でもユーリティアは特別」


「特別? 私がですか?」


「私の推薦だから、入れてもらえると思う。多分」


「会長の推薦って、私そんな推薦されるような事はしていないですよ」


 おまけに生徒会長だなんて、ユーリティアならともかく、僕なんかがそんな器な訳がない。一体何を考えて先輩は、ユーリティアを推薦しようとしているのだろうか。


「噂はずっと聞いていた。私達の後輩にかなりの実力をもつ魔法使いがいるって」


「私そんな褒められるほどの実力は持ってないですよ」


「今日の騎馬戦で手を合わせて分かった。あなたなら私の跡を継げるって。むしろあなたしかいない」


「騎馬戦、私負けたんですけど」


 あんな不甲斐ない結果で、推薦される理由なんてやはり見当がつかない。


「お願い、生徒会に入って」


 それでも一歩も引かない先輩。僕はかなり悩んだ末に、


「数日だけ時間をくれませんか? すぐには決められないので」


 少しだけ時間をもらう事にしたのだった。

「数日待つけど、絶対に入って」


「何か強制になっていませんか?」


「体育祭で優勝した罰だと思って」


「やっぱり気にしているじゃないですか」


「気にしていない」


次回予告

「それで、どうするつもりなんですかお嬢様は」


「すぐには決められないわよ。私にそんな器あるとは思えないし」


生徒会への誘いに対してユーリティアが出した結論は? そして季節は夏へと移り変わっていく。

第3章、開幕!

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