とある女と心配性の旦那様
今日は紅葉と二人で定期健診。
妊娠初期段階だから2週間に一度の検診。
初めての妊娠で分からないことだらけなので、病院の先生や、先人である美穂さんや葵ちゃん、和香を頼っている。
初めての紅葉との子供だし、何事もなく出産したい。
元気な子で産まれてくれるかな?
お母さんも頑張るからキミも頑張ろうね。
「16番でお待ちの方。どうぞお入りください」
「は、はいっ」
「なんで紅葉が緊張してるの…」
待合室で待っていると名前を呼ばれたので席を立つ。
朝から紅葉は緊張しっぱなし。
紅葉が何かするわけでもないのに…。
初めての妊娠で紅葉も緊張してるのかな?
今からこんな感じだと持たないよ。
「愛海ちゃん、その後はどうかしら?」
「悪阻が出てきましたが、思ってたほどきつくないですね」
「そう。紅葉くんも大きくなったわね」
「は、はひ」
三岳先生。
先生は初老の女性医師。
美穂さんから聞いていたけど、紅葉を取り上げたのもこの先生らしい。
竹科家は全員この先生にお世話になっているみたい。
妊娠して8週になるけど、悪阻の症状もそこまで酷くない。
もちろん気持ち悪くなることも多いけど、思ってたより大丈夫みたい。
もちろん予想より軽いからといって無茶はできない。
もう自分一人の体じゃないからね。
「紅葉くん緊張してるのかしら?」
「きききき緊張なんてしてませんよー」
「………」
紅葉がポンコツになってる。
ポンコツ紅葉だ。
女子会でママたちから聞いたけど、これがポンコツ紅葉なのね…。
「しっかりしなさい。お父さんがそんなんじゃ愛海ちゃんも心配しちゃうでしょ」
「はい…」
先生に背中を叩かれて落ち着いたのかな…?
妊娠は女性の仕事だと思ってるかもしれないけど、相手のサポートもないと厳しいものだ。
世の中には相手の男性がいなく、シングルマザーで産む女性もいるが、幸いにも私には紅葉がいる。
出産は女性一人だけの仕事じゃなくて家族の共同作業なのよ、と先生に最初に教えてもらった。
ポンコツ紅葉じゃ安心できないからいつもの紅葉に戻ってね。
「旦那さんが甘えさせ過ぎると悪阻が酷くなるっていうけど…」
「大丈夫です。美穂さんがしっかりしてますので」
「やっぱりそうよね~」
紅葉には式後に改めて私の妊娠を美穂さんから聞いていた。
それを聞いた紅葉はシロハときなこが逃げ出す程のポンコツになった。
喜びすぎてウザかった…。
嬉しいのは分かるけど…。玄関でブレイクダンスしないでよ…。
そんなことしたらさすがにシロハもきなこも逃げるわよ…。
暴れる紅葉に美穂さんの鉄拳が落ちた。
その後、美穂さんと和彦さんから出産は何たるかを説かれていた。
紅葉は必死に理解しようとしていた。
だけどたまにからまってポンコツになっちゃうのよね…。
「せ、先生。僕たちの子供はどっちなんですか?男の子ですか?女の子ですか?」
「あらあら、まだ早いわよー。だいたい12週くらいから分かるのよ。愛海ちゃんはまだ8週よ」
落ち着きのない紅葉…。
子供のこと気になっちゃうよね。
まだ出産までは時間あるんだから…。
今から気を張ってるともたないよ。
「いつの時代も女のが強いわね」
「美穂さんもそうだったんですか?」
「そうねー。和彦くんも紅葉くんと同じだったわね。やっぱり二人は親子ね」
「Oh…」
和彦さんも紅葉と同じだったなんて。
今のクールな和彦さんからは考えられない。
生き証人である先生がいうんだから間違いない。
「はい、エコーは問題ないわね。無理しちゃダメよ。次はまた2週間後ね」
「ありがとうございます」
「ありゃがとうございましゅ」
先生は手慣れているので喋りながら検診を終えた。
胎児にも問題ないようで、また次の検診まで様子見。
紅葉さん…緊張し過ぎよ…。
「どうだった?」
「問題なしです」
「問題あるのはバカ息子みたいね」
「そうですね…」
帰宅し、美穂さんに結果を報告する。
美穂さんも紅葉の母親であり、過去に和彦さんのポンコツを見ているから理解しているみたい。
「どうして竹科家の男どもはこうなるのかしら」
「血は争えませんね…」
紅葉は帰宅するとシロハときなこに話しかけにいった。
シロハは大人しいけど怒ることもあるのよ?
ほら、シロハの機嫌が悪くなって…あっ!引っかかれた…。
「旦那も一か月で落ち着いたから、一か月の我慢よ」
「戻ってくれるといいんですけど…」
「戻らなかったら三河湾にでも沈めて頭を冷ましましょ」




