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とある男女の恋模様  作者: はから
第二章 とある男女の恋煩い
22/85

とある男女のお家デート①


 約束の金曜日。

 俺は絶対残業させるじゃねーぞ、とオーラを出して仕事を処理していた。

 部内の人間も感じ取ったのか、いつものように質問されることもほとんどなかった。

 

 せっかくの暮林さんとの飲みを邪魔されるわけにはいかない!

 俺の邪魔をしようものならどうしてくれようか!

 今の俺は無敵だ!

 はっはっはっは!


 あ、この処理はこっちですね。

 リス子!これよろしく。











 暮林さんが指定した店は自宅の近場だった。

 連絡すると、待ってると返信があった。

 また遅刻か。

 急がないと。



 「飲むのでは?」


 「飲むよ。竹ちゃん家でね」


 「え!?」


 「今日は竹ちゃん家で宅飲みしよ」


 宅飲みだと…。

 え、泊まるってのは聞いてたけど、最初から家なのか。

 ま、まぁ、前もって掃除はしてあるし大丈夫だ…。


 「行こっか」


 「持ちますよ」


 「やっさしー、よ、イケメン」


 「褒めるなよ」


 「前言撤回」


 テイクアウトした料理を暮林さんからもらう。

 その後、ドラッグストアでお酒と化粧品などを購入し、自宅へと向かう。

 化粧品?

 暮林さん持ってき忘れたのかな。

 仕事終わりに暮林さんと買物デート。

 夫婦みたいでいいな。











 「お邪魔します」


 「いらっしゃいませ。狭い部屋ですが」


 「竹ちゃん」


 「はい?」


 「ん」


 「へっ」


 暮林さんにキスされた。

 玄関でキスされると思ってなかった。

 柔らかかったなぁ…じゃなくて!

 暮林さん酔ってるのかな…?

 でも酒の味はしなかったし…

 これが彼氏(仮)の力なのか!!?



 「部屋行こ」


 「そ、そうですね」


 「わっ!1LDKじゃん」


 「ですです。といっても寝室はベットしか置けない広さですけどね」


 「さすが大企業は違うねー」


 暮林さんからコート受取る。

 鞄はここでいいかな。

 うん。昨日掃除したから綺麗だ。

 見られるとマズイものも隠したから問題なしだ。



 「コップは大きい方がいいですか?」


 「竹ちゃんストップ。飲む前にちょっと…」


 「どうしました?準備は僕はやりますので、ソファーに座っててくださいな」


 「そうじゃないの…」


 「あー、お手洗いですか。トイレはこっちに―――」


 「飲む前にお風呂入ってもいい?」


 ナンデスト?

 飲む前に風呂?

 おかえりなさい。お風呂?それともご飯?ですかー!?

 

 もしかして、先週のこと気にしてるのかな?

 襲い襲われ…アレの件で今回も襲われると思ってるのか…。

 ぜ、前回は流されたが今回は大丈夫だ!

 こ、今回は………。

 煩悩退散!










 「戻りました」


 「……おかえり」


 風呂から戻ると、暮林さんはソファーに体操座りで俯いていた。

 自分が入浴する前と服装が変わっている。

 なんというか…部屋着だな。

 Tシャツに短パン。  

 髪の毛も団子にしてる。


 「着替えたんですね。部屋着ですか?」


 「…うん」


 「元気ないようですが…」


 「…笑っていいよ」


 「へ?」


 暮林さんが沈んでいる理由がわかった。

 カップル(仮)だが、自分のことを知ってもらいたいらしい。

 こんな干物女だけどいいの?と言われるが、その恰好エロいので個人的にOKです。

 


 「さ、飲みましょう」


 「うん」


 宅飲みの準備をし、暮林さんの横に座る。。

 二人掛けのソファーのため、暮林さんとの距離が近い。

 二人掛けのソファーを購入した過去の自分よくやった!


 「らしくないですよ。飲んでいつもの暮林さんに戻りましょ」


 「うん……そうだね。ごめんね、竹ちゃん」


 「彼氏ですから」


 「仮だけどね」


 








 最初は固かった暮林さんも、徐々にいつもの暮林さんに戻ってきた。

 料理も食べ終え、ツマミでチビチビと、まったりしている時間だ。


 「暮林さん、次何にします?」


 「あのさ」


 「はい」


 「私たち付き合ってるわけじゃん。それなのに暮林さんって、他人行儀に聞こえて嫌なんだよね。私も竹ちゃんじゃなくて名前で呼びたい」


 「よかですよ愛海さん」


 「愛海でいいよ、紅葉」


 名前で呼ばれるっていいな…。

 特別になったって感じがして好きだ。

 …でもね愛海さん。

 そうじゃないんだよ!


 「のー!わんもあ!」


 「へ?」


 「のっと紅葉!秋のこうようじゃなくて平坦にこーよーが正解です」


 「そうなの?」


 「YES!わんもあ!」


 「こ、こーよー……」


 「YEAH!that's right!」


 戸惑う愛海さん可愛い。



 

 

 

 

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