Killng Syndrome
9月14日(土)11時17分
怖い。とにかく、目の前のJKが怖くて仕方がない。
僕の方が確実に強いはずだ。それに初撃で致命傷だって与えた。それなのに、何故倒れない。
散々打ちのめして、散々蹴って殴って、切り傷もそこら中に与えたはずだ。実力差は十分すぎるほどに分かっているでしょう。
それにえげつない出血で、意識だって徐々に朦朧としてくるはずだ。普通の人間なら、とっくに戦意を失って、いや死んでいたっておかしくない。
それなのに、こいつは何故、僕の刀を掴んでいるんです。
いつの間にか僕の中に芽生えた恐怖感が消えない。それどころか、首元にじっとりとまとわりつくように、知覚できるレベルにまで大きくなっていく。
血が刀に滴り、刀を伝い、僕の手を赤く染めた。そして、すぐにJKの中指が落ちた。それでも、こいつは怯まず刀を握っている。
こいつは一体何なんですか?少なくとも僕が知っている、人間とは同じものではない。それどころか、僕やホークアイの次元のネクストと比べても、確実に群を抜いて化け物だ。
何をしたいのか分からず、顔を覗き込むと、これまで殺してきたどの人間よりも恐ろしい怒気に満ちた表情を浮かべ、僕を睨んでいる。僕はその瞳を覗き込んだ瞬間、あまりの恐怖に一瞬頭が真っ白になり固まってしまう。
すると次の瞬間、JKは僕の隙をつくように血が滴った手で思い切り刀を引いた。
僕は反応が遅れ、勢いのままに引き寄せられ、気づいた時には
「うぉぉおお!」
おぞましい雄叫びと共に、ものすごい威力の頭突きを喰らっていた。
痛い!そして何がしたいのか訳もわからない。けれど、目を瞑っていてはいけないことだけは間違いない。得物を抑えて、僕を引き寄せたのに頭突きを喰らわせたのだ、確実に次が来る。
あまりの衝撃に、涙が溢れてくるのをこらえ体制を立て直す。そして残った左手の突きを予想して攻撃に備えていると、反対側の上段から余りにも大振りな回し蹴りが飛んできた。
僕は蹴りを刀を持った腕で受け流しつつ、様子を伺う。けれど、回し蹴りの次の追撃がくる様子はない。
まさか、まさかこの蹴りを入れたいがために、自分の指を囮にしたというのですか?今まで戦ってきて、こんな攻撃でダメージを与えられるはずがないということはわかっているはず。それなのに、あんな蹴りのために利き腕の指を犠牲にしたのだとしたら、そんなの狂っている。まるで、死して暴れまわる Killng Syndrome 罹患者のように。
このまま、ゆっくり戦っていれば、このJKは確実に失血死をする。けれど、そんなのゴメンだ。
この僕がこんな格下に頭突きを喰らわされたまま、黙って時間稼ぎなんて冗談じゃない。第一、僕を相手にあんな雑な攻撃を当てようとするなんて、馬鹿にしています。
攻撃を喰らったためか、さっきまであった得体の知れない恐怖は感じられなくなった。そしてその代わりに、これまでに受けたダメージが怒りになって湧き上がってくる。
僕蹴りを流したまま後退しつつ、右手を構え直した。そして目標を正確に捉え、思い切り刀を振るった。狙ったのは、右腕の肘より少し下の部分。
利き腕を絶ってしまえば、追撃もできず戦意も削がれるだろう。それに、大事な得物を囮にするなどとふざけた策を取ったのだ。プロなら、奪われることを覚悟してやるものだと、わからせるのにも丁度いい。
JKは回し蹴りの軌道から、態勢を立て直す途中だった。そのためろくなガードも取れず、僕の攻撃を受けることになった。そして体制を立て直し切ると同時に、剣が振られてから一瞬の間を置いて腕が落ち、おびただしい量の血が吹き出した。
僕は後ろに着地しつつ、確実な勝利を確信した。相手は肝臓を切られ、そして左肩と右腕をやられている。まともに攻撃ができるとすればあとは足と左腕だけでしょうが、流石にあの出血ならばもう動けないでしょう。
意気消沈したJKの顔を拝んでやろうと、僕は刀をわざとらしく振って血振りをしてから、JKの方へ視線を送る。
「っ!?」
なんと驚くことに、JKは最大の武器である利き手を失ってもまだ僕の方に踏み出そうとしていた。血を失ったせいで足元も覚束ない。体もふらふらで立っているのがやっとのはずなのに、ゆっくりと足を前に出していた。
僕は咄嗟に、刀を構える。けれど、JKは足を出したその場で姿勢を保ったまま動かなくなった。
「ふぅ……」
あれだけ血を流せば体温も低下し、身体活動レベルも著しく低下しているはずだ。言ってしまえば、さっきまでだって何故まだ動けていたのか不思議なくらいだ。安心して胸を撫で下ろし、僕は再び剣の構えを解いた。
よく考えれば素人相手に惨たらしい怪我を負わせたものです。もちろんはじめからこんな酷い殺しをするつもりはなかったけど、何もかもこのJKが強いのが悪いでしょう。けれど、そこだって誇りに思って欲しいところです。
JKはまるで抜け殻のように目も虚でどこを見ているのかもわからない状態になっている。それでも、まだ体から殺気は絶えず溢れ出ている。こんな状況に置かれても尚まだ勝利を諦めていないのだとしたら、そこは本当に見事としか言いようがない。けれど、こうなれば残念ながら僕の価値は揺るがない。
心の中から徐々に不安が消え、心を支配していた恐怖が、安堵に変わる。そして、心の中から喜びが溢れ出し、怒りと混ざり合っていく。
「ハハハハ!死に急ぎましたね!あんなバカな真似しなければ、もう少しは戦えたのに!あぁ痛ったい!もう失血でうごけもしないでしょうが!」
今までのダメージがこみ上げてとめどなく言葉になって溢れ出していく。どれだけ言っても殺気が衰えないJKに、感情がエスカレートしていく。
よく考えたら、こいつバカじゃないですか。あんだけボコボコにされて、結局頭突きくらいしかまともに攻撃できないで。どうせなら、あそこで頭突きじゃなくて肋骨でも狙ってパンチでもしておけば、もしかしたら少しでも僕に勝てる可能性が生まれたかも知れないのに。全く、このバカは……
「このばぁぁあか!ってうぉっ!?」
僕の感情が完全に温まりきり、そして油断が最高潮になった瞬間、突然JKが目で追えない速度で動き出した。そして気がつくと目の前に、さっき切り落としたJKの右腕が現れた。僕は咄嗟に剣を振り、飛んできた腕をブロック肉に切り分け回避。
流石に、こんな大きなものが目の前に現れれば、体が勝手に切り落とします。けれど切った瞬間、僕は悟りました。
あぁ、またやらかした。あんなところで油断なんかしないで、とどめを刺しておけばよかったですね、と。
一度腕を切るために動かした視線をJKに戻すと、予想通りもうそこにJKは居なかった。正確には、腕を蹴ると同時に跳んだJKは僕が視線を送る頃にはすでに僕のそばに移動していた。そして右側から首を狙って回し蹴りをしようとしている。
何が起きたのか、優れた反射速度が瞬時に情報を脳に伝え、僕は状況を事実として理解する。けれど、頭の中では事実として処理された情報が、僕には全く理解できませんでした。
おおよそ人間とは思えない。
致命傷を受けてから攻撃に移ったことも異常だ。けれどそれが無くとも、跳躍、そして蹴りに移るまでの動作を、この僕が全く捕らえられなかった。そんなことがあっていいはずがない。人間の反応速度を超越した僕に、目で捕らえられない動きなんてものがあるはずがない。
跳んできた腕を切る手を無理やり動かし、切っ先をJKに向ける。そのせいで、きり逃した腕の破片を身体中に浴びることになってしまうだろう。けれど、そんなことには構っていられない。
僕は全力で刀を振り抜き、そして振り抜き切るとすぐに刀を引き寄せ次の斬撃に移る。
しかし何度刀を振ろうとも、まるで亡霊でも切っているかのように、刀がJKをすり抜けていく。そして、3度目の斬撃を放ち終えたところで、JKはようやく実体を持ち、僕の首筋に向かってものすごい速度で蹴りを放った。
死んだ。
背中に悪寒が走り、嫌な汗が溢れてくる。もうガードも回避も間に合わない。そして、この軌道で蹴りが入れば確実に首が折れ、立つこともできなくなる。
僕は上段に刀をあげたまま、咄嗟に目を閉じる。プロとして情けない。けれど、相手の攻撃がこんなにも恐ろしいのは初めてだった。ボスとの戦闘でさえ、ボコボコにされつつも、攻撃を目で追うことはできていた。それなのに、最後の最後で自分の最後の一撃を捉えることもできず、目を閉じて死ぬなんて。こんなの、本当に文字通りの井の中の蛙じゃないですか。
ブォン
耳の横をものすごい速度で何かが通過する。けれど、いくら待っても攻撃が飛んでくる様子はない。まさか、僕の斬撃と同じように、蹴られたことにも気付かずに殺されたのか?
けれど死んだという実感は疎か体に痛みすら全くない。
ドサァ
体が地面に叩きつけられるような音がする。僕は私を覚悟し恐る恐る目を開ける。すると……
足元にJKが倒れていた。
「あれ?え?どゆこと?」
JKの足元を確認すると、夥しい量の血が溜まっている。
どうやら僕にとどめを刺す一瞬の間に気を失い、力を失った体が血に滑って転んだということらしい。
なんだ、勝てたのか。
ドサ
完全に殺気が途絶えたことに体が安心し、心の底から安堵感が溢れてくる。すると途端に足から力が抜け、血が溜まっていることなど構わずに、僕はその場にへたり込んでしまった。
怖かった。とにかく怖かった。世界の怖い生き物図鑑に掲載してほしいくらい怖かった。
あれが火事場の馬鹿力というやつなんだとしても、余りに恐ろしい。頭突きから腕を落とされるまで、僕を油断させるための布石だったのだろうか。いや、もし事実だとしても、そんなこと、あって欲しくない。
僕はそのまま、後ろに倒れ込み、屋上の真ん中に寝転んだ。空は青く、そして相変わらず蒸し暑い。このままここにいては、ホークアイの作戦に巻き込まれ危険なのは分かっている。それでも、このまま寝てしまおうか、なんて思ってしまう。それほどに僕の心は安心感に落ちついていた。
でもどうせ、寝てればホークアイが迎えを出してくれますよね。
僕は眠気に誘われるままに目を閉じ、枕がわりに頭の下に手を入れた。
ブォォォォオオオ
気持ちのいい風が、吹き抜ける。けれど、次の瞬間には崩れた瓦礫を巻き上げ砂嵐のように僕に吹き付けた。
「もう!なんですか!ペッペッ」
僕は目を開け体を起こすと砂を吐き出し、髪の毛を叩いた。そしてふとJKの方に視線を向けると……
JKは再び立ち上がっていた。
ゾワ
目があった。瞬間、感じたことのないほどの恐ろしい殺気に全身が包まれる。
僕は咄嗟に飛び起き、距離をとるため思い切り後ろに跳んだ。そして着地すると同時に刀を構える。
「うぉぉぉぉおおおおぉぉおおおうぅうううううぅううぁぁぁぁああああ」
僕が攻撃する意思を見せた瞬間、JKは鼓膜が破れそうなほど大きな雄叫びを上げた。僕は思わず耳を塞ぎそうになる。けれど、流石に隙を見せるわけにはいかない。これは間違いなく……
Killng Syndromeだ。
けれど、何かがおかしい。普通の罹患者ならもっと早く、それこそあの料亭で発症していてもおかしく無いはずだ。それなのに、JKは完全に肉体が力を失ってからあれだけの雄叫びを伴って立ち上がって蘇った。
まるで肉体が倒れるのを待って、ウイルスが主人を助けようとしているようだ。でも、そんなの聞いたことありませんよ。
しかし、もちろん考えている余裕はない。ウイルスが支配しているのなら、無自覚に筋肉のリミッターを外しているかも知れない。あそこからさらに強くなったとしたら僕でも、あの怪物を止められるかどうかわからない。
ならば、仕掛けられる前に、仕留めてしまうしかない。
僕は本気を出すため、左足を引き師匠に習った通りに刀を両手構え、真面目な型をとる。そしてJKが動き出すより早く、全力で踏みこんだ。
そして1呼吸のうちに横のなぎ払いの後、刀を振り下ろす。普通の人間がこの動きを見れば、まるで2つの斬撃が同時に放たれたように見える。この技の名は
「無影十文字」
くそっ!
本気で仕留めに行ったにも関わらず、やはり手応えがない。動けるはずのない重傷を負っているはずなのに、こちらに避けられた実感すらもない。
こんなに強いKillng Syndromeの化け物とは戦ったことがないが、痛みすらも感じないのでしょうか。
僕は、振り下ろした刀を下段に構え今度は、僕にできる最速の速さで一気に振り上げる。
「無影虚斬り」
速度は単純に、普段の剣速の2倍。そして白い刀の柄と、刀身への光の反射で軌道は完全に隠れ、目で追おうとすれば見ることすらもできない。
ヒュン
しかし首を狙って放った技は、実態をとらえることなく、またも空を切ることになった。
そして、相手の動きを捉えようと視線を送ると、僕が斬撃を放った先にはすでにJKはいなかった。
彼女はすでに僕の右側に回り込み、構えを正すため戻していた手を掴もうと手を伸ばしていた。
僕はなんとか腕をかわし、側面に向かって斬撃を放とうと構え直そうとする。しかし、気がつくと視界が揺さぶられ、僕はすでに地面を転がっていた。
遅れて右の脇腹に鋭い痛みが走る。体に染み込んだ動作のおかげで、なんとか受け身を取ることができた。けれど、ダメージがまったく殺さない。
転がった先で体を無理やり起こし、走りだそうとすると、体のあちこちが軋んでそれを許さない。
能力のおかげで少しはJKの動きに慣れたはずなのに、何故追えないんでしょう。
追うことを諦め、刀を構えたまま相手の動きを待つ。間の距離はおよそ5メートル。一呼吸で届く範囲だ。距離を詰められすぎれば僕に勝機はない。勝負は間合いに入られた瞬間だ。
JKが僕の方を向き、そして一歩踏み出した。普通の一歩ならばまだ余裕はある。けれど、僕の体はその一歩が致命的なほど距離を積めるものだと瞬時に理解し、僕が自覚するよりも早く攻撃に移っていた。
覚悟を決め、僕にでき得る最強の技を放つ。
「はぁぁああ!無影大路小路!!!」
間合いに入った相手を格子状に刻む斬撃。原理は初めの十字を重ねているだけだ。威力を削り極限まで速度を上げる。
範囲に入ったJKは後退りして攻撃範囲から抜け出そうとする。けれど、それは最早関係ない。僕の斬撃の範囲は3メートルを超える。多少の後退りでは技範囲を抜け出ることもできない。
案の定JKは斬撃を受け、髪の毛の先と肩の部分の衣服が消し飛んだ。僕は更に速度を増し、JKを目掛けて斬撃を放ち続ける。
これを逃れた人はない。そして、さっきの速度で刀を受けたのだからこの速度なら生きていられるはずは無い。
そのはずなのに、僕の攻撃はあれから、彼女をかすめることもできない。まるで、空中に浮かぶ木の葉を枝で叩き落とそうとしているかのようだ。打っても打っても、空気に流されて目標を捉えることもできない、あの虚しい感覚が斬撃を放てば放つほどに強くなる。
「やめろ!」
強い殺気と共に、JKは消えた。冗談や誇張じゃなく本当にJKは僕の攻撃の範囲から消えたのだ。僕は確かに、この目で残像というものを見た。
そして次の瞬間体の左側全体に寒けが走る。僕は咄嗟に右に飛ぶ。けれど、すでに間に合わない。蹴りが僕の脇腹を捉え、僕は再び地面を転がった。
威力は確かに殺したはずだ。けれど元々の威力が途方もない。本当に組織の蹴りの使い手の攻撃をガードなしで受けたときのような衝撃だった。
僕はなすすべもなく蹴りの威力そのままに、屋上の端まで飛ばされフェンスに叩きつけられた。
「ぐふぉっ」
口の中に血の味が広がる。口の中を切ってしまったのでしょうか。必死に立ち上がろうと、手を伸ばす。
カラン
すると手の先に何かが当たった。
みると、それは僕がさっき投げ捨てた刀の鞘だった。
「殺しはしねぇよ。だが悪い、そろそろ寝ててくれ」
JKの発した言葉が全く耳に入ってこない。ただ話しかけられただけ。それだけのはずなのに、全身の震えが止まらない。さっきまで確かに追い詰めていたJKを前にしているはずなのに、まるで本気のボスを相手にしているかのような重圧を感じる。
このままでは殺さる。けれど、全霊の技を叩き込んでダメだったのだから、これまでと同じやり方ではダメだ。
僕は鞘を杖代わりにして引きずるように無理やり体を起こした。そして左足を後ろに引くと、刀を鞘にしまった。
「望むところです。受けて立ちましょう」
僕がやっていた居合は、実は我流だ。漫画を読んで練習した技なのだ。でも、やってみるとなんとなく、普通の剣技よりも得意な感じはしていた。
笑える話だが、どうせ先生の剣技で通用しないのなら、最期くらい自分の好きな技をさせてもらうとしましょう。
JKは僕が言葉をいい終わると同時に、再び消えた。僕は刀を低く構え、JKが現れるのを待つ。普段相手に合わせて行動を待つことなどない。緊張に、汗で手元が狂いそうになる。けれど、ここで焦ったら僕の負けだ。もう少し、もう少しだけ、我慢しなくては。
「無影斬!!」
僕はJKが現れると同時に、刀を一気に引き抜いた。刀はJKを確かに捉え、止血されていた肩から再び血が溢れ出た。
しかし、同時に僕の体は宙を舞っていた。僕の受けた攻撃はおそらく3発。
僕は最後の1発、指を突き出した尖った拳骨を額にくらい、吹き飛ばされた。僕が見えたのはそれだけ。けれど、利き足の太腿が痛み、肩が脱臼している感覚がある。
おそらく僕の斬撃がJKをかすめ、その後に蹴りを喰らって肩を外され、太腿を折られ、姿勢が崩れたところを殴られたのだろう。
「ぐほぉっ」
背中からものすごい勢いで、自分で崩した瓦礫に叩きつけられる。
あ、少し見込みが甘かったようです。どうやら肋骨もやられているようなので、4発でしたね。
かろうじて残っている意識の中で、JKがいた方を見ると、彼女は全身から血を垂れ流しながら屋上に設置された落下防止のフェンスを左手だけで剥ぎ取り、下に投げ捨てた。
はは。
どんな化け物を相手にしていたのかと思うと、格好つけて入り口を破壊したのも、見せつけるために腕や腹を切って見せた自分が恥ずかしくなってくる。
けれど、振り返ったJKはどこか満足そうに笑って、そして僕に向けて言った。
「おう、お前シャドウって言ったか。最後の技、無駄は多かったがいい技だな。ちゃんと練習しろよ?」
え、なんかキャラ変わってません?あ、でも、そういえばJKにコードネームだけど名前呼び捨てにされた。
彼女はそれだけ言い残すと、フェンスを壊した場所から飛び降り、いなくなりました。
何が起きたのか、全くわからないですけど、とにかく……
「負けました」
僕はその場に倒れこむと、そのまま敗北感の中に、沈んで行きました。




