表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある男女の恋模様  作者: はから
第三章 とある男女の恋納め
51/85

閑話:とある関係者の事後処理


 「社長!」


 「どーしたんや。落ち着け三浦」


 俺が帰り支度をしていたら、三浦部長が社長室に飛び込んできたわ。

 何けったいな顔しとるねん。

 水曜やぞ。

 定時退社日やぞ。


 「実は…」


 「はぁ!!?」


 三浦の言葉に思わず言葉がなくなったわ。

 うちの人間が、羽島さんとこの社員を殴って救急車で運ばれた!?

 ちょい待て!

 どういうことや!!!


 「久坂が羽島の竹科さんと口論になりまして…」


 久坂ぁ?

 ああ、あの問題児か。

 羽島の竹科って、萩ちゃんの愛弟子じゃねーか!!!

 何してやがんだ!!!


 「詳細は?」


 「はっ…」


 愛海ちゃんにちょっかいかけて、無視された腹いせに社員の肩書で脅しただと?

 はぁ…、やっちゃいけねーラインってのを越えちまったなぁ…。

 んで、止めに入った竹と口論になって殴った上に酒をぶっかけただぁ?

 それで倒れた竹が救急車で運ばれてったと…。

 


 あほか!!!

 ドアホウ!!!

 

 「今どうなっとる?」


 「久坂は拘束して、会議室にぶち込んであります。竹科さんは救急病院に運ばれました」


 「最悪やな…」


 萩ちゃんには聞いとったけど、愛海ちゃんと竹はよーやく男女の関係になったみたいや。

 愛海ちゃんも気が気じゃないやろーに…。

 無事やといいんやが…。


 「三浦、久坂は任せる。搾り上げぇ」


 「はっ」


 俺は萩ちゃんに電話や。

 こんな電話はしたくねーなぁ…。














 俺が帰ろうとしとったら電話が鳴った。

 相手を見ると仁ちゃんやないけ。

 なんじゃ?飲みの誘いか。

 もっと早う言ってくれや。


 「どうした仁ちゃん」


 『すまん…。萩ちゃんとこの竹が救急車で運ばれた』


 はぁ?竹が!?

 定時で消えてったやないか!

 何やっとるんじゃ!


 「…どういうことや」


 『うちのアホが愛海ちゃんにちょっかいかけて、無視された腹いせに口論になったらしい…』


 「はぁ?」


 愛海ちゃんってのは竹の女か。

 仁ちゃんと工作した結果が出て良かったわ…じゃのうて!


 『殴られて酒ぶっかけられて倒れたらしいんやわ…』


 「そりゃ…」


 酒をぶっかけられたぁ!?

 竹はアルコールアレルギーやから酒はあかんぞ!

 そんなもんかけられたら倒れてもおかしくねぇわ…。


 『とにかくすまん。ミッチーと金沢くんに連絡頼む。謝罪は明日窺うからに』


 「おぅ…」


 仁ちゃんから詳細は聞いたが…。

 どういうことやて。

 あかん…先ずは部長に言わな。


 「部長」


 「んー?」


 「竹が救急車で運ばれました」


 「はぁっ!!?」


 飲みに行く予定だったみっちゃんも我に返るわな。

 竹は会社の看板に泥を塗るような真似はせん。

 そんな竹が救急車で運ばれたとなれば驚くんも無理はないわ。


 「何があった?」


 「実は…」


 すぐに部長の顔に戻るみっちゃん。

 俺は詳細をみっちゃんに説明した。


 「…竹に落ち度はないか?」


 「聞いた話では。支社長にはどうしましょう」


 「頼む。俺は仁に確認する」


 「承知しました」


 金沢くんに説明せなあかんわなぁ…。

 廊下で金沢くんを捕まえて、詳細を説明。

 金沢くんも竹のことを知っとるから驚いとったわ。

 そりゃ、俺も驚いたからな!











 「この度は、弊社の社員が御社の竹科さんに多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」


 「まぁ、座ってください」


 竹が倒れた翌日。

 朝一で橋本組の仁ちゃんと三浦部長やってきた。

 二人とも土下座しそうな勢いだな。


 こっちは金沢くんと俺の二人。

 応接室には重苦しい空気が漂っとる。



 「話は萩田から聞いていますが、相違ございませんかな?」


 「はい…。間違いございません」


 仁ちゃんが小さくなっとる。

 そりゃ、あんなことあったからなぁ。

 結構な事件やぞ。


 「これが橋本組からの内容ですか」


 「そちらをベースにと考えております」


 「ふむ」


 金沢くんが俺を見る。

 これでいいだろ、というアイコンタクトだ。

 俺は金沢くんに頷く。


 「これでいいでしょう」


 「申し訳ございません」


 「仕事モードはここまでだな」


 金沢くんが姿勢を崩す。

 こうなるわなぁ…。


 「どういうことだ仁!なんでうちの竹がこうなるんだ!」


 「金沢くん…ホント申し訳なく…」


 ほらみろ。

 三浦部長が鳩が豆鉄砲を食ったような顔しとるやんけ。

 金沢くんは俺らの先輩やったからなぁ。

 

 「竹はアルコールアレルギーだから酒は一滴もダメなんだ」


 「聞いてます…」


 「まぁ、終わったことを嘆いても仕方ない。この見舞金はどこから出す?」


 「給料差し押さえと財形から捻出で」


 「ふむ…相手は?」


 「懲戒に」


 「こんなもんだな」


 「ですな」


 金沢くんと俺の言葉に、仁ちゃんと三浦部長が安堵した表情になる。

 そりゃそうだ。

 橋本組の一番の取引先はうちやからな。

 

 「これで橋本組との取引がどうこうなる問題ではない。今後とも宜しくお願いします」


 「寛大なご配慮ありがとうございます」


 これで一件落着かの。

 はぁ…疲れた。

 竹め…、見舞金で上手い酒でも奢ってもらうか。


補足です!


金沢さん

萩田さんと橋本さんの先輩です。



私も過去に同じようなことがありましたが、見舞金あるんですよね…。

ええ、封筒が立ちました(遠い目

ようするに黙っとけってことですね…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ