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エースストライカー  作者: 柿井優嬉


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代表⑫

 ところが——その後の俺はたびたび、主に脚にケガを負い、ろくにクラブの試合に出られない状況が続いた。

 日本代表でも、先のワールドカップで葛城さんは辞任し、後を継いだ新しい監督によるチームの若返り方針もあって、一度スタメンから外れると、招集メンバーに名を連ねても、ゲームでは使われないようになり、出場を決めた次のワールドカップ本大会に至っては選外になってしまった。一方、工藤のほうも、ワールドカップのメンバー入りこそしたが、試合のピッチには一度も立つことはなかった。

 よく知っている奴もいるし、せめて日本代表に良い成績を残してもらいたい気持ちがあったが、グループステージを突破したものの、鬼門の決勝トーナメント初戦でまたも敗退する結果に終わったのだった。

 苦い思い出の大会となったけれども、唯一というくらい、俺にとっては嬉しい出来事もあった。Jリーグの秩父でともにプレーした、あのルシオが、ブラジル代表メンバーとなり、試合にもすべて出場したのだ。

 俺がにらんだ通り、あいつはJリーグからフランスのマルセイユという名門クラブに移ってそこの看板選手となる大物プレイヤーへと出世を果たしたが、やはり人材豊富なブラジルだけに、代表に初召集されたのは二十八歳という遅咲きだった。そんななか、セレソンではボランチを任されて、攻撃に守備にとチームの要になる十分すぎる活躍をし、実に久しぶりのブラジルの優勝に貢献したのだった。

 夢見た対戦は一度もないけれども、俺たちはともにヨーロッパの高いレベルでプレーできて、時折連絡するが、「よかったな」という話になる。ただ、同時にワールドカップに出られなかったのは非常に残念だ。

 ちなみに、そのワールドカップで、ラーセン率いるデンマークはというと、前回大会とまったく同じ組み合わせとなった準決勝のブラジル戦で、ラーセンがケガを抱えて万全でなかったのもあるのだが、リベンジされ、ベスト四で姿を消して、またも頂点に立てなかったのだった。


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