とある男と暮林家②
「やっぱりこうなっちゃうわよねぇ」
「こうなるでしょ」
お父さんたちが消えたリビングで寛ぐ私たち。
お父さんの趣味。
そう、麻雀だ。
お母さんと付き合ってる頃から麻雀好きだったお父さん。
その悪癖は治らず、お母さんが強制的に矯正したって聞いてる。
結婚してからは会社の付き合い程度しかいかなくなったみたい。
でも、休日はおにーや勇悟を呼んで麻雀をしている。
一人足りないので、そこはお母さんか私が入る。
「紅葉くんは打てるの?」
「打てるって聞いてる。どれくらいの腕か知らないけど…」
事前に伝えたけど、ホントに麻雀するんだ…。
娘の同棲を賭けて麻雀ってどうなのよ?
はぁ…。
「紅葉くんカッコいいじゃん」
「…」
隣の和香が茶化してくる。
勇悟と若の家も近いから、何かったらすぐに実家に来ることができる。
「あたしが紅葉くん貰っていい?」
「和香」
「嘘嘘。愛海ちゃんから奪うわけないじゃん」
この娘は…。
あんたには勇悟がいるでしょ。
「大輝さんには負けてましたが、引き締まった体してましたね」
「大輝と比べたら可哀相よ、小海ちゃん」
お母さんの言う通り。
おにーはゴリマッチョ。
紅葉は細マッチョだ。
マッチョの系統が違うよ、小海ちゃん。
「そんなこと言ったら、同じ海なのにねぇ…」
「和香…」
「だって小海ちゃんのが大きくて、愛海ちゃんぺちゃ―ー」
「絞るよ」
「…はい」
あーもー!
やっぱり言われた!
同じ海の名前である私とおにーの彼女の小海ちゃん。
同じ海なのに胸は全然違うのねって…。
許さん!絞るよ和香!
「愛海はそこだけは私に似なかったからねぇ」
「ですよね!冬子さん大きいのに、なんで愛海ちゃんだけ―――」
「おい」
「サーセン」
そうなのよ!
なんでお母さんはあるのに私にはないのっ!!?
おかしいでしょ!遺伝子どうなってるのよ!
胸の遺伝子だけ抜けたの!?
「愛海さんもお子さん作れば…」
「小海ちゃんナイス」
「あら、でき婚?」
「しません」
紅葉はできちゃった婚には反対みたい。
一度だけ女の子の日が近くて、ムラムラした時に大丈夫だって誘ってみたけど…。
薬を飲むと言ったら、紅葉に説教された。
現状問題ない愛海が飲むことはない。アフターは副作用出るからダメだって。
私の体を心配してくれてるんだよね。
なんでアフターピルに詳しいのかなぁ…?
「今いくつなの?」
「…C」
「ホントは?」
「…B」
「無理でしょ」
おいこら和香。
私の傷を抉るのやめてもらっていいかな?
あんたもデカいからね…。
なんで私の周りはデカい女しかいないのよ!
「ロン。タンヤオピンフ…ドラ1だ。8000点だ」
「…くっ」
大輝さんに振り込んでしまった。
トップはお義父さんの32000点。
時点で大輝さんの30000点。
勇悟くんが22000点。
俺が16000点で最下位だ。
初めて打つ相手に戸惑う。
お義父さんは変幻自在な打ち方だ。
大輝さんは手堅い。
勇悟くんも未だ手が読めない。
勝ちてぇ…。
この3人に勝ちてぇ…。
「紅葉くん」
「なんでしょう」
「守ってばかりでは勝てるものも勝てないぞ。キミの打ち方はそうなのかな」
大輝さんの言葉に、自分が見透かされいるように感じた。
そうだ。
守ってばかりだった。
愛海との同棲を認められたいからと、守勢に回っていた。
ここからいつもの麻雀だ。
「大輝…。紅葉くんに塩を送るな」
「俺は紅葉くんの味方だからな」
「ならツモるなよ…」
大輝さんでオーラスだ。
この親番で稼ぐ。
「紅葉」
「愛海が来てくれたなら勝てる。勝利の女神だからね」
「頑張って」
愛海が俺の後ろについてくれた。
俺の勝利の女神愛海だ。
これで…!
「ポン」
「ポン」
俺は積極的に鳴いていく。
この手ならいける。
「紅葉くん。親だからって急ぎすぎじゃないかね?そんな見え見えの対々和…」
「…ツモ」
「対々和か…。1000オールだね」
お義父さん残念ですが…。
「お義父さん、対々和ではありません」
「何を。その手は対々和だろう」
「これです」
お手は手を見せる。
そう…。
「ありえん…」
「やられたな」
「うそ~」
「清老頭…役満です」
「うっそ…」
俺の手は役満。
麻雀で一番高い手だ。
これで俺がトップだ。
「まだだ。まだ終わりじゃないぞ。まだ大輝のオーラスが…」
「親父、俺飛びだから終わり」
「…」
「ありがとうございました」
無事に勝利できてよかった。
愛海が後ろについてくれたから。
やっぱり愛海は俺の女神だなぁ…。
ごねるお義父さんだったが、お義母さんに怒られて小さくなっていた。
無事にお義父さんからも同棲を認めてもらった。
これで愛海と一緒に暮らせる!




